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格闘聖職者の冒険譚  作者: 岩海苔おにぎり
第5章 ミズガルム共和国に迫る影
39/102

晩餐会。

すいません。重要な部分書き忘れたので書き足します。(4/10 22時)お話自体は変更していませんの御了承を。

1734年 2/21


 昨日のうちに、今日の晩餐会を告げられた、レグルス以下の5人のメンバー。礼服などは持ってなどいなく、急遽作ることになった。呉服店に入り、サイズが近いものを購入し、翌日までに直すように依頼する。当然、時間がなさすぎるとも言われたが、事情を話し無理にやってもらうことになった。それで、日付が変わった居の昼に、その呉服店に来て、品物を受け取っているところである。今回の衣装代は、ある意味外交の一翼を担ってもらうという理由づけで、全額両王家に出してもらうことになった。エストとカペラは大喜びである。


 宿に戻り、改めて着てみたのだが、男3人は着なれないこともあり、窮屈そうである。特にレグルスは、普段動きやすい恰好をしていることもあり、パツンパツンである。・・・いや、測りはしたのだが、見た目の印象的にそう見えてしまうのである。・・・はっきり言ってしまえば似合ってはいない。エストとカペラは笑いを堪えるのに必死だ。・・・女性2名が似合っているのは意外でも何でもないが、意外というか、ラルフがピシッと決まっていた。カペラに、「ヒュー」とか言われて満更でもないようだ。




 晩餐会会場は、ラバナの街が誇る迎賓館で行われるようだ。我々8名が着いたころには、もう結構人が到着していた。2か国の王族の来訪ということもあって、政界の者を中心に集めたようである。予定では100名程が招待されているんだそうだ。その中の一部は、紹介状を貰ったものが誘ったものも含まれているようであるが・・・


 先は指定されており、俺たちは全員固まっているかと思いきや、王族3名と残り5名できっちり分けるらしい。・・・まあ、俺たちは従者役だよね。その俺たちは、一人の例外もなく、カチコチに固まっている。・・・いかにも上流階級って感じの人ばかりで、こう、浮いてしまっているのが分かる。・・・正直冗談も言う気になれない。・・・早く終わることを祈るのみである。


 それに引き換え、上座席の、ラーク、ミリアム、リーフはさすがというか、堂々としたものである。離れしているというか、この国の要人が次々に挨拶に来るのだが、確実に対応している。・・・見方を変えれば、ラークもミリアムも、一切毒を吐かずに丁寧な対応をしていることに違和感ありまくりなのだが。・・・俺も、彼らに慣れてきたということか。


「・・・いや~別世界だね。こんな建物に入ったのも初めてだし、こんなピカピカな服を着るのも、こんなお偉いさんが集まる場に同席するのも。・・・緊張で胃がキリキリするよ。」


 小声で、カペラが話す。・・・いや別に小声でなくてもいいって。・・・皆さん談笑してるし。


「いやな、庶民の目線からすると、場違い感が半端ないていうか、・・・こんなんで食べ物喰えるのか?・・・俺、テーブルマナーとか知らないぞ?」


「お前は、まだ似合っているからいいだろ?・・・俺なんか見てみろ、このパツンパツンな服を。こっちは緊張だけでなく、恥ずかしくもあるからな・・・はぁ。」


「カペラもラルフもレグも気にしすぎだって。要は食事会でしょ? 最初に挨拶だけ聞いたら、あとは運ばれてきた食事を食べるだけなんだから。・・・何が出てくるのかな? 俺は今日魚がいいんだけど。」


「・・・・・・・・・いいわね、アレクはいつも通りで。・・・私無理。最初綺麗な服着られてうれしかったけど、ちょっと場が硬すぎるわよ・・・あ、あそこの貴婦人、私たちのこと見て笑った?・・・きっと田舎者だってバカにしてるんだわ。・・・どうせ、わたしはコトナ出身の田舎者ですけど、何か?・・・ブツブツ」


 この中では、エストが最も緊張しているようだ。・・・っと、始まるみたいだな。


 まず、大統領が、晩餐会の開会の挨拶をし、同時にラーク王子、ミリアム王女、リーフ王子に歓迎の意を伝える。続いて、ラーク、ミリアム、リーフの順に歓迎への感謝を述べ、晩餐会の開会となる。・・・あとは食事だ。 前菜のスープがきた後に、魚料理、肉料理、・・・その他色々、時間差で運ばれてくる。


「・・・・・・・・・・モグ。」


「・・・・・・・・・・・もぐもぐ。」


「・・・・・モグモグモグ。」


「ガツガツガツ・・・・」


「・・・・・・みんな、どこら辺が緊張してるって? 私にわかるように教えてほしいんだけど・・・・」


 食べ物がいざ、来てみると、エスト以外の4名は、俺レグルスも含めて普通に食っている。特にラルフはガツガツいってる。・・・緊張してるって嘘だろ?・・・エストは本気で緊張しているみたいだが。


「いや~うまいねぇ。こんなおいしいもの食べたのは生まれて初めて。お肉もお魚もおいし~。・・・美味しさのあまり、胃がキュルキュル鳴るよ。」


「カペラもさあ、緊張してるって言ってなかった? ねぇ?」


「女はそんな昔のことは覚えてねぇんだよ。・・・ああ、おいし~。」


「・・・・・・なんだろ、この孤独感。」


 緊張してくれる仲間がいなくなって、寂しそうなエストであった。ここで、意外なところから一言。


『レグよ。気づかんかいな? 強烈な殺気が向けられてることに。』


 気が付いていなかった、ラルフとエストはぎょっとする。


『何? 私たち命狙われてるの?・・・え?』


 驚きながらも、ちゃんと念話で返すエスト。


『ちゃうで。・・・いや、半分正解か。・・・狙われてるのはミリアムやな。あっちから、強烈な殺気が向けられてるで。』


『やっぱり、食事が終わって、立ち上がったりした瞬間に襲ってくるとか、そんな感じ?』

 

『せやな。恐らくはそんな感じやで。一応、警備も気づいてるっぽいしな。ラークもいるから、心配はいらんと思うが、念のため、心の準備はしといたほうがいいんとちゃう?』


 ゲンの言葉に全員うなずく。・・・みんなあらかた食事も終わり、席を立って歓談し始める。・・・それとほぼ時を同じくして、殺気を放っていたものが、移動し始めた。視線を合わせずに、気の動きだけで位置を把握すると、徐々にミリアムに近づいてはいるようだ。・・・警備は・・・うん、分かってはいるようだ。それも周囲には気づかれないようにしている。・・・流石だ。・・・奴はミリアムと視線を合わせず別なところに目を向け、近づいてくる。・・・あ、手に何か持ったな!・・・十分な距離になったところで突っ込んでくる。俺ももしものために間に入る準備はしていたが不要だったようだ。ラークが、その刃物を持って近づいてきた女を取り押さえたのだ。ミリアムとリーフは気が付いていなかったようだ。リーフはまだ修行が足りないな。


「クソッ、離せ!」


 そういう女をしっかり押さえつけるラーク。これで、ミリアムに対するポイントは少しか稼いだだろうか?・・・いや、今はそういう場合じゃ無いな。・・・そのまま直ちに連行される犯人。ここに、やや恰幅のいい男が近づいてくる。


「ネルヴァ大統領。イザヴェル王国の要人に対して不用心ですな。この危機管理の甘さは、一国の首脳として責任問題ですぞ!」


「クレメンス殿。こちらはむしろ犯人の動きは把握しておりました。犯人確保のため、あえて一部の者を除き、今回の危機を秘密にしていたことは謝罪いたしますが、寧ろ危機管理をしたからこその、今回の逮捕と考えていますよ?」


 この男、クレメンスというのか。ということは、国民党の党首。まあ、そりゃ呼ばれるわな。・・・まあ、今回の不祥事の責任を大統領に取らせたいようであるが、・・・そうこうしているうちに犯人は連行されていく。


「あのような者を、今回のような場に居れてしまったこと自体が問題であると言っているのである。ここの管理体制はどれだけ杜撰なのか・・・理解に苦しみますな。」


「・・・この会場は、招待状の持参を入場の条件にしています。もしくは、紹介者からの紹介状があれば入場できます。・・・今あの者が所持している紹介状が誰名義になっているか確認させてきます。」


【馬鹿め。あのジルという女は、秩序党員の名の紹介状を持たせている。あいつに直接依頼した者が渡しているはずだ。そして、その渡した者は口封じに、あの世に行ってもらったはずだ。】


「・・・今確認させましたが・・・、この場で言ってしまってもいいので?」


「いいから早く言うがいい!」


「今の殺人未遂の女、ジルが所持していた紹介状は、クレメンス殿。あなたのものでしたよ?」


「何だと?!」


「これが証拠ですよ。これがジルが持ってきたものであることは、指紋を取れば分かる話です。」


【どういうことだ? 話が違うではないか? 何故紹介状のカードが俺のものになっているのだ? 俺は書いてないぞ!】


 周囲の目から見て、明らかに動揺を隠せていない、クレメンス国民党党首。そこに、ネルヴァ大統領が追い打ちをかける。


「話は変わりますが、今回とは別件で、昨夜殺人未遂事件がありましてな。犯人は、自称、ある盗賊団の一味らしいのですが、逆に被害者は、ジルという女にミリアム王女殺害を依頼するよう頼まれたと自供しましてな。それで、我々はこの晩餐会で最大限の警戒をしていたわけですよ。当然、その被害者が、誰に殺害の件を依頼されたのか?操作で辿っていけば、真の黒幕にたどり着けると確信していますよ。」


 額から、汗をダラダラ流すクレメンス。その黒幕とは自分のことであると自供しているようなものだ。この場にいる他の国民党員も、動揺するクレメンスに困惑している。


「・・・何だその目は? わしを疑っているのか? 寧ろ疑われるべきは、貴様だろう! ネルヴァ!」


 論理も何もなく、感情に任せて苦し紛れに激高しているのがよく分かる。・・・コイツ終わったな。


「フフフ。・・・もはやこれまでですね。見苦しいですよ。君は。」


「マルロー! キサマ!」


 マルローと呼ばれたこの男、外見は高身長でやせ型。やや肌黒い感じか。心なしか耳が尖って見える気がする。・・・いや、この男、本当に人間か? 急に膨れだした闇の魔力の波動。・・・この男の感じには覚えがある。あれは・・・!


 レグルスがそう考えている間に、この場を吹き飛ばしそうなほどの闇のエネルギーが直径20㎝程に収束すると、それはそのまま、クレメンスへと向けられる。・・・直撃したクレメンスは、直後ただの肉塊へと変化していた。・・・解除中に悲鳴が上がる。・・・レグルスは気を限界まで高め、思考を戦闘時のそれにする。・・・この場に礼服で来てしまったことを後悔しながら。


「・・・おやおや? どこかで見たと思ったら・・・ほぅ。あれから、さらに腕を上げたようですね。・・・そうでなくては。・・・そうそう、今あなたを殺すつもりなんてないですから、ご安心を。」


 レグルスは強く睨め付けるが、まるで柳に風だ。気にもならないようだ。


「今日は前面に出るつもりがなかったのですが、この男が美学というものを理解していなかったものでね。ちょっとおせっかいを。私は、この国で一定の役目は果たせましたので、この辺で失礼しますよ。あなたは、・・・そうレグルスというのですか。私はマルロー。・・・また会いましょう、その時に生きていられればですが。・・・フフフ。」


 マルローはそう言うと、転移魔法を構築し、瞬時にこの場を去るのであった。残ったものはあふれ出る恐怖を抑えることしかできなかった。・・・流石に会の続行は不可能となり、解散となる。可能な限り護衛を付けて帰路に着かせるのだった。




 翌日、大統領執務室に呼ばれる一行。晩餐会での一件を謝罪されるとともに、レグルスの知っている、マルロー情報を報告する。 ガイアナ島の魔王の力を封印している祭壇を守っていたことくらいであるが。 ただ、それだけで魔王の関係者だとはわかる。加えてレグルスの技を普通に耐えきる強者であることも明かされる。ちなみに、大統領はクレメンスがおかしな動きをしないか昨日のうちから監視していたらしい。なので、その日のうちに殺人未遂事件を発見したのは必然だったようだ。それと、王女の殺人未遂班に渡されるはずの紹介状は、秩序党員の者だったらしいが、事前に察知して、殺されそうになった者の少し前段階で、依頼者に金を握らせ、クレメンス名義のものに変更していたというからくりだったようだ。クレメンスの慌てようも納得である。


「あの場で、クレメンスを除き、被害者が出なかったのは、ヤツの気まぐれ以外の何物でもなかったろう。我々は幸運だった。あのような者たちとこれから相対する皆さんには頭が下がります。今後も可能な限り皆さんには協力しますよ。」


 大統領の言葉である。クレメンスの死亡で明らかになる、彼と犯罪組織のつながり。そしてその思惑までもが明るみに出る。国民党員もほとんどが知らなかったらしく、大混乱に陥っている。来年度予算は、それをいいことに、イザヴェル王国援助に関する予算を十二分に計上するそうだ。・・・まあ、問題なく通るだろう。議会の選挙はまだ先らしいから、立法と行政のねじれ状態が解消されるのは当分先のようである。その後は今後のことを話して執務室を後にする一行である。


 次は、本来の目的地である、霊峰ミズガルムに向かう。今度は何事もなく事が進むことを期待する一行であった。


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