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格闘聖職者の冒険譚  作者: 岩海苔おにぎり
第5章 ミズガルム共和国に迫る影
37/102

首都ラバナへ。

1734年 2/15


 カペラという新しい仲間を加えた一行は、アクタの街を出発するところである。首都ラバナに向かうためには、この街の南に沿って流れている、ウルズ川を渡らなけらばならない。かなりの人が乗り込むため、船も大きい。そのため、馬車もそのまま船に乗せることができたわけである。まあ、無理だったら、収納に仕舞ってしまえばよかったのであるが、馬たちに窮屈な思いをさせることも無いだろう。そんな大型船のこの船に乗れば、3時間程で向こう岸に到着する。そこから5日程で首都ラバナの到着するはずである。


 短い距離ではあるが、パーティーを組んでからは初の船旅である。一部の例外を除いて、わくわくしているようである。船に乗る前から燥いでいたりする。さすがにカペラは地元だからか、特別な感慨はないようであったが、この客船の豪華さに、普段大きな反応をしないラルフまでもが、


「おお!」


 と感嘆の声を上げている。・・・皆テンション割り増し気味であった。・・・ただ一人レグルスを除いて。 何故テンションが一人低いのか?・・・この旅の始まりである、シュネー~ラーウェ間で、船旅に対する耐性のなさを露呈していたレグルス。・・・あの時は一人であった。が、今回は幼馴染の3人に加え、さらに4人いる。今回の船旅で失敗は許されない。そう、3時間。リバースせずに乗り切ることができれば、レグルスの勝ちである。数日前の、オスロにてドラゴンの群れ5000を一人で相手取った時より、はるかに悲壮な覚悟で船に乗り込むレグルスである。


 船が出航して1時間が立った。ラルフ、アレク、ミリアム、リーフ、ラーク、カペラの6名は、甲板で気持ちよさそうに風に当たっている。そんな中でリーフが、


「レグさん、大丈夫ですかね?」


 ちょっと心配げである。・・・この船の客席部分には、通常の座席の他に、家族などがくつろげるようにと、イース帝国から伝わった、い草という草を用いた、畳というものを敷いたスペースがあり、くつろげるようになっている。そこでレグルスは一人、自分と戦っている最中である。大変な苦戦を強いられているようだ。


「クックック・・まさか、レグのやつがここまで船に弱いとはなぁ・・・」


「ラルフ、・・・あんまり笑うと気の毒ですわよ?」


「あの無敵超人が・・・意外な弱点だね・・・」


「あの様子を見ていると、昔のレグルスとイメージ重なってほっとするよ。」


 それぞれ、ラルフ、ミリアム、カペラ、アレクである。レグルスの幼少時代を知る2人はまだしも、他のメンバーには意外過ぎる弱点だったようだ。


「で、エストがつきっきりで面倒を見てると。・・・あの子も災難ねぇ~、」


「・・・う~ん、寧ろお世話できてうれしいんじゃない?」


「!・・・あの二人って、やっぱりそういうことなの? いや、初めて会ったときはカップルかな?って思ってはいたけどさ。レグルスが割とそっけない感じじゃん?」


「そうなのよねぇ。・・・でもまあ、時間の問題じゃない?・・・いくら朴念仁でもあれだけお世話されてたら落ちるでしょ?・・・」


 この場にいる女子二人が、人の恋愛で盛り上がっているのを見て、ちょっと複雑な男4人であった。


 そんな話をしているちょうどその頃、畳敷きの座敷にて、レグルスはまだ何とかこみ上げるものを耐えることに成功している。ただ、畳の上に完全に仰向けになり、その横でエストが、団扇であおぎながら回復魔法を時々かけている。


「あんたも馬鹿ねぇ。何で船に弱いって言わないのよ?」


「・・・・・ああ・・・俺はもうダメだ・・・死ぬ。」


「そんなわけないでしょ?・・・はい、ヒール。・・・どう?」


「・・・ちょっと楽になった。なんか悪いな。」


「いいよ。別に気にしなくても。・・・それなりに楽しんでるしね。」


「3時間なら耐えられると思ったんだ。・・・クソ」


「本気でやばくなる前に言っただけ偉いわよ。それよりも、この前アクタの水路でよくボートに乗ったわね? あんときは大丈夫だったの?」


「ああ、あの時はちゃんと楽しめた。・・・すぐ目の前に陸地があったじゃねぇか? だから安心感があったのかもな? ・・・あ、話しすぎたかも。・・・うっ、キモチワルイ・・・」


「はいはい。・・・ヒール。」


 こんなやり取りをあと2時間繰り返し、船は対岸の港に到着する。・・・レグルスはどうにか耐えきったようだ。・・・見返りにラバナでは、服の買い物に付き合うことを約束させられるレグルスであった。




 ウルズ川を渡り終えた一行は、街道に沿ってそのまま南下している。陸に上がって、いつもの調子を程無くして取り戻したレグルスの表情はさっきまでとは別人である。・・・のど元過ぎればなんとやら・・・そんな感じであったのだが、ここでアレク画伯の新作が公開される。


 題【嘔吐の抑圧】


 何のことはない、さっきの苦しんでいる光景をしっかりデッサンされていたのだ。気持ちの悪い光景を描いた絵なのだが、どこかコミカルで不思議な味わいがある絵である。この辺りはさすが画伯と呼ばれる所以である。とはいえ、己の痴態である。見た瞬間、余りの恥ずかしさに吠えるレグルス。そして、ここぞとばかりに他の男メンバーでいじり倒すのである。


 そんな雰囲気の中、一人黙々と魔法の練習に励む者がいた。リーフである。先日レグルスに渡された、光魔法に関する書物の写しは、自分が大きな力を得るためのヒントになるかもしれない。魔法【シャイニングピラー】これは、嘗て、王都イザヴェラ襲撃時に、自らが無意識に使った魔法である。発動して敵を殲滅できたが、自分は何も覚えていないという状況。使えるようになれば、自分も戦力になれる。今回の除法は、初めて掴んだ糸口なのである。確かに直接的な習得方法は掛かれていなかったが、一般的な光魔法の修行法は掛かれていた。まずは今できることをやっていこうと、両方の掌を合わせて、光の魔力を集中させる訓練をしているところである。・・・が、中々うまくはいかないようだ。少しすると集中力は途切れて、集めた魔力も霧散してしまう。・・・悔しそうにしているリーフの肩に、ラークが手を乗せる。


「な~に、ゆっくりやっていけばいいさ! ここには光魔法が得意なメンバーがそろってるんだ。わからなかったら色々聞いてみるといいぜ。」


 実際、ミリアムを筆頭に、レグルス、エストも使用可能だ。とは言っても、光の攻撃魔法が得意なものはいないのだが・・・基本くらいなら3人の誰でもいけるだろう。その後、はい! と返事をして修行を再開するリーフ。彼が安定して力を発揮するようになるのは、もう少し先のようである。


「そういえば、カペラが加入して人数増えたけど、魔法で言えば、能力は偏っているよな?」


「確かにな。今すぐ困るわけではないが、闇魔法の使用者がいない。逆に光魔法は4人、土魔法を除けば、他の属性魔法も複数人使用者がいる。」


「とはいっても土魔法は俺だしな。練習してできるようにしたというだけで、別に適性があるわけではないし、うまくもない。」


「そういう意味では、カペラは風魔法のスペシャリストだし、頼りになるわね。」


「というか、それしかないわね。私の場合。」


 今のは、ラルフ、レグルス、ラーク、エスト、カペラである。すでに互いの能力確認は、船に乗っているときに終わらせている。(レグルスも吐きそうな中、見せて貰っていた。)ちなみにこんな感じだ。


カペラ   LV85 天職 魔法使い 短剣の才能 風魔法の才能 空間魔法の才能 

      現在の職業 冒険者・盗賊


   HP    526

   MP    1058

   力    253

   器用さ  875

   素早さ  1581

   魔力   1236


   技能 短剣LV57 風魔法LV155 空間魔法LV79 盗みLV195 料理LV15

     +風魔法使用時、魔力+3000、風属性攻撃無効

      【風精霊のペンダント】装備中


 見事に風魔法一択であるが、驚いたのが、初めから風精霊のペンダントを持っていたことか。もし仲間にしていなかったら、ものすごく苦労していたことになるな。だが、ペンダントの保持者がこれで3人目。そっちに関しては順調すぎるくらいだ。転移魔法も使えるので、暇なときは、シュネー村に行って妹の顔を見に行っているようだ。ちなみに、年齢は15歳であった。かなり大人びて見えていたのでここも驚きであった。エストより、よっぽ・・・・・なんでもありません。




 アクタの街を出てから5日目。もうすぐ首都ラバナに到着する。ヤースからはもう3000㎞は来ただろうか? もう2/20で春の足音が聞こえ始めたということもあるが、ラバナがある辺りは、温帯域でも割と南側で温暖である。この国に入った当初からすれば相当暖かくなってきたと言えるだろう。もう、皆、春服を着ていたりする。レグルスのは、断熱効果があるため、暑いのとか寒いのとかはそれほど感じにくいのだが、今は皆に合わせて、アクタの街で買った服を着ていたりする。今日は晴れているためか、気温以上に暖かくも感じる。そのため、馬車は窓全開だ。


「風が気持ちいいですわね~」


「あ、あっちに雀とんでたよ~」


「あ、ホントだ。おいしそうね!!」


「「「え?!」」」


 ミリアム、エストと春を愛でるかのような発言の後飛び出した、カペラの発言に衝撃を受ける2人。その表情の意味が分からず困惑するカペラ。男4人も一様に驚愕しているようだ。・・・まあ、レグルスはシュネー村にいた際、近い感じの鳥にお世話になっていたので、気持ちはわかるのだが・・・


「え、・・・私やっちゃった?・・・」


 愕然としているカペラを必死にフォローしつつ、馬車はとうとうこの国の首都であるラバナに到着するのである。



 本来、このラバナには、霊峰ミズガルムへの入山の許可の取得を目的にしていたのである。が、旅の途中でもう1つ目的ができた。イザヴェルへの物資の輸送を妨害しようとする者がここにいるのはほぼ確定である。できることなら、そいつを見つけて何とかしたい。そう思ってはいる。尤も、簡単に見つかるわけもなく、最悪はスルーして霊峰を目指すしかないのだが、今日は一日ゆっくりする。そのために、まず、役所に行って霊峰への入山許可だけをするのだった。


 

次回は、このラバナの街で起こる色々が書けたらと思っています。4/9午後15時までには更新予定です。

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