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格闘聖職者の冒険譚  作者: 岩海苔おにぎり
第4章 水龍の洞窟
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王都グリベルでの攻防

 レグルスと別れた残りのメンバーは、アレクの転移魔法で王都グリベルへ到着していた。ラークは急ぎ王城に戻り、ここグリベルに迫っている危機を報告。速やかに軍に連絡して防衛体制が築かれる。市民にも避難警報を発令、多くの者を王城等受け入れ可能な施設に誘導できた。・・・迎撃態勢が整ってから凡そ1時間程経っただろうか?・・・飛竜の大軍が飛来してくるのを確認できた。


 飛竜たちは、王都に到着するや否や、街を攻撃し始める。事前に避難が完了していることもあり、人的被害は心配いらないのだが、攻めて来た飛竜に対して有効な攻撃を仕掛けられる兵は少数であった。竜の圧倒的な膂力は、腕や尾による攻撃で簡単に建物が薙ぎ払われる。不用意に近づいた兵も同様にだ。それが5000もの大軍で襲ってきたのである。


 元々、ドラゴンというのは一部を除いて冷気に耐性がないものが多いため、地理的条件では有利なはずであった。しかし、王国軍兵士による、剣や槍等の直接攻撃武器で攻撃する兵はほぼ竜1体を仕留めることなく逃げて戻ってくるか、犠牲になっている。兵一人一人の力量が不足していたのである。それでも、数少ない有効な手段として、弓による攻撃と主として氷魔法による攻撃はダメージを与えることができているようだが、魔法使いや弓使いの数がそれほど多くはないため、焼け石に水となっている。


 そんな中、襲撃の情報を伝えるために戻ってきた6名が奮闘していた。特に強力な攻撃魔法を持つエストとラークが多くの竜を葬り去っていく。エストは主として炎魔法を、単独の竜に対してはファイアボールを、数体固まっていた場合はファイアウォールでなぎ倒していく。ラークに関しては、元々得意だった氷魔法が、氷精霊のペンダントを所有したことにより、その威力が大幅に増大した。複数のドラゴンに対してはブリザードの魔法で広範囲に凍らせる。単体の強力な竜に対しては、自らの矢に氷の魔力を付与し放つ。これが強力で、ほとんどの竜であれば、胴体を貫通させられるほどである。この2人が主戦力となり、討ち漏らした敵をアレクが掃討している。


 また、他方では、リーフが一際大きな竜に戦いを挑んでいた。ラルフとミリアムが付いているがこちらは苦戦しているようだ。リーフの雷魔法で痺れさせたところを、ラルフが体当たりでさらに体勢を崩させる。そこをミリアムが槍で突くのだが・・・全員近づきすぎたようだ。3人とも尾で薙ぎ払われる。すかさず、火炎のブレスが襲う。ブレス攻撃に対して耐性のあるミリアムはまだしも、リーフとラルフは大きなダメージを負ったようだ・・・


 リーフはこれまで、2回ほど大きな力を使い、敵を倒したことがある。いずれも自分が追い詰められた時であり、ほぼ無意識に放たれた攻撃でだ。自分の明確な意思のもとで攻撃を放つことができたことはなく、言い方を変えればまぐれといってもいいくらいである。今も追い詰められている状況下で、どのように動いていいか分からなくなっている。闇雲に剣を振るっても、跳ね返されるか、躱されるか、・・・以前アイスゴーレム戦で放った一撃は自分の意志で再現できていないのである。・・・それでもリーフはあきらめず剣を振るう。今はラルフと姉ミリアムがフォローしてくれている。・・・そう思い夢中で剣を振るう。・・・知らないうちに無意識になっていたようだ。ふとした拍子に、カチリとスイッチが入ったような気がした。その時の一撃はすさまじかった。これまで全く通じなかったはずの一撃で、この竜を真っ二つにしたのだ。また次も再現できるかは分からないが、少しだけ自身が付いたリーフである。


 このような勇者一行の活躍もあって、竜の総数は残り1500を下回るほどまで減ってきたが、兵士の疲労度はすさまじかった。リーフたちもミリアムに癒されながら戦い続けているが、少しずつ疲労は溜まってきている。・・・リーフたちが気を抜いたほんの一瞬、そのリーフに竜の咢が迫っていることに誰も気が付いていなかった。・・・その咢がリーフを捉えるその瞬間・・・その竜の頭にレグルスの踵落としが決まっていた。


 踵落としを喰らった竜は、頭頂から血液を吹き出しながら、苦悶の叫び声を上げながら絶命する。・・・いつの間にかオスロの敵を相当し終わったレグルスが、こっちに転移してきたのだった。・・・ここからは殲滅は早かった。これまで蹂躙を繰り返していた竜の群れも、30分も掛からずに敵軍は全滅。一部は逃げ帰ったようだったが、何とか魔王軍の2方向同時作戦を跳ね返すことに成功したようである。




グリベル城にて、


「・・・今回は、皆さんの御助力でここグリベルとオスロを守ることができました。ありがとうございました。皆様方のご活躍は後世まで語り継がれることでしょう。ラークもご苦労でした。」


 ルミナス女王陛下のお言葉に頭を下げる一同。と、同時に先日この城を出立してから、今回の襲撃に至る経緯を説明する。


「今回の襲撃は魔王軍のもので間違いがないとして、イザヴェル王国の件といい、毎回これだけのドラゴンをどこから待ってくるのか・・・最初の襲撃となったコトナ村の襲撃も、もとはガイアナ島からドラゴンが飛来したと言われています。そしてガイアス島には多種多様なドラゴンがおり、数々の魔獣も生息していると聞きますが、元々あの島にそこまでの数は生息していないはずです。いったいどこから連れてくるのでしょうか?」


 ルミナス女王の話を受け、レグルス達は、水龍から聞いた、嘗て龍王とも呼ばれたゲルザードという魔王が異世界より北存在であること、もっと強力な存在を召喚しようとしていること、現在ヴィトという魔王扱いされている存在は、かつての魔王ゲルザードとは別の異世界から来た人間であることを話す。


「複雑ですね。最初に襲撃してきたのはそのヴィトでしたね。でもそのヴィトはもともとドラゴンを率いていた。そして水龍様は別にゲルザードの存在を感じると。・・・普通に考えて、両者は手を結んでいるようね。でなければ、一方が他方を利用している関係か。・・・いずれにしても、余りにも多すぎるドラゴンの群れは、ゲルザードの世界より召喚されているとすれば納得がいきますね。」


 ルミナス女王はさらに続ける。


「イエテイの集落傍の敵拠点についても、聞きましたが、中にあったものが我々の知らないもの馬鹿理だったのですね?・・・高度な魔力で動くと思われる装置が多数存在したと・・・この世界よりも高度な文明・・・ということは、異世界より来た者が敵の正体であるという証明になりますね。」


 これについては、同意するしかない。拠点に逢った道具をいくつか、気になったものを持ち帰っているが、使う目的は想像できるものの、どうやって作ったとか、どういう仕組みなのかとか分からないことだらけである。それに、あの拠点にて聞こえていた声と主と、レグルスがオスロにて仕留めた女は同一人物である気がしていた。もちろんその声からである。だとすれば、異世界から侵入してきた人類と元々の魔王が手を組んだという説がますます正解に近いと感じる。・・・まあ、これ以上考えを進めるには情報が足りない気がする。で、これからの方針の話を報告する。


「・・・ということは、これからは勇者の力を覚醒させ、強力な力を封じ込むために必要な力を身に着けるため、他の聖域にもいかねばならないのですね?・・・まずは霊峰ミズガルムですか。・・・共和国に行かれるのですね。あの山を目指すには共和国政府の許可が必要な筈ですから、そのためには一度首都であるラバナに向かう必要がありますね。正当な理由があれば入山の許可を貰うことができるでしょう。」


 霊峰ミズガルムには、光龍がいるという話だ。もしかしたら、リーフの力を安定して引き出すヒントを持っているかもしれない。それにミズガルムの首都ラバナにも情報があるかもしれない。・・・ラバナは世界最大の都市の一つである。多くの文献があってもおかしくはない。そんなことを考えていると、再び女王陛下より、本日最後のお言葉を頂戴する。


「今回の襲撃のことを考えると、もうそれほど猶予はないのかもしれません。・・・困難であるとは思いますが、世界のためによろしくお願いします。勇者リーフ殿、英雄レグルス殿。」


 謁見の間をでたレグルス達。この日はもう日が暮れていたため、またこの城で一泊させてもらうことになった。現在は城内にある一部屋に全員が集まってて話し込んでいる一行。


「レグっち、アンタすごいな。オスロ全滅させてこっち来たんだろう? お前がいなかったらヤバかったぜ。」


「そうだよなぁ。今のところ、お前に頼る場面が多すぎるな。俺たちももう少し力をつけなければな。」


「そおねぇ。少し魔力鍛えないとダメかしらね?」


「それもそうですけど、私としてはリーフの発揮する力が不安定なのが気になりますわね。」


「僕も早く戦力になりたいんですが・・・足引っ張ってしまってすみません。」


 以上、ラーク、ラルフ、エスト、ミリアム、リーフである。リーフは少し落ち込んでいるかな?


「いや、何度か大きな力は出せているし、きっかけさえあれば強くなるよ。ラバナで何か大きなヒントを掴めるかもしれないしな。」


 実際彼が実力を発揮できるようになれば、パーティーは大幅な戦力アップになるのである。プレッシャーにもなっているのだろう。一番若いしな、彼は。・・・ん? そういえば、ラークっていくつだっけ?今まで聞いていなかったな?


「ああ? そうか言ってなかったっけか? 俺は20だ。一応お前たち全員より年上だ。敬えよ!」


「「「・・・・・」」」


 レグルス、ラルフ、アレクがそろって聞いてない振りをする。


「なんでだよ? 放置か、放置プレイか? 俺、そういうキャラじゃないんだって?」


 直後、爆笑する面々。リーフも我慢しながら笑ってるし・・・少し気持ちが晴れたかな?・・・なんだかんだで、このラークという男は、ムードメーカーというか、全体のことを見てくれている気がする。さすが年上。とか思っていることは絶対言わないレグルスである。


 その後、リーフ以外の面々はほどほどに酒を飲み、リーフは美味しくなさそうにエールを飲んでいたが、皆の話の輪に加わりながら夜を過ごしていく・・・翌朝、一行は王都グリベルを出立し、転移魔法によっていったんオスロに向かう。ここからは、馬車に乗ってミズガルム共和国入りを目指すことになる。・・・首都ラバナまでの道のりは遠い。今後どんな事件が待っていることか、分かるものは誰もいない。・・・オスロで一泊したレグルス一行は翌日からミズガルムに向かって旅立っていく。


  


第4章終了です。次回は4/3の15時までには上げたいと思っています。

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