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格闘聖職者の冒険譚  作者: 岩海苔おにぎり
第4章 水龍の洞窟
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イエテイの集落と襲撃の黒幕。

 水龍の洞窟から出た一行。洞窟内を下りるのは楽だったが、同じことを登りでやるのはかなりきつかった。ここで、全員が洞窟から出たところで、アレクが一言。


「ここ出るときずっと思ってたんだけど、ゲートの呪文使えば良かったんじゃ・・・」


「「・・・・・・」」 


 アレクの他にゲートが使える俺レグルスとリーフが絶句した。何故気が付かなかったのか?そいて、アレク分かっていたのになぜ言わない?・・・急にやる気を失った一行である。


 それはさておき、イエテイの集落はここから少し行った森のどこかにあるらしい。街道を通っているわけではないので、馬車は置いてきている。・・・で、現在はラークの用意していた【かんじき】を靴の下に装着して歩いている。ちゃんと全員分用意されていた。この人、チャラいだけかと思ったら、意外とマメだったのだと少し感心する。・・・だが、ラークを除けば全員雪道初心者である。転んだり、ズボッと足が埋まったり、中々上手に歩けないのである。・・・そんな中で、一人(?)自分の足で歩いていない、ゲンだけがご機嫌である。鼻歌歌ってるし。・・・音痴なんだからヤメレ!


 そんな感じで苦労しながら、森に到着する。


「なあ、分かってないうちにそのまま来てしまったが、イエテイって何だ?」


ラルフが尤もなことを言う。他にも、エスト、アレク、リーフは知らなさそうだ。地元の王族たるラークが説明してくれるようだ。


「そもそも、イエテイってのは、人類の亜種だ。エルフやドワーフなんかと同じ扱いだな。なんでも、人類共通の祖先から分化したらしいぞ。他の人類と大きく違うところは、全身が体毛で被われているところ、身長は大きいものだと2mを超える。かなり大型だな。あと世界共通語が使えない。その見た目から、昔から、俺たちの側が魔獣の類と勘違いする者が横行してな、残念な話相当差別されてきた歴史があるんだよ。」


「そんなんで、どうやって意思疎通するんだよ! 会話できねぇんだろ? 捕まって食われるんじゃないだろうな?」


「ラルフ、今時人食い人種の伝説を信じてる奴なんかいないよ? むしろ彼らは温厚な性格だったはずだ。それにな、普通の会話はできないだけで、念話は通じるから、魔法を使える人なら大体話は通じるよ? 使えない人とも念話ができるほど魔力は強くないみたいだけど。 だから、村についていきなり襲われることはないだろうさ?」


「そ、そうか・・・ふぅ。・・・だが、俺だけは結局意思疎通できねぇじゃんか。」


 俺が追う言うと、少し安心したようだ。・・ちょっと間をおいて、ラークが大爆笑を始める。ツボにはいいたらしい。


「喰われるって、・・・ぎゃはは・・・ひぃ・・・いつの時代の話してんだよ?・・・あぁ、腹苦し。」


直後取っ組み合いの喧嘩を始める2人。エストとミリアムが引きはがす。・・・そんな馬鹿なことをしつつ、夕暮れ時までには村に着いたのだった。が、




「おいおい、コイツはどういうこった?」


 今の発言はラークであるが、村の門を潜るや否や、5人の男たちに槍を突き付けられている。全員体毛に覆われていて、身長は2m越え。これだけで相当な恐怖である。念話で説明を求めてみる。・・・なになに、『我々の家族を奪っておいて、のこのこ村に来るとは馬鹿な奴等だ』だと?


『ちょっと待ってよ? なんでそれが私たちってことになるのよ? やってないわよ!』


『嘘をつくんじゃない! 俺は見たんだ、お前たちと似たような格好をした連中が村の仲間を殺害するのを。追っていったら、魔法で消えてしまったが。』


『それに置手紙があったんだ。『我々はグリバールの者である。我々にとって貴様らイエテイは魔獣であり討伐対象である。おとなしく滅ぼされよ。』と書かれていたよ。』


 最初のはエストの発言。あとの2人はイエテイの2人である。どうやら、何者かに村人殺害の罪を擦り付けられようとしているようだ。


『おれは、そのグリバールの王族だが、我が国はそのような考え方はしない。寧ろ、そちらの文化を尊重し、イエテイの里とは不干渉を貫いてきたはずだ。・・・これは我が国へイエテイたちの悪意を向けさせるための企みではないのか?』


 そこへ、この村の長のような雰囲気のイエテイがやってくる。・・・槍を持った5人を下がらせてくれた。・・・どうやらこの5名は少し先走っていたらしい。・・・そのまま、長の家へ案内される。




『若い者たちが失礼したな。この村の者が何人が殺られていてな。手紙の件は本当だ。我々はグリバール王国の仕業だと思い込み、王国の襲撃を考えていた。』


『ということは、俺たちの話を信じてくれる気にはなったのか?』


『左様。よくよく考えれば、グリバールに戦争を仕掛けさせるような内容であるようにも思えるしな。そもそも、お前さんたちが嘘をついてないことも儂にはわかるのじゃ。魔法の力でな。』


 そんな会話を聞きつつ、俺は持ってきてもらった手紙に、マジックサーチの魔法を掛けてみる。・・・ここからさらに東に行ったところから、この手紙に残っていた微かな魔力と同じ波長をもつ何かがいることが分かった。そのことを話してみる。


『それは誠か! そうか真犯人が見つかったか・・・よし、では早速そちらに向かってみることにしよう。よかったら、お前たちも協力してくれんか? 礼は弾む。』


 そう村長が言ったところで、俺は異変に気が付く。・・・しまった。この家に盗聴する仕掛けがついている。微弱な魔力の波長を今気が付くことができた。恐らくこちらが気づいてしまわないか監視していたのだろう。で、こちらは気が付いた。・・・これに対して相手がする行動は・・・とりあえず、このことも村長に伝える。当然だが、驚愕していたが、・・・気が付くのが少し遅かったようだ。この村に強力な魔力の気配がかなりの速さで近づいてくる。


 外に出てみると、村の上空には飛竜が数体飛んでいた。降下してきて、村を襲う。それを見て、俺たちもすぐに動く。もともとイエテイの里を襲うのに戦力はさほど必要ないと思ったのか、この飛龍の強さはそうでもなかった。レグルス、ラルフ、エストがそれぞれ1体ずつ一撃で仕留める。ラークも氷魔法一発で1体を氷漬けにした。もう1体もリーフ、アレク、ミリアムが3人がかりで仕留めていた。ここまで5分。そう時間もかからずにすべてを片付けた俺たちである。勿論だが、イエテイたちの被害は出なかったようだ。


『皆様のなんと強いことか。・・・助力感謝しますぞ!』 


と長。その後決起集会のような感じで料理と酒が振る舞われた。しばし、体を休めて、翌日まで就寝した後、俺たちは魔力を検知したポイントへ赴くこととするのである。




 グリバール王国の領土内にある、イエテイの里の傍にある某、洞窟の中にて。


 この外からは、周囲の景色に完全に同化したこの洞窟。その内部は、異世界組が世界征服をしていくうえでの拠点の一つとなっていた。ここには、管理を任されたイアリと他数名が生活している。異世界の文明人のみが生活しているため、冷蔵庫・洗濯機・システムキッチン・ユニットバスなど文明の利器が多数整えられている。部屋の中は全体として無機質な感じではあるが、明るく住みやすくなっている。加えてちょっとした研究施設まで併設されている。


 この異世界転移をしてきた人類はこの世界においてすっかり魔王軍として呼称されることが定着してしまっている。こちらに移って来た者たちは、そのことには不満を持つものも少なくなかったが、今グリバール王国侵略のための拠点であるこの洞窟の管理を任されているイアリは特に気にはしていない。


 彼女は、この世界はあくまで自分たちの植民地であり、自分たちにとって利用価値のある人類は家畜として飼っても良いが、残りは皆殺しにするつもりであった。だが、自分で人の命を奪うという行為は嫌ったのである。理由は、単に殺すとバッチイからというだけである。そのため、この土地を支配するグリバール王国を支配するため、自ら軍を率いるという手法を嫌った。先日は、野良の雪竜を狂わせ、近くの村を襲わせて実験してみた。それは、何者かによって雪竜を正気に戻されて失敗したようだが。そこで今回は、イエテイの集落にて、仲間を殺し、その罪を王国に擦り付け、イエテイに攻めさせるつもりだった。それでは足りないだろうから、適当にドラゴンの群れでも差し向ければ、滅亡するだろうと考えていた。


 イザヴェル王国が土壇場でかなり粘っていることは聞いている。まさか、あの大河を渡河したうえで、三方向からの襲撃を行ったのにそれが食い止められたのは完全に予想外であった。この世界の住人は魔法はそこそこ使うものの、科学の知識はほぼ感じずレベルの低さを感じずにはいられないのだが、極偶に「お前は本当に人類なのか!」と突っ込みたくなるような連中がいるために、最後の一押しができないでいるのである。ただ、このグリバールという国にはそのようなものがいるという報告はない。なので、イアリは高を括っているのである。


 そう思っていると、イエテイの集落の長の家に仕掛けていた盗聴器から会話が流れている。・・・どうやら、こちらの企みはイエテイたちにばれたらしい。この企みも失敗するとは思っていなかった。連中が馬鹿なおかげで、完全に騙していた感触があったのだ。やってきた旅人も、本当に余計な入れ知恵をしてくれたものである。それが無ければ、あっさり、グリベルなどの街の襲撃を行ってくれただろうに。そう思いながら、中央よりドラゴンを数体転送してもらう。・・・馬鹿な奴等には死を・・・そう考えていた。・・・だが、結果はこちらが瞬殺。予想外である。しかも増長したのか、こちらに来るようだ。


 しかし、偶々見つけた、強大な氷の魔力を秘めたペンダント。村の長の家に他のアクセサリーと一緒に入れられていたものを見つけたのだが、これを持ち帰り、氷の力で動くゴーレムを作り上げた。これを人が使う場合は、かなり人を選ぶ性質があるのか、ここにいるメンバーでは誰一人として、ペンダントから魔力を引き出すことはできなかった。が、ペンダントが力を引き出すために必要な魔力波長を特定し、それを常時出せるゴーレムを開発させてしまえばよいと考えたのである。


 このゴーレムは、氷の力で動くので、アイスゴーレムとでも呼ぶべきか? このペンダントに秘めた魔力が相当なのか、どれだけ動かしても止まる気配がないのである。一度に出る魔力の出力もデカい。 したがって、このアイスゴーレムには相当な戦力があり、ドラゴン数体が束になっても、このアイスゴーレムは壊せないであろう。コイツさえいれば、冒険者ごとき簡単に撃退できるだろう。他に大量のドラゴンも召喚し、村から出立した一行を待ち受けるイアリであった。


 


 






次回は3/31の夜になります。

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