トラブル解決。そして商隊の出発。
何とか更新できました。
3/24 気になる部分を微修正しました。ストーリーは変更していません。
翌日、朝のうちにコロナの薬屋に向かったレグルス。店についてみると、コロナの両親が出てきて、助けた礼を言われた。・・・今回の一件の不自然な点を話し納得してもらったうえで、例の契約書を見せてもらう。その内容は、金貨50枚分の薬の購入の契約であった。ただ、商品が納入されなかった場合、直ちに金貨10000枚の違約金が発生し、即日のうちに違約金が納入されなかった場合、店舗とその土地が抵当に当てられ、所有する全財産を没収できるとする旨が記載されていた。あまりに不当な内容であり、この内容を、契約する者が見落とすことなどありえない。絶対に魔法か何かの仕掛けで、契約時には見えないように隠し、十分時間がった後で、もしくは契約不履行が起こると分かった時点で、この隠されていた文面を浮かび上がらせる。そのような仕掛けであったならば一応説明がつくのである。実はこういった詐欺の手法にについて、嘗て本で読んで知っていた。その対処法もだ。そこで、光魔法【マジックサーチ】を起動してみる。
この魔法で、書面から残存している魔力の痕跡を探していく。どうやら、問題の記述がある辺りから強い反応を感じるようだ。その魔力を特定して、この魔力が持つ特有の波長を把握していく。・・・・・・うん、大体イメージできた。実は同じ魔法を使った場合でも、誰が使ったのかでその魔法に籠る波長には差異が発生するんだよね。・・・今度は周囲に気を巡らせて、・・・できるだけ薄く、広くなるイメージで・・・・・うん、同じ波長をもつ人物を特定できた。
「では、この契約書に仕掛けを施した人に会ってきますね? もう少しだけ、これ貸して下さい。」
「本当に大丈夫なのかい? さすがに不安なんだが。 あんまり危ないことはしないでくれよ?」
と、コロナのお父さん。不安もごもっともだが、ここは任せてもらう。俺が連中を許せない。場所の詳しいイメージはないが、人の魔力波長が認識できているし、近距離だ。俺にでもゲートが使えそうだ。・・・実行。・・・うん、景色が変わったね。どこかの建物の中か?
「キサマ! 何者だ! どこから現れた!」
今、目の前にいるのは豪華な椅子に座っているスキンヘッドのオッサンと、その横に立っている白髪頭の爺さんだ。魔力の波長からいって、爺さんの方が契約書をいじったやつだな。・・・ここどこだ? もしかして、いきなり青龍会に来ちゃった?
「よく気づかれずにここまで入ってきたもんだ。 そこは褒めてやる。 だが、ここ青龍会でこんなふざけた真似しやがって、ただで帰れると思うなよ。」
正解だったか。手間が省けて助かった。ついでに聞いてみる。
「これ作ったのアンタらだよね? 薬の購入者は全然別人だけど。 アンタらが裏で糸引いて、契約不履行になったところで、この契約書を受け取って、あの場所を自分のものにしようとしたんだよね? 何で?」
「ほう? ネタは挙がってるのか。 なるほどな。 ああそうともさ。 あの店の周囲は、すでに俺たちの土地でな、あの店を潰して、あの辺一帯を遊郭にしようと思っていたのさ。」
随分あっさり話すなぁと思っていたら、後ろから続々と屈強な男たちが入室してきた。・・・あ、また会いましたね? 昨日の3人組の一人がいたけど、怯えてるわ。
「正義感か何か知らねえが、自分の馬鹿さ加減を呪うんだな。・・・死ね!」
全部で7人位は、いただろうか? 全員、俺の一撃を受けて気絶している。昨日のオッサンは一瞬逃げようとしたが容赦はしなかった。・・・昨日の反省を踏まえ、今度は優しくしましたよ?・・・死ぬような怪我はしていないはず。・・・たぶん・・・爺が【バインド】の魔法で俺を行動不能にしようとしてくる。・・・こんなものは気合で外す。・・・驚愕している爺を一発で気絶させる。ああ、ボスと思わしき禿のオッサン、驚愕してるわ。
「この! 化け物が!・・・ちぃ、目的は何だ? あそこから手を引けってか? それとも金か?」
ここまでやっといて今更取引か? 店からは手を引くし、金なら好きなだけやるだと? もちろん、こちらにそのつもりはない。
「この青龍会の解散かな? 覚悟はできた?」
「てめ~ぇ! ふざけんファベェラッ・・・」
うるさい奴に(物理で)眠ってもらって、コイツの机の中を調べてみると、・・・あるわあるわ。今回の一件を裏付けるものも、そうでなくともこの街でやってきた悪の限りを示すものが。ついでに金庫も開けて中身を確認すると、こちらにも違法な高利貸し等の証文なんかが入っていた。・・・どうやって開けたのかって?・・・そこはほら、ガンとやって、ペキって。・・・とりあえず書類等を全部回収しておく。ついでに今気絶している奴等を、この街の警備施設にいる兵士団に突き出してやった。回収した書類と一緒にね。・・・後日青龍会の残りの会員も残らず逮捕されるだろう。・・・帰ろっと。
只今、午後7時、現在酒場でエストと夕食中である。あれからコロナのところに行って、事後報告。借りていた書類を警備兵に渡してきたことも含めて。脅威は無くなったと聞いて安心していた。その後適当に街をぶらつき、改めてエストんとこの武器屋に行って、久しぶりにハウンド小父さんとバーバラ小母さんに挨拶をする。2人ともまだまだ若い。あまり変わってなくてほっとする。
「ほんとに別人ねぇ~~逞しくなっちゃって!」
「そうだな。・・・そのグローブも役に立ってて何よりだ。まあ、元気そうで何よりだ。」
それぞれ、バーバーらさんとハウンドさんだ。まあ、お互い懐かしいよね?7年ぶりだし。そんな会話をしながら、そのまま1時間以上談笑した後、ちょうど夕食時になったので、エストを連れ出して酒場に来たわけである。ちなみに宿の1階ではなく、ちゃんとした酒場に来ている。店の様子を見ていると中々の繁盛ぶりだ。テーブルは満席に近く、中には家族連れも見える。ガラの悪そうなオッサンも見えるが酒場なら当然だろう。数人いる店員がテーブルとカウンターを行ったり来たりしていて大変忙しそうだ。そんな中、すでに注文して運ばれてきた、枝豆、冷ややっこ、焼き鳥盛り合わせに、焼きそばを食べつつエールで流し込んでいく。今は、昨日からの一件を中心にしゃべくっている。
「それにしても、あんたどんだけよ! あの青龍会潰してくるとは。無茶するわねぇ~。ふつうは死んでるわよ?」
「強引にやっちゃったのは反省だけどな。ああいう輩と相対するのは初めてだったからな。イラッと来ちゃってね、つい・・・な。」
「あんたねぇ。・・・でも、つい・・・で潰される暴力団。哀れね。まあ、私も被害に逢いそうだったし、同情する気は皆無だけど。」
とここでエールの追加注文をするエスト。自分の分も一緒に頼む。・・・しかし飲むねぇ。大人になったと実感するわ。ここで、ゲンの念話を受信。
『レグ、大丈夫かいな? いい振りこいて飲みすぎるんやないで?』 『わかってるってぇの! 明日から馬車に乗らなきゃならんし。』 3年前位の村の飲み会でやらかしたことを未だにくどくど言うゲン。そこまで酒癖悪くねぇよ! 無いよね? 無いはずだ。・・・だんだん自信なくなってきた。ここ1週間程、酒ではないが、船上でやらかしてるしな。・・・う~む。おとなしく忠告は受け取っとく。・・・ん? エストがこっちを何か不審げに見てる? まさかゲンと念話が聞こえてるとか?・・・まさかな・・・
「どうしたのよ? ボーっとして?」 「いや、何でもない」と返しておく。「気のせいか。」とかボソボソ言ってる。・・・聞こえてはいなかったようだが、何か感じるものがあったのは確かなようだ。う~む。
「しっかし、よくもまあ、あんなところに1人で乗り込んだもんだわよね。殺されるとは思わなかったの?」
「まあな。実際余裕はあったよ。むしろ殺さないように気を使った。アイツら全員より、グレートドラゴンの方がよっぽど強いわ。」
「あんな天災級の最上級ドラゴンと比べられたら、連中も少し可哀そうよねぇ。っていうか、まるで戦ったことあるような口ぶりだけど、襲われたことあるの?」
「・・・ああ。3年ほど前にな。ギルド依頼の討伐対象だったんでな。倒すのに3分も掛かってしまったが。」
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」
驚愕するエストを前に俺も驚く。・・・何々、『これが普通の反応やねん。』だって。・・・ぬう。
その後、シュネー村でどんな暮らしをしていたのか、こと詳細に聞かれる。・・・
「そのヤンって人も大概ね。・・・アンタの常識も崩壊するはずだわ。・・・でも感謝ね。その人のおかげでこうやってまた会えたんだし・・・」・・・そういう表情で言われるとこっちも照れるんだが・・・ってか、さらっと常識ないことにされてる?・・・解せん。
「ところで話変わるけど、明日から商隊の護衛だっけ? あれ、私も参加するから。」
「!!!」 突然のカミングアウトである。 どうした?
「今日申し込んで来たのよ。ギルドで。私も冒険者登録してるし。たまにだけど依頼も受けてきてるしね。経験者よ。商隊の護衛は初めてだけど。」
「結構危ないらしいぞ? それでもいいのか?」
ラーウェの街から王都イザヴェラまでおよそ3000km。両都市を結ぶ街道には、宿場町というか中継都市というか、いくつかの町が存在しているが、その町を結ぶ街道上で盗賊に襲われたり、魔獣が襲ってきたりするのである。前者は国内の戦争状態によっておこる混乱や貧困が原因であり、後者は魔王の覚醒による魔獣の活性化ではないか?と言われている。だからこその護衛であるのだが、以前のそれとは異なり、道中戦闘があるのは確実である。この物資の輸送はこの国を延命させていく上で、無くしてはならないものであり、護衛参加者の命を張ってでもやり遂げなければならない。正直金貨20枚貰っても安いぐらいなのである。
「自分で決めたんだもの。良いに決まってるじゃない。・・・危なくなったら守りなさいよね?」
ちなみに、エストのステータスは、以下のとおりである。見せてくれと言ったら、普通に見せてくれた。
エスト LV71 天職 魔法使い 攻撃魔法の才能 補助魔法の才能 現在の職業 冒険者
HP 416
MP 927
力 126
器用さ 151
素早さ 114
魔力 879
技能 火魔法LV97 氷魔法LV70 風魔法LV55 光魔法LV65 回復魔法LV12 料理LV35
営業LV81 経営LV70 交渉LV85
+火魔法使用時、魔力+3000、火属性攻撃無効
【火精霊のペンダント】装備中
ここまでの魔法使いはそうはいないのではないか? 火魔法を中心に攻撃魔法が強力そうである。・・・ところで、火精霊のペンダントって書いてあるけど、あの時のペンダントだよね? そんないいものだったのか? あの時のおばちゃん、価値分かってたのか、それとも知らんで売ってたのか。・・・にしてもこれは頼りになるかも。もしもの時は後方から援護してもらおう。
「えっへん!」とか言ってるし。「こっちも危ない時は援護よろしく!」って言ったら嬉しそうな顔しちゃって・・・可愛いなんて思ってないよ。・・・ないよ、うん。
そのまま明日以降のことを話してお開きにした後、エストを家まで送っていく。宿に戻って就寝。良い一日だった気がする。
翌日、街の玄関口である、街道への門の外には、多数の馬車が並んでいる。商隊である。ここに俺とエストは護衛に参加するために来ている。他にもギルドで仕事を受注した腕に覚えのある冒険者が10名参加していた。計12名で商隊の護衛をするわけである。馬車は全部で6台で、1台につき2人の冒険者が乗り込む形になる。僕ら2人は気心知れてるということで、一緒の馬車にしてもらった。道中、大きな町には必ず寄りはするが、3000kmの道のりで、僅か8都市である。基本夜が来たら野宿になり、夜襲に備え、護衛は交代で睡眠をとる形をとっている。もちろん日中の移動中に仮眠をとっても構わないが、ガタガタ揺れる道中、ろくに眠れるものではないのである。・・・そんなことを考えている間に出発するようだ。
「いよいよね。何も変なことが起きなければいいけど。」
「そうだな。」と返事をしつつ、商隊が出発を開始する。歩くよりは遥かにましであるが、時速30km程の速度で進んでいく。イザヴェル王国の主要部分にたどり着くまでには、ルルイ山という、なだらかではあるが大きな山を越えなくてはならない。可能であれば、ルルイ山の峠まで3日間でたどり着くのが理想である。ルルイ山よりこちら側は少なくとも治安が特別乱れていることはないため、都市から離れた時の魔獣の襲撃に基本気を付ければよい。昼休憩を挟み再び移動し始めたところで、どうやらお客さん一行が来たようだ。ゴブリンの群れ30頭程である。平地であるため大変わかりやすい。ここはエスト大先生の出番である。
「ファイアウォール!」
広範囲の火魔法での攻撃で、ほとんどが死に絶え、数匹生き残ったようである。残りを他のメンバーで一掃していく。・・・5分も掛からずに終わった。
「ねぇちゃん! アンタすげーな! 次も今の魔法でよろしく頼むぜ!」とリーダー格のブライトさん。
「任せてください!」 と決して大きくはない胸を張っているエスト。
「これは私は楽できるかもねぇ~ふふん。」と今回参加しているもう一人の女性のミランダさん。
「おう!今回は腕利きぞろいだし、そこの武闘家のあんちゃんは出番無いかもなぁ(笑)」とポールさん。
これには俺も愛想笑いを返すしかない。・・・そこ笑うな!エスト!
「いやいや、今回の護衛は皆さん頼もしいですなぁ。この調子で頼みますよ。」と今回の商隊のリーダーであるセルジオさん。かなりの大商人らしい。こんな感じで1回目の戦闘は無難に終了したわけである。
そのまま1日目の行程が終了し、野営をすることに。さっきの戦闘では手を出すことはなかったため、せめてもと、全員に振る舞うスープ作りをしているところである。レシピも俺様プロデュースである。
出来上がったところで、今回産しているメンバー全員に振る舞う。
「うっめ~!」「なんじゃこりゃ! サイコーかよ!」「おいっしいわねぇ、これ!」 それぞれ、ブライトさん、ポールさん、ミランダさんである。・・・何でそこで鼻高々なのかな? エスト君。
俺もパンを齧りつつ自分作のスープを飲む。・・・分かってたけどうまいわ。
夕食の時間も終わり、護衛の半分は寝ている。エストも俺の隣で気持ちよさそうに眠っている。そして、残り半分の護衛が周囲を警戒しているのだが、1日目はどうやら何事もなく終了しそうである。周囲を警戒しながら、退屈なこの時間に考え事をしている。それは、今日はうまくいった護衛について。今日は平原だったので、遠距離からの攻撃魔法。それも火魔法がとても有効だった。今後も大きな戦力になってくれることは間違いがない。だが、森の中ではどうか?これから山の中に入っていくわけだし、広範囲な火魔法は少なくとも使えなくなる。そうなってくると、俺も含めた前衛が活躍する番になってくるんだけどね。リーダーのブライトさんなんかは分かってるはずだけど、うまく機能するかな?
そこまで考えてみはしたものの、2日目以降に、刺激的な道のりが待っているとは考えていないレグルスは、護衛交代の時間まで眠さを我慢しつつ周囲を警戒するのであった。
次回は3/23夜を予定しています。




