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格闘聖職者の冒険譚  作者: 岩海苔おにぎり
第2章 シュネー村での日々
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レグルスの旅立ち。

第2章の最終話です。

 1733年 11/18 シュネー村にて、レグルスは17歳になっていた。身長も182cmと3年前と比べても随分と大きくなった。ヤン師匠との修行の成果もあってか、実力も十二分に付いてきた。現在その師匠と模擬戦の最中である。互いに拳を高速で撃ち合っている。横から見学している人には2人の動きを目でとらえることができないほどの速さである。周囲には時々突風が吹く始末である。ちなみに今日は小枝が軽く揺れる程度しか風が吹いていないはずである。


「っ畜生! 当たらねぇな! これならどうだ?」


 自己の残像を発生させ、瞬時に師匠の真後ろに回るレグルス、両手を組んで、ヤンへ振り下ろす。が、それは読まれており、蹴りで受け止められる。後方に飛ばされ体勢を立て直す前に顔面へ殴りかかってくる師匠。それを首を傾けることで間一髪躱し、レグルスは渾身の右ストレートを放つ。が、これを両手で受け止めるヤン師匠。がっちり受け止められ、両者の動きが止まる。


「ここまでじゃろ? これ以上やってもわしの方は体力が続かん。 お前さんの勝ちじゃ。 さすがじゃな。 まあ、訊きたいことができれば答えるが、基本的にもうわしが教えられることはないと言っていいじゃろ? 卒業じゃよ。」


「ありがとうございました。」と改めて礼を言う俺レグルス。師匠には本当に世話になったと思う。持っている技を惜しみなく教えてくれたしな。何より俺にとって親代わりといっても過言じゃないかもしれない。ちなみに、計7年間の間に、ステータス的にはここまで成長した。


レグルス LV351 天職 聖職者 回復魔法の才能 空間魔法の才能 格闘の才能 現在の職業 冒険者


    HP      7876

    MP     10459

    力      5826+100

    きようさ   7218+200

    すばやさ   9113+150

    魔力     8511


    技能  格闘LV276 火魔法LV17 光魔法LV90 風魔法LV45 回復魔法LV215 

        空間魔法LV120 料理LV45 学問LV60 

        +ブレス耐性50% 混乱耐性100% 幻惑耐性100% 毒耐性100%

        +MP自動回復

        +加えたダメージに比例したHPの吸収(非生物を除く)

        【幻獣の革手袋】【術師の腕輪】【吸気の腕輪】装備中


 とこんな感じである。ホントによくここまで鍛えてもらったと思うわ。 実は俺レグルスは今日この村を出て旅に出ようと思っていた。このことは、師匠やギルドマスターのスネイルさん、ホセ村長にも相談したし、偶に遊びに来る両親にも話をした。自分で最強だなどと自惚れるつもりはない。人外レベルの強さになったとは思うが、世界は広い。他にもすごい人はいるだろう。加えて世界は大きな混乱期を迎えている。一つ間違えれば今の俺でも簡単に死ぬだろう。

 

 だが、それにもかかわらず、一度この村を出て、世界を周ってみたいと思うようになった。まだコトナ村に居た頃に考えていた、探検家になる夢を今なら叶えられると思ったのだ。世界中の遺跡を巡って自分の手で謎を解明してみたいという思うが強くなっていた。


 加えて、実はラーウェの町からこの村の冒険者へ向けての依頼が来ていた。その内容とは、物資を運ぶ商隊の王都イザヴェラまでの護衛であった。初めは何故この村からなのか?と疑問に思ったのだが、今は王都までの街道のいたるところで治安が悪化し盗賊団が発生しているらしい。魔獣の発生もあるようだ。実際、輸送に失敗した商隊も多いらしい。必然、王都は物資が不足し極端な物価高になっているとのことである。そんな状況で、護衛の確保も困難になり、強者ぞろいで定評があるシュネー村ギルドに声がかかったのであった。大変な事態だが、自分にとっては村を出て旅に出る理由付けにはなった。このことを初めて師匠に相談したときは、少し寂しそうな、でも嬉しそうではある、そんな顔をされた。でも賛成はしてくれたし、他の人も反応は似たり寄ったりであった。そういう経緯で俺レグルスの村出立が決まったのである。そんな感じで、今日の日を迎えることになった。さっきの模擬戦は師匠から言い出したのだが、しばしの別れの挨拶代わりだったのかもしれない。


「さてレグルスよ。後で港にて見送りはするが、今日で一旦お別れじゃな。でじゃ、今日はお前さんに渡すものがあるのじゃ。」


 ヤン師匠の奥さんのアスカさんが、何やら包みを持ってきた。何だろう?とりあえず開けてみると、これは!・・・全体が藍色の武闘着だった、下半身のは少しダボっとしていて腰を紐で縛るタイプ。上半身は下は膝近くまで隠す感じで、ああ、体の右側をボタンで留めるのか。正面には龍の刺繍が縫い込まれており、背中には破邪の文様が同じく刺繍されている。鉢巻と靴もセットだ。


「これは、お前さんへの卒業祝い兼、旅の選別じゃ。わしにできる最後のことじゃと思って受け取ってくれぃ。ちなみにこれは、生地自体はホーリーエイプの革を使っておる。柔軟性に富んでいるので、衝撃を吸収してくれるぞ。加えて若干だが、着てるだけで体力の回復効果まである。中には雷鳥の羽がたくさん仕込んであってな、更なる衝撃吸収と雷撃と麻痺の防御効果があるのじゃ。さらに武闘着にはグレートドラゴンの鱗を砕いたものが織り込まれていてな、急激な熱変化にも耐えることができる優れものじゃ。」


 3年前のあの依頼は、コイツの材料を集めるためだったのか?・・・全く想像していなかった。


「いつかこんな日が来ると思っててな、その日のためにドヴェルグ王国に住んでいる、わしの知り合いの裁縫職人に作らせていたんじゃよ。伸縮能力も付いているから、ちゃんとお前さんの体に合うじゃろうて。受け取ってくれるな?」


「ありがとうございます・・・」 畜生。前が滲んでぼやけて見えやがる。・・・




 4時間後、自宅の部屋の片づけ、荷物整理を終えて、俺はシュネー村の港に来ていた。ちなみにこの村にある自宅はそのまま残していくことになった。だから、家財道具もそのまま残してある。残っていた食べ物は、ほとんど村の欲しい人にあげてきたし、着られなくなった服も、お下がりとして近所の子に上げた。


 この港からは、ラーウェの街への定期船が就航している。とはいってもど田舎なここに来るもの好きな旅人もめったにいないため、基本的には物資の運搬がメインの活用方法である。この島の特産である、様々な香辛料や果物、米、そして麻などの衣服の原料をこちらから持ち出し、生産された衣服、道具、家具などの工業製品ののほか他、小麦やこちらでは見ない種類の野菜とかを持ってきてもらって取引している。こちらの村人が買い出しのためにラーウェに行くことも多々あるようだ。極々稀に、ラーウェからの旅人も来ることもあるようだが。・・・


「いよいよお別れじゃな。また、いつでも帰ってきなさい。村を挙げて歓迎するぞ。」


「体には気を付けてね。あまり無理はしないでね。」


と、ホセ・イルザ村長夫婦。


「レグルスが活躍するたびに俺には情報が入ってくる。俺たちの村のもんだからな!って自慢できるような大活躍を期待してるぜ!」

 

と、ギルドマスターのスネイルさん


「君に命を助けられたことは一生忘れない。ありがとう。・・・あと酒癖と抜けてるところ直せよ。」


と、マルコさん。・・・ってうるさいわ! 残念ながら酒の許容量を忘れる悪癖はあれ以降治ってはいなかったりする。


「あなたがこの村に来てから、主人は本当に楽しそうにしていたのよ。家でもね。本当の息子は、この村ではない同じガイアナ島の村に行っちゃってそこで所帯持ってるんだけど、なんか、新しい子供ができたみたいで私もうれしかったのよ。またいつでも帰ってきてね。」


と、アンナさん。うん、いつか、きっと・・・


「レグルスよ。お前さんは、強くなった。そう、ワシよりもな。お前さんを倒せる魔物もそうはいないじゃろうが、決して慢心せず精進するのじゃ。いっそのこと、魔王を倒してくれてもいいじゃよ?」


いや、師匠、無茶言うなや! でも肝に銘じます。


「皆さん。見ず知らずの子供を温かく村に迎えてくださり本当にありがとうございます。おかげでここまで育つことができました。・・・ちょっと世界を見てきます。・・・ここは俺にとっての第2の故郷で、今や唯一の故郷です。・・・行ってきます!」


 出発の合図が鳴り、ボコボコ音を鳴らしながら出港する。一応、客船と名がつくこの小さな船は、唯一の客である俺と、大量の荷物を載せて。声が聞こえる範囲まで、


「「「「行ってらっしゃい!」」」」


という声が聞こえ続け、その間、レグルスはずっと手を振り続けるのだった。



 レグルスの大冒険は、このようにして始まったのであった。


 


第3章からいよいよ本格的な冒険が始まります。作品名の通りな話になるよう頑張ってみます。以前世界の設定を書きましたが、それから3年以上が経過してます。更なる変化は、基本的には、その都度、レグルスと同じ目線で書いていこうと思っています。そんな感じで、よろしければ今後も是非お付き合いのほどをよろしくお願いします。

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