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格闘聖職者の冒険譚  作者: 岩海苔おにぎり
第2章 シュネー村での日々
11/102

侵略されるイザヴェル王国と隣国の動向。そして世界の異変の始まり。

今回も説明回です。レグルスが修行中のその他の動向色々です。

 1726年 11/5 にドラゴンを率いた謎の集団によってコトナ村は滅亡し、避難してきたものの言により、イザヴェル王国は未曽有の危機に直面したことを知る。ドラゴンが100頭もいたとの報告から、魔王の再来であると断定。国王ウィリアムは直ちに戦争の体勢を整えるように指示。だが、事態はそれよりも早く動く。そもそも、敵がいるコトナ村辺りから王都イザヴェラまでは500㎞であり、敵軍がやってくるのも時間の問題であった。


 同年 11/12に奴等は来た。報告により聞いていたドラゴンの他、およそ2万程の魔物の軍勢である。飛行するドラゴンを中心とする魔物団は大河イザヴェラ川を横断し、王都へ侵攻しようとする。対岸にはすでに配備していた弓兵部隊が応戦。ドラゴンには通じなかったものの、その他の飛行系の魔物に対しては効果を発揮しその多くを打ち落としていく。がどうしても討ち漏らしは発生し、そもそもドラゴンの竜鱗は弓兵団の放った矢を貫通させることを許さなかった。


 王都に到達したドラゴンをはじめとする魔物の一団は、空から街を攻撃する。火炎を吐き、力で建物をなぎ倒し・・・勿論、死傷者も多数出たが・・・魔法部隊が、主に風魔法を使いながら、翼にダメージを与え打ち落としていく、そこをリック将軍率いる陸戦部隊が地に落ちた魔物を打倒していく。特に片手斧の達人であるリック将軍や、槍の使い手であり魔法も使いこなすスレイマンが中心となり、ドラゴンなどもものともせず打倒していく。数十頭魔物と倒したところで、飛行系の魔物団は退却していった。


 一方、飛べない魔物の一団は船を使い大河イザヴェル川を横断してくる。が、これについては、王国海軍が出動。大河を横断し始めた敵軍の船に対して、大砲による攻撃。幾隻かを川底に沈めると、残りは砲撃を受ける前に退却していったのである。空を飛ばない魔物に対しては、イザヴェル川自体が、大きな防御壁の役割を持ってくれそうである。このようにして、王都イザヴェラは1回目の魔王軍の襲撃から防衛することに成功するのである。


 それから、3年程経ち1729年、イザヴェル王国はイザヴェル川よりも東側一帯は何とか防衛することに成功してはいた。が、それは国土全体の3分の1程であり、残りの3分の2にあたる川の西側全域が魔王軍の支配下にあった。イザヴェル川の西岸は、特に王都周辺は常に魔王軍が展開しており、にらみ合いの状態が続いている。もし王都の周辺でなかったとしても、イザヴェル川のどこかで魔法軍に渡河されてしまえば、王都は敵の陸軍の侵攻を受けることになり、空からの部隊と合わせると、恐らく王都は持たないであろうし、それはすなわちイザベル王国の滅亡を意味する。この国の最大都市は王都イザヴェラであるが、第2の都市は、隣国のミズガルム共和国の傍に位置するラーウェである。今やこの国は、貿易の中心ともなっているラーウェとの物流によってかろうじて持っているといっても過言ではないのである。がもしも魔王軍に下流域辺りを突破されれば、王都とラーウェの物流は寸断される。このことだけで、この国は滅亡したのも同然である。よって、イザヴェル王国はイザヴェル川の極めて長い東岸の防衛に奔走するのである。加えてこのことは、陸戦部隊をはじめとするイザヴェラ王国軍の疲弊を意味し、王国は先の見えない厳しい状態であった。


 だが、希望もあった。国王は3男1女に恵まれたが、どの子も優秀であったのである。第1王子【ディアス】は現在20歳。カリスマ性があり、西方よりの大量に流れてくる難民によって混乱してもおかしくない国の状況を様々な施策によって回避し国民の支持を集めている。第2王子の【アレン】は現在17歳。武芸にすぐれ、魔王軍侵攻の際にしばしば従軍し多くの戦果を挙げ、ドラゴンスレイヤーの称号さえ持つに至ったほどである。第1王女【ミリアム】は現在15歳。理知的であり、王国の政策立案に一役買っているほどである。また回復魔法の使い手であり、よく戦場から帰った兵士をいやして回ったりしている。何より、可愛さと美しさを併せ持つ外見は、兵士たちや王都民に絶大な人気があるのである。こういったことからか、国民には悲壮感はなく、苦境に対して一丸となって戦っていく体制だけはできていたのである。


 そして、これは極一部の、政権の中心を担う王族・大臣・将軍などの存在以外、極秘扱いになっているのだが、第3王子【リーフ】、現在10歳になったばかりなのだが、ステータス上に【勇者の素質】と表記されていたのだ。国王たちは歓喜した。国民に知らせれば大きな希望を与えることができる。が、それはあくまで素質であり、現時点で少なくとも勇者ではない。敵に知られて狙われれば、彼の命は簡単に失われてしまうだろう。国王たちはジレンマに陥ったが、結局秘密にしたのだ。そして、目立たぬようにリーフ王子を成長させていくのである。




 1726年 11月にイザヴェル王国がドラゴンをはじめとする魔物の軍団と戦争状態に入ったとの報は、イザヴェラ山脈を境に隣接している、ここ【グリバール王国】にも届いていた。当初は対岸の火事として、単に事実としてそのことを受け止めていたのだが、月日が流れるにつけ、イザヴェル王国は国土の多くを魔軍に占領されていくにつれ、加速度的に危機感を増していく。ただ、距離的には近いはずのこの国には、戦火は届かなかった。険しい山々に国境を遮られている点、グリバール王国の国土の大部分が冷涼であるのも原因であるのかもしれない。だが、もしもイザヴェル王国が滅亡した後は、領内に攻めてくることも十分に考えられるため、いつでも戦争を開始できるように軍備拡大だけは怠らないのだった。




 友好国であり、同時に最大の貿易相手国であるイザヴェル王国に対する魔王軍の侵攻のニュースが【ミズガルム共和国】に届くと、今後の対応策で、議会は紛糾することになる。早急に災害用の援助を隣国に届けるべきだとか、寧ろミズガルムも参戦して、一致協力して魔法軍を駆逐すべきだとか、逆に干渉すべきでないとか、正義感で述べるもの、自己の利権を守ろうとするもの、ぐちゃぐちゃになっている。軍の行動や隣国への支援は大統領であるネルヴァの権限であるが、それには議会の承認がいるのであり、その予算は議会によって決められる。行政の長である大統領は、立法府である議会には口出しできないのである。よって、【ネルヴァ大統領】は、議論の進行を見守るしかないのであるが。


 ミズガルム共和国は、唯一の国王や皇帝といった支配者が存在しない国家であり、国民が選挙によって指導者である大統領や議会の議員を選出する国家である。場所はユグラドル大陸の中央に位置し、西はイザヴェラ王国やグリバール王国、南はドヴェルグ王国、、東はイース帝国と隣接している。東には世界最大の湖ウルズ湖、南や東には大きな山脈があり、他国から侵攻される可能性は低くはあるのだが相手は魔王軍である。国土の多くが温暖であり、森林が多く資源も豊富なこの国は魔王軍に狙われると思っていいだろう。ネルヴァ大統領は有事にへの対応策に頭を悩ますのだった。




 【ドヴェルグ王国】は、ミズガルム王国の南に位置し、国土の大部分は熱帯雨林とサバンナに覆われた自然豊かな国であるが、ドワーフ族を中心とした技術大国でもある。当然軍事力も高く、今回の一件もまずは静観する方向で話がまとまっていた。もともと国内に強力な魔獣が生息しており、それから国民を守るため、高い技術力を背景にした高性能の武器が開発されており、仮に矛先がこのドヴェルグ王国に向いたとしても問題ないと考えられていた。同じ大陸にありながら当方のイース帝国と同様に、陸地で接しているのがミズガルム共和国のみであるため、歴史上見てもほとんどの場合、他国との戦争には中立を保っているのである。・・・・・




 ガイアナ島の南に位置するレムリア大陸の中央には【アルカディア王国】がある。大陸西側の【ジャンナ王国】や東側の【ヘスベリス王国】とは長年敵対関係にあった。だが、両国の国境沿いに山脈が横たわっているため、中々戦争にはならない冷戦状態にある。軍事的には2国に囲まれた形になっているアルカディア王国であったが、大陸の中で最も豊かな部分を占めてはいた。


 魔王軍の侵攻の話は、他国とそれほど変わらないタイミングでもたらされた。何より脅威に感じたのは、魔王軍の侵攻はガイアナ島より開始されたことである。もともとガイアナ島はドラゴンをはじめとする、特に強力な魔物の巣窟である。今回はたまたま北へ侵攻しただけかもしれない。いつ南に矛先が向くとも知れないのである。だが、東西に存在する国もアルカディアにとっては脅威であり、軍隊の配備をどうするのか?頭の悩ませど頃であった。




 少し時間が遡り、滅亡後のコトナ村にて、ヴィトは自らの世界の住人を追加でさらに呼び寄せていた。そして、今後の方針として現在侵攻を開始したこの国をまずは手中に収めて、自分たちが入植するための土地とする考えであった。ガイアナ島で従えたニーズヘッグという龍に引き寄せられる魔物が発生してきていた。そうして、数日の間に魔物の大軍を自らの軍とすることができたのである。その総数たるや10万程。さらに増えそうである。その一部を使ってまずは首都を攻め滅ぼすべく進軍を開始させる。ニーズヘッグの進言である。もう、我々が直接手を下す必要はない。だが、侵攻の結果は敗北であった。だがしかし、別に悲観する必要はない。東側は侵攻が難しいのであれば、西側は大きな都市もなく、この地域には攻めてくる国が存在しないため、軍事力も大きくはないのである。そのため、一定量の魔物軍を東側に向けて圧力をかけるとともに、魔物軍の主力は東側に向けた。その結果、この国の西側大部分が半年足らずでこちらのものとなった。


 そのことを受けて、同胞をさらに大量に入植させて、同胞の人口はすでに10万を超えた。どうやら私のことは原住民に魔王と呼ばれているそうだ。ならば、いっそ私は魔王を名乗ってやろう。ここに我々の新天地を建設するのだ。・・・・・




 その3年後、イザヴェル王国とかいう国のの思わぬ抵抗にあい、未だ滅亡させられずにいる。口惜しいことだ。その代わり元の世界の入植者は30万を超えた。国造りは順調に進んでいる。魔物の軍もニーズヘッグのおかげで相当増強した。そう急がなくても、この国の住人を皆殺しにできるだろう。・・・


 ・・・もともとこの世界には、我々が入植するため、殺戮する覚悟を持っていたのは確かだ。だが、別に殺戮に喜びなどは感じないし、これまでも戦争を好き好んで実行したことなどない。むしろ元の世界では人の命を奪う行為に良心の呵責があったはずだ。・・・いつから私は同胞ではないとはいえ、殺すことに喜びを覚え、殺し損ねることに怒りを覚えるようになったのか・・・イザヴェル王国への侵攻以外にも、ニーズヘッグは自分の命令を聞く強大な魔物を召喚し、世界各国に派遣しその地域の魔物を活性化・狂暴化させることで、徐々に世界の支配を開始していると報告していた。ニーズヘッグの支配下になるということは、そのニーズヘッグを支配できている我々の支配下に入ったことを意味する。だから方針としては問題ないはずだ、だがこの世界の人々を殺戮することは考えていたが、私がそれを喜々として承認している今の状態は危ういのではないか・・・今の状況はヤツに依存しきっている。ヤツが私の支配をもし外れるようなことがあったら非常にまずいことになる・・・ん?私は今何を考えていた?・・・思い出せない・・・兎に角、殺せ殺せ殺せ!・・・この世界の住人を殺し尽くせ!・・・わが同胞のために・・・我が愉悦のために・・・フハハハハ・・・


 『・・・計画は順調だ。我が野望をかなえるには、まだまだ時間が必要だが、そう遠い先でもあるまい。もうすぐ、我が最大の目的である・・・』


 ある存在が、自らの心の中でそう念じていることに気づくものなど誰もいなかったのである。一部の協力者を除いて。




 そして、ちょうどそのころから、つまり、魔王軍の侵攻からだいたい3年後から、世界各地で魔獣の活動が活発になり、これまで存在したことがなかった魔物まで出現するようになり、魔軍の侵攻を受けていない国々も大きな被害を受けるようになる。これによっていよいよ魔王を脅威と感じるようになった各国は様々な対策を講じるようになるのである。


 世界で2番目に大きい大陸であるアースガルド、その全域を支配する、世界最大のアースガルド帝国は保有している強力な魔法戦士団を用い、国内の魔獣狩りを敢行する。アースガルド大陸よりはるか南に存在するスヴァール大陸に存在する、エルフの国【エルフィン王国】では、この世界の異変を強く感じ、南極地方のとある場所で封印されているあるものが解放されないかどうかを警戒するのだった。

一部を除いて、この世界の動向を、多かれ少なかれ書いたつもりです。次回から少しだけ成長した3年半後、14歳になる少し前のレグルスの話(修行編)です。何話か書く予定です。島の中でですがまともな冒険を始めます。

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