エピローグ
最終回です。
かつての魔王ゲルザードが封印され、そしてその魔王が呼び出してしまった邪神ダグナーガが倒された後、世界はどうなったのか?
まず、レムリア大陸が3国家に分裂する切欠になった大陸東の砂漠化。その原因が土竜の仕業なのではなく、ゲルザードによる過度の生命力吸収によることが判明して以来、それまで戦争が絶えなかった3国間で和平の動きが活発化しだしたのである。流石にすぐさま統一国家樹立というわけにはいかなかったのだが、平和条約は締結され、人や物の動きは活発化したのである。今後は統一とまではいかなくとも、一つの経済圏として発展していくことだろう。
アースガルド大陸は、短い期間とはいえ、そこにあったアースガルド帝国は滅ぼされ、魔王国の支配下に入っていたが、魔王討伐により、ロベルト率いる反政府組織である自由の御旗の活動が活発化。発生した大虐殺による混乱も乗り越え、新政府を樹立したばかりである。まだ統一が出来ているとは言い難く、少なからず抵抗勢力も存在するが、現時点で既に後ろ盾になっている国家もあり、そう遠くない将来、国際社会に名乗りを上げられる存在になるだろう。
スヴァール大陸の北に位置するエルフィン王国は、この度の動乱で少なからず混乱は起こったものの、他地域との比較という意味では、被害が多くはなかった地域である。しかしながら、今後は、他国と交流が乏しかった状況を改めた方が、情報の流入という意味では得策であろうと判断され、他国との貿易や文化交流が活発化していくことになる。
ユグラドル大陸の東に位置するイース帝国は今回の動乱の最中、アースガルド帝国と戦争状態にあったが、帝国の滅亡によって事実上の停戦状態となる。そのアースガルドに新政府が樹立されたことにより、正式な和平への動きが活発化し始めている。その新政府は、戦争の最中に共闘関係にあった為、近い将来、互いに良い関係を築いていけるだろう。
ユグラドル大陸中央のミズガルム共和国はその南に位置するドヴェルグ王国とともに、今回の動乱で大きな被害に逢わなかった国家である。まだまだ混乱の最中にある国家群の中で元々の経済力的にも指導的立場にあると言っていいだろう。外交関係の仲立ち、経済援助等々・・・今後果たすべき役割は多いと言える。
そのミズガルムの西に位置するグリバール王国も大きな被害に逢わなかった国の一つである。が、今回の動乱を機に友好国となった、その南に位置するイザヴェル王国が最も大きな被害に逢っている国であるため、帰国したラーク王子が中心となり、イザヴェル王国を援助していくことで国内の意志をまとめている最中である。
そして、そのイザヴェル王国であるが、この度の動乱によって、実効支配できている領土が、王都イザヴェラと第二の都市ラーウェの周辺のみと、大きく減らしていた。が、魔王の討伐と勇者一行の帰還によって状況は一変する。王国軍は奪われた領土に対して行軍を開始。が、既に指導者を失ったアガルダ帝国に抵抗の意志は既になく、あっさりと支配領域を回復することになる。行軍の開始から一週間程度であった。その後正式にイザヴェル王国復活が宣言されるのである。その際、移住してきた異世界人に対して、王国政府は寛容な政策を取る。あえてその罪は問わず、そのままイザヴェル国民として永住権を与えたのだ。元々住民同士の対立はそれほどなく、結果としてはイザヴェル王国が大きく国力を損なうことは無かったのである。
異世界人達にとっての元の世界ヴァルハラは依然として戦争の爪痕が大きく、既に世界が滅んでいるに等しい有様であった。そのため、イザヴェル王国を中心に移民の受け入れを進めていった結果、ごく一部の人を除いてこちらの世界に移住してきたのである。侵略ではなく、相手側が移民を受け入れたという点が大きかったのだろう。また、その際、ライズらが仲立ちとなったのは言うまでもない。
この世界の裏側に位置するセファレント大陸とその中にある神域についてはこれまでと同様に世間には秘匿とされた。違う点があるとすれば、各国の指導者にのみ情報が共有されたことだろうか。ただ、基本的に神域に立ち入ることは禁止された。次なる危機が訪れた際にのみ、例外を許すかどうかが話し合われることとなったようである。一般国民には今後も知らされることは無いであろう。
ちなみに、今回の立役者たちはどうなったのか?
コーネリアは自宅に戻り、子供らしく学校に通っている。ただ中身が大人であるため勉強は簡単すぎるようで、頻繁に家出してはものの世界の知り合いであるライズの元に行っているらしい。
カノーはたまたま訪れたミズガルムの首都ラバナが気に入ったらしく、この国の魔法研究所の研究員なんかをしていたりする。転移魔法が使えるためエルフィン王国にある自宅から通っているようだ。
カペラは妹のユーフィとともにシュネー村に居ついてしまった。結局昔レグルスが使っていた家が正式に2人の自宅となったようだ。そして村の若い男たちに狙われているとかいないとか・・・
ラークは帰国した後、すぐには王位を引き継がず、主に外交の場で活躍しているようだ。その地位を利用してか、頻繁にイザヴェラ王国にやって来ては、ミリアムやリーフに絡んでいるらしい。
ラルフ、アレクは是非にと懇願されイザヴェル王国軍に編入された。特にラルフはいきなり部隊長を任されている。アレクは自由な活動時間が欲しいと主張したため、あくまでも一兵卒のようだが・・・趣味の絵を描きながら荒稼ぎをしているようである。
そしてレグルスはというと、士官の話を断り、現在はエストとともに自由気ままな旅をしている。今回正解中を回ったものの、ほぼ自由には行動しなかったため、もう一度世界中を回りたいという衝動が勝ったようである。ちなみにエストに関しては問答無用で付いて来た訳である。で、現在はイース帝国の東側に居たりする。
「レグ~! 早くこっちに来なさいよ!」
「ちょっと待ってくれよ! 今行くから・・・」
2人の新たな旅はこれからも続いていきそうである。
これまで読んでくださった方々、有難う御座いました。 そのうち次回作を出すつもりでありますが、その時、再び目に付いたらお付き合いいただければ幸いです。では、また会う日まで。




