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想い成就の守り
僕は自分の名前が嫌いだ、皆に笑われるから。
深川 裕梨って名前は女の子みたいな名前でダサいらしい。
「名前って変えられないのかな…」
塾の帰りに白い息を吐きながらそっと呟く。
ザザッ。
木々の揺れる音がする、僕は自分の耳を疑った。
この辺りはビルだらけ。大きい木なんて一本もない。しかも
その音は…川の中から聞こえてきたんだ…。
鬼縛川…本当はもっと普通の名前の川だけど、鬼みたいな形の石像に縄が縛り付けられた変なオブジェがあることからそう呼ばれている。
『昔いた鬼が暴れすぎて神によって力を封じられて石になった』とか噂で聞いたことあるけど…僕はそういうの信じた事ない。(怖いから)
気のせいだろう、と川を上からのぞき込む。
「……なんだ?あれ」
不透明な緑色の水面に真っ赤な鳥居がはっきりと見える。