89サメ顔の女の子
まばたきした瞬間、世界が一気に変わった。
まるで最初からそうであったかのように、門があり、町の人のいない世界になっていた。
双星「願い事が叶ったってことだよな・・」
馬「ブルルン。」
あ、喋らなくなった・・やっぱり馬が喋ってたのは、強運とかそういうのとはまた別のなにかだったんだ。
猿の手が天使の加護って言ってたけど・・
双星「なぁ猿の手、俺が強運だったり人間以外と喋れたりしたのは天使によるものなの?」
だが、返事はなかった。
これもダメか・・本当に、ひとりでなんとかしなくちゃいけなくなったんだな・・
なんかもう涙目になって来た。
怖いけど・・自分で決めたことだから・・最後まで突き進もう。
俺は、門を開け入っていった。
・・
・・・・
中は過去に戻る前と変わらず。
なら当然・・
サメ顔女の子「・・」
いた!
ちゃんと過去に戻ってきているみたいでちょっと安心。
ここから本番だけどね。
双星「話を聞いてくれ。俺は町の人や調査隊の人を助けたい。」
サメ顔女の子「・・」
女の子は、前と同じ方向を指差した。
双星「わかっている。その先はこの世界の心臓部だ。」
双星「でもそれではキミが救われない。キミも救える方法を教えてくれ。」
サメ顔女の子「・・」
女の子は悩んでいるようだった。
そして・・首を横に振り、同じ方向を指差した。
救えないのか、救われたくないのか、救う方法がないのか・・それでも俺は・・
双星「ありがとう。でも、少し自分で調べてみることにするよ。」
救われるべき人が救われる方法を。
サメ顔女の子「・・」
女の子は、歩き出した俺をずっと見つめていた。
・・
・・・・
これで、俺のすることに賛同する人は0人確定かな。
猿の手も別に賛同してるってわけじゃないだろうし。
・・昔、旅に出るときも同じだったっけ。
みんなバカみたいなことだって、やめろって言われて・・それでも俺はあいつと一緒に旅に出て・・
あれから俺はなにも変わってない。
ずっと石頭なままだ。
「最初は、脆弱な存在だった」
ん?
「私は捕食される側・・ひっそりと、植物や、小さな虫で生きてきた。」
「やがて少し力がついてきた。小動物くらいなら捕食できるようになった。」
誰の声だろう。聞いたことない声だ。
「なぜ私が生まれたのかはわからない。気が付いたらそこにいた。」
「脆弱だった私はいつの間にか安心して生きられるくらいには成長した。」
あの女の子のこと?
「ある日、気が付いたらお腹いっぱいになっていた。」
「知らない間に・・私がなにもしなくても捕食するようになっていた。」
サメ顔の女の子のことであると同時に、この世界のことなのかも。
「熊、虎、人間・・いつの間にかなんでも捕食していた。」
「私は別に構わなかった。」
この頃から人間も対象になったのか・・
「人間は私を見て怖がる。だけど、赤ん坊は違った。赤ん坊はかわいかった。」
「その赤ん坊を私は捕食していた。ようやく、私が私でなくなっていたことに気付いた。」
・・。
「誰なの?私なのに、私じゃない。怖い、怖い、怖い。」
「死のうと思った。だけど、なぜか自分を殺せない。」
普通の生き物に近い感覚っぽいな・・
赤ちゃんをかわいいと思ったり、自殺に抵抗があったり。
「死にたい。死にたい。死にたい。怖い。死にたい。怖い。死にたい。」
「変わった人間がいた。世界とつながっている。この人間なら、私の中でも自由に行動できる。私を殺せる。」
たぶん、これが俺のことだろう。
世界とつながっているっていうのはよくわからないけど。
・・ずっと、苦しんでいたんだな。
助けたい。でも、どうすればいいんだ?
考えながら歩いていると、なにかやって来る。
んーと・・魔物だ!




