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81新王、旧王


朝。

宿のエントランスへ行くと、大勢の人だかりができていた。


国民「王が来たぞ!」

国民「双星バンザイ!双星バンザーイ!」

王?なんで俺万歳されてるの?


モルダー「これが国民の総意だ!」

どゆこと?


コード「双星が新しい王にってみんな望んでいるんだぜ!」

マジで?


アルファ「さすがね、あなたならいつかやってくれると思ってたわ。」

俺は全然思ってなかったんだけど。


ゴッド「オレがミラクル・ゴッドだ!」

知ってる。


タヌキ「みんながお前の即位のために来てくれたぜ。」

マジか・・


麗しのミルキーウェイ「新しいA国にカンパイ。」

みんなが俺を注目する。

みんなが俺に期待する。

俺が・・王・・?

まさかの俺の時代到来?


国民「さあ双星様・・いえ王!王宮へ行き古き王に引導を渡しましょう!!」

国民「我らが道を作ります!みなが待っています!」

信者「今日は最高の日だ!」

国民の道を通り、俺は王宮へ向かった。


・・

・・・・


王宮も国民が占拠していた。

国民から声援を受けながら、俺は王のいるところへ向かう。


・・・・


王様は玉座に座っていた。

ここも国民が占拠していて、あとは俺が王様に引退を伝えるだけになっていた。

俺の時代始まった。

さぁ新しい国造りといこうかな!


天井「双星バンザーイ。」

床「新しい王様の誕生だ!」

壁「今日は国民の休日になる!」

空気「おめでとうおめでとう!」

ありがとうありがとう。

みんなから祝福されて、俺は王になります!


玉座「ぷぷぷ、古い王様震えてやがるぜ。」

そりゃあ王の地位を引きずり降ろされるんだからな。

それが王の宿命!

それが王の運命なのだ!

愚かな王は粛清されるのだ!


あれ、でもそれって・・俺が王になるってことは・・次は俺の番ってこと?

・・王様の今の姿は・・将来の俺の姿?

そういえばヒミカさんも以前言ってたっけ。


―――回想ここから


ヒミカ「王とは権力は少なく責任は大きく、いつでも革命と暗殺に怯えて生きている。」

ヒミカ「王と同じ立場の者はいない。皆が王の資質を審査している。安らぎの時はなく、いつも孤独に苛まれている。」

ヒミカ「王が一般人には理解できないような享楽に興じるのは、普通の快楽では苦痛を忘れられないからだ。」

ヒミカ「王城は監獄だ。子作りも食事も仕事の一環。自由はないものと思え。」


―――回想ここまで


・・あれ、王様になるのって貧乏くじじゃね?

今ここにヒミカさんがいないのが悔やまれる。

そういやダークエルフさんと一緒に出掛けたままだ。

頼りになるふたりがーあーあー。


国民「さあ双星様!古き王に引導を!」

うーん。


双星「お・・王様バンザーイバンザーイ!俺は王になりません。俺は王様を支持します。王様万歳!」

国民「・・」

大臣「・・」

国王「・・」

みんなの目が点になる。

言ってしまった。

あああ、なにか言い訳しないと。


双星「お、王というのは国民を導く存在であり、導かれるものではないのです。」

双星「この度は国民の声を聞いてここへ来ましたが、それではいけません。」

双星「王とは自分の意志で行動しなければならないのです。国民の意志で動くのなら、王である必要はありません。」

双星「時には国民にとって一時的な不利益を与えることもあるでしょう。しかしそれは国の未来、国民の将来を考えてのもの。」

双星「国民に導かれて王になっては、それができません。」

双星「私が王になるならば、自分の意志でここに来ます。そうでない以上、王になる理由はないのです。」


双星「そして誰もが王になれるわけではありません。」

双星「王とは命を懸けて国民の幸福のため行動しなければなりません。」

双星「ですがそれは・・人としての本能に逆らうものです。」

双星「人は誰でも自分の利益のために行動します。王はそこを曲げ国民を第一に考えるのです。」

双星「誰にでもできるものではありません。王とは国民のために行動できなければならないのです。」


双星「みなさんは、近所に住むニートを救おうと思いますか?」

双星「みなさんは、裏通りで身を売る人を救おうと思いますか?」

双星「みなさんは、人の道から外れたヤクザもんを救おうと思いますか?」

双星「今までみなさんはなにをしましたか?」

双星「みなさんが助けたがるのは、災害の被災者や、海外の恵まれない人たち・・」

双星「それは、自分に危害が少なく、人に自慢でき、自分の功績となり、感謝されるもの。」

双星「身近な人ほど助けない。身近な人ほど後腐れができてしまいます。自分の不利益になることを人は無意識に除外するのです。」


双星「しかし王はそれではいけません。国民から目を背けることは許されないのです。」

双星「王になるために育ち、王になるための教育を受け、王としての誇りを持った者が王にならなければ国民は不幸の道へと進んでしまいます。」

双星「・・誰でも王になれるわけではないのです。王とは軽々しく変えるものではないのです。」


双星「王は簡単な仕事ではありません。時には間違うこともあるでしょう。」

双星「もしどうしようもなくなった時には・・その時は王に引導を渡しましょう。」

双星「ですが今はその時ではないのです。」

双星「その時まで、私は王を支持し続けます。協力し続けます。その時が来ないように・・」


双星「・・それだけです。私は王を支持します。」

よし、帰ろう。

今すぐ帰って寝よう。

きっとこれは悪い夢だ。

王とか冗談じゃない。王になるの怖い!


国民「ふざけんなよ双星!なんのためにみんな集まったと思ってんだ!」

国民「この期待外れが!」

国民「お前も所詮その程度かよ!国家の犬が!」

みんなから罵倒されながら帰った。

もっとふさわしい人を選んでよ。俺には無理無理。


・・

・・・・


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