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07二回戦


次の日。

あー今日は試合の日だ。

結局昨日はそのまま寝ちゃったからなぁ・・

もう負けていいよ。どうせ一夜漬けしたところで優勝賞金100億狙ってる人たちには敵わない。

もらったアダマンタイト製&金メッキのトロフィー売ってお金にすれば、しばらく楽チン生活だよね。


・・

・・・・


受付「あ、嘘つきさんだー。」

双星「あれ?一昨日の服は?」

受付「なんでも、試合に集中できないという抗議がありまして・・そうですよね、私なんかが着ても気持ち悪いですよね。」

双星「そんなことありません!すごく、綺麗でした。」

受付「え・・」

ヒミカ「なに見つめ合っているんだ?」

双星「ヒミカさん!?」

ヒミカ「お主らは付き合っていたのか?」

受付「いえ違いますよー。この間の服でちょっと・・」

ヒミカ「服?ああ、少し露出しすぎてたあれか。女性であるならば、もう少し慎みを持つ方がよかろう。」

受付「やっぱりそうですかぁ。双星さんには評判いいんですが。」

ヒミカ「ほう。普通に考えればお前のことが好きなのだろう。お幸せにな。」

双星「ふぉう?」

受付「んー、優勝したら考えてあげます。」

双星「ふぉぅ!?って優勝したら好きにしていいんじゃなかったんですか?」

受付「つーん。嘘つきとは約束できませーん。」

そんなぁ。やる気100%ダウン・・あ、元々0だった。


双星「ところでヒミカさんなにか用ですか?」

ヒミカ「お主の対戦相手がちょっとな・・もしかしたら今生の別れになるかもしれないので挨拶に来た。」

双星「どゆこと?」

受付「えー双星さん新聞とか見てないんですか?出場選手のこと書かれていますよ?」

双星「うん見てない。」

受付「・・次の対戦相手は魔導士のマックスウェルさんですよ。」

双星「誰?」

ヒミカ「お前!まさか対戦相手を知らずに闘っているのか!?」

双星「うん。」

ヒミカ「・・なにかの冗談であろう?1回戦を突破するほどの実力で・・なんという大物」

双星「勝てないだろうって諦めてるだけです!」

ヒミカ「いいか、今日の対戦相手のマックスウェルは、1回戦で対戦相手を炭にした。」

双星「・・・・炭って、木とか燃やしたらできるあの黒い奴?」

ヒミカ「そうだ。炎系を得意とする魔導士でな。1回戦ではドス黒い炎を召喚して相手を焼き尽くした・・対策してきたか?」

双星「き・・棄権するしか・・」

受付「えー棄権ですかー?」

双星「嫌なの!?」

受付「えっと、担当の人が棄権すると受付嬢の評価が下がるんですよね。だからできれば参加してほしいなーって。」

双星「俺が焼け死んでもいいの?」

受付「私が死ぬわけじゃありません。」

うんそうだけど、そうなんだけどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお


ヒミカ「棄権か・・お主がどこまでいけるか少々楽しみではあったが、命には代えられないだろう。」

双星「ですよねー。」

受付「まー仕方ないですけど。じゃあ棄権ですか?」

双星「はい。」

受付「参加、と。」

双星「えええええ!?」

受付「ボーナスでローン返済する予定なんです!」

双星「知らんがな!」

ヒミカ「一応私は軍の者なんだが・・まともに仕事しなければそれこそ報告させてもらうぞ。」

ヒミカ「参加者への強制など到底許されん。クビも覚悟しているのだろうな?」

受付「そんなぁ!双星さぁん・・」

双星「いやそんな目で見られても・・・・わかりましたよ。参加します。」

受付「いやったぁ!」

ヒミカ「・・いいのか?こんなアホのために命を落とす必要などないのだぞ。」

双星「・・参加すると言った以上、もう訂正はしません。」

ヒミカ「そうか。なら私はこれ以上なにも言わん・・負けたとしても、生きて戻ってこい。」

双星「ええ。」

死にたくありません!


ヒミカ「では私は客席で闘いぶりを見させてもらう・・もしお前が勝ったら・・約束通り、共に酒を飲もうじゃないか。」

ヒミカさんは客席へ向かった。


受付「ヒミカさんがお酒飲むなんて珍しいですねー。」

双星「そうなの?」

受付「ええ。軍の人が言ってましたよ、一滴も飲まないって。」

・・お酒苦手なのかな?

なら飲みやすいお酒を・・って俺が勝ったらなんだよなあはははははははははははははは。


受付「まだ時間ありますね。どうしますか?」

双星「控室でお酒飲みます!」

最後においしいお酒を飲んで死ぬのも・・ま、俺の人生だ、俺の好きなようにするか。


・・・・


控室へ行き、静かな部屋で一人最後のお酒を飲んだ。

いつもよりたくさん飲んでも全然酔えない。気持ちは落ち込んだままだ。

こんこん。


受付「双星さーん。試合始まりまーす。」

・・行くか。

うっ・・ソファーから立ち上がったら・・ちょっと気持ち悪い。

どうやって勝てっちゅーんやこれで。


・・

・・・・


受付「皆さまお待たせしました!これより第二回戦を始めます!」

受付「青きコーナーより登場したのはマックスウェル選手!」

受付「その炎魔法は対戦相手を焼き尽くす強大な力を持つ魔導士です!」

受付「赤きコーナーより登場したのは双星選手!」

受付「一回戦では華麗に攻撃を避け、急所を突いて勝利した技巧派です!」

技巧派(笑)

初心者なんだけどな俺・・


マックスウェル「お前は我に触れることすらできぬ。その前に炭となるだろう。」

双星「あの、俺初心者なんで、できれば死なない程度の魔法で終わらせてくれると助かります!」

マックスウェル「初心者?・・ふっ、雑魚は死ね。」

一回戦のイケメンインスペクターさんで負けておけばよかったあああああああああああああああ。


受付「では二回戦んんんんん試合開始!」

マックスウェル「g2p{gpqg’p4fgp’rhgp’rg’pwf・・」

マックスウェルさんが詠唱始めたあああ。何語なのかもさっぱりわからん!

どうする?どうする?どうする?どうする!?

・・あ、おならでそう・・

ぷっぷっぷー♪ぷぷぷっぷー♪

なにやらハトが豆を食べそうな軽快なリズムで、おならが音楽を奏でた。


マックスウェル「ぶっ、ぶははははははははははははははははああああしまったあああああああああああああああ」

どかーん。

マックスウェルさんが詠唱失敗して魔法を暴発させた。

・・えーと。


受付「・・・・えー、マックスウェル選手の戦闘不能!勝者、双星選手!!!」

しーんとした会場。少し笑い声も聞こえる。

そりゃそうだ、おならで勝ったんだから・・

俺はそそくさと控室に戻った。


・・

・・・・


控室の前では受付嬢さんが待っていた。


受付「おめでとうございます。双星さんって、どんな武術やってるんですか?」

双星「初心者です。」

受付「またいつもの秘密主義ですかー?」

双星「おならとか武術となにも関係ないでしょ!?」

受付「そうそう、試合結果を残すんですが、決め技はおならでいいですか?」

双星「勘弁してください。対戦相手が自滅したことにしてください。」

受付「わかりましたー。おーなーらっと。」

双星「いやいや書かないでーーー」

受付「これで二回戦突破・・いやーまさかここまで来るとは。」

双星「信じられません。」

受付「でも!これが真実!賞金400万と副賞のトロフィーでーす!」

双星「・・倍々ゲーム?え、もし次勝ったら800万?」

受付「はいそうでーす。ご不満ですかー?」

双星「いやいや不満もなにも・・え、俺おならで400万もらっていいんですか?」

受付「勝者の権利です♪」

一応受け取るが・・俺の場違い感半端ないっす。


受付「私にプレゼントしてもいいんですよ♪」

ヒミカ「大会関係者へ金品を渡したら、その時点で賄賂とみなされる。クビになりたいか?」

あ、ヒミカさん。


受付「あはははなんでもないですよあはははは。」

・・控室のお酒、受付嬢さんが持ってったのは賄賂になるのかな?

受付のおねーさんはそそくさと行ってしまった。


ヒミカ「まったくあいつは・・・・二回戦突破したな。」

双星「あーいや、あれはなんと言えばいいのやら・・」

ヒミカ「変わった勝ち方だとは思うが、勝ちは勝ちだ。術者の魔法を暴走させるとは考えたな。」

双星「100%偶然」

ヒミカ「ふふ、またそれか。」

双星「いや俺はまったくの素人なんですから。魔法を暴走させるとか普通考えつきませんって。」

ヒミカ「この大会は賞金の高さゆえに世界中から強者が集まっている。」

ヒミカ「予選突破して、本選一回戦と二回戦を突破する初心者がいるわけないだろう。」

双星「ここ!ここにいます!」

ヒミカ「お主の妄言はいいとして・・立ち話もなんだ、酒を飲みながら話をせぬか?」

それもそうだ。

お酒飲もう!


・・・・


ヒミカ「お主の強さはまったく底が見えぬ。殆ど手の内を明かさぬのだからな。」

お酒を注ぎ、軽くひと口飲んだヒミカさんは話を再開した。

お酒・・普通に飲んでるな・・


双星「初心者に底とかありませんよ。ずーっと相手が自滅してるだけですから。」

ヒミカ「一回戦のインスペクターは前回ベスト8まで勝ち残った強者だ。」

ヒミカ「それだけではない。普段から賞金首となった魔物や悪人を相手に戦い腕を磨いている。」

ヒミカ「二回戦のマックスウェル殿は凶悪な魔物であるマンティコアを倒したこともある人物だ。」

ヒミカ「傭兵としても高名で、戦場でその名を聞けば敵兵が怖気づくほどだ。」

ヒミカ「ふっ、そんな強者が自滅しているだけとか、嘘が下手だな。」

俺・・なにひとつ嘘ついてないんだけど・・


ヒミカ「お主の動きはどう見ても素人だ。恐らく達人でさえ”本当の動きに”気付かぬだろう。」

双星「どう見ても素人だと思うでしょう?だって素人だもん。」

本当の動きってなに?


ヒミカ「なのにお主は勝ちあがっている。お主の次の対戦相手も注目していたぞ。」

双星「次の対戦相手?」

ヒミカ「うちの将軍だ。土門将軍と言ってな、鉄壁の守りで身を固めている重戦士だ。」

双星「つ・・強いですか?」

ヒミカ「守りが堅い上に人の2倍はある大刀を振り回す・・接近戦は死ぬぞ。」

双星「攻略方法を教えてください!」

ヒミカ「逃げるやつには追いつけないそうだ。もっとも、大会で逃げても不戦敗になるだけだがな。」

双星「攻略方法を教えてください!!!」

ヒミカ「範囲魔法は防げないから苦手だそうだ。ファイアボールみたいなのは大刀で切れると言っていたが。」

双星「魔法なんて使えません(泣)」

ヒミカ「フルプレートアーマーに大刀だ。どうしても速さで劣る。将軍の攻撃を全部かわせれば勝機もあるかもな。」

ヒミカ「はははははははははは。」

双星「笑えない・・次で終わりかぁ。」

ヒミカ「お主がどれだけ強くとも、土門将軍には勝てないだろうな。あの方の強さはこの国でも片手で数えられるくらいだ。」

・・俺は決心した。降参しよう!


双星「あのー、で、できるだけ痛くないように終わらせてもらえる方法とかあれば助かるのですが・・」

ヒミカ「あの大刀なら真っ二つにされて一撃で終わる。安心しろ痛みなど感じぬ。」

双星「安心する要素がまったくない!」

ヒミカ「しかしお主は幸せ者だぞ。将軍と闘えるなど栄誉と言ってもいい。」

双星「というかさ、なんでそんな強い人が俺なんか注目してるの!?」

ヒミカ「お主の服装が気になったそうだ。」

双星「旅に適した服ですがなにか?」

ヒミカ「戦闘用じゃない、そんな服を着て死と隣り合わせの闘いに身を投じる者は・・まともじゃないなにかがある。」

ヒミカ「そう将軍はおっしゃっていた。」

双星「着の身着のまま闘っているだけで、別に意味があるわけじゃないですよ。」

鎧とか高いし・・


ヒミカ「ふふ、どこまでもとぼけるのだなお主は。」

誤解はいつ解けるんだろう?


双星「そういえばヒミカさんならその土門将軍さんとどう闘います?」

ヒミカ「普通は鎧の継ぎ目・・要するに隙間だな。そういうところを狙うが・・将軍の鎧は特注でな、それができないようになっておる。」

双星「継ぎ目がないの?」

ヒミカ「いやあるにあるのだが、隙間がジグザグになっていて、剣がまっすぐ通らぬのだ。」

ヒミカ「後は目を狙うしかない・・が、将軍もそんなこと先刻承知。狙いがわかると動きが単純になってしまうそうだ。」

ヒミカ「以前手合わせを頼んだが、簡単に負けてしまった。」

双星「棄権しまーす。」

ヒミカ「受付が許可してくれるかな?」

双星「いや参加者の意志が優先でしょ?」

ヒミカ「・・実はお主と将軍の闘いは楽しみでな、多少強引でも目をつぶってしまいそうだ。」

双星「公平なジャッジをお願いします!」

やだーそんなやばい人と闘いたくない!


・・

・・・・


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