60異端審問
双星「異端審問って?」
記者「異教徒狩り。」
双星「異教徒?」
記者「簡単に説明すると、拷問して罪を認めたら死刑。」
双星「罪を認めなかったら?」
記者「拷問でそのうち死ぬ。」
ほうほう・・ん!?
双星「それってまずいんじゃ・・」
記者「双星なんとかしなさいよ。」
縛られているんですが・・どうやって?
魔法使いA「まあ構わんが、ほれ、刃が引っ込むナイフ。」
アスタ「ありがとうございます。」
双星「演劇の小道具?」
刃が引っ込むって演劇で殺したふりとかするときに使うやつでしょ?
記者「あれで刺して、血が出なかったら悪魔の加護を受けているとして死刑。血が出たら無罪。」
双星「ほうほう・・いや刃が引っ込むなら血はでないでしょ!」
記者「宗教裁判ってそういうものだから。」
双星「別に俺は神を信じていないんだけど!無宗教です!」
アスタ「今まで宗教家も無宗教家も裁判にかけてきました。」
アスタ「・・結果は同じ。神様がいるなら、宗教家は助かるのではないでしょうか。」
アスタ王女が記者さんを刃が引っ込むナイフで刺した。
・・当然血は出ない。
アスタ「あなたも悪魔の加護をうけているのですね。」
記者「誰だってこうなる!アスタ王女だって同じでしょ?」
アスタ「そう、誰だって同じ・・神などいないから。」
王女様の目は悲しそうだった。
アスタ「あなたも。」
王女様が俺を刺した。
ナイフが刺さ・・らない。刃が引っ込むもんな。
双星「・・痛っ・・」
ちょっとかすったみたいで、血が少し垂れて来た。
アスタ「そんな・・」
記者「さすが双星!悪魔からも恐れられてる!」
いや偶然でしょ?たまにはそういうこともあるよ。
何度も使えば刃が引っ込む機能も劣化するだろうし。
アスタ「・・聖なる炎をここへ!」
魔法使いB「へいっ。」
うーん、これは。
双星「察するに、炎の中に手を入れろってこと?」
記者「神の加護があればやけどしないっていう・・」
無茶だろそれ!
炎の中でやけどしないなら、火事で死ぬ人は神の加護がないの?
アスタ「縄は切ります。さぁ、手を入れなさい。」
記者「あ、さっきは私からだったから、次は双星からで。」
双星「ちょ、記者さん!?」
アスタ「どちらからでも構いません。手を入れなさい。」
絶対やけどする!やだよ超痛そう!
双星「冗談だよね?え、だって王女様は神様を信じないんでしょ?」
アスタ「神がいるかどうかは、私が信じているかどうかでは決まりません。神がいるのなら、あなたが証明しなさい。」
双星「やけどするっていうか、手が燃えるから!再考しましょう!ね!後悔するよ絶対!!」
アスタ「あなたたち、手伝ってあげて。」
魔法使いA「イー」
魔法使いB「イー」
は、離せ、ショッ〇ー。
魔法使いたちに手を掴まれ、炎の中へ・・あ・・熱くない?
炎「火の中に手を入れるとか、絶対やっちゃダメだぞ!」
あ、はい。ありがとうございます。
炎まで俺の味方とは、超ありがたい。
アスタ「・・まさか本当に神の加護・・?」
双星「無宗教ですがなにか。」
アスタ「こんな・・こんなのありえない!」
記者「例え何千人、何万人がこの裁判で有罪になろうとも、双星ひとりいれば神の証明には十分!」
記者「だから裁判は中止!少なくとも私だけは取りやめ!」
いや俺もやりたくないんですが。
アスタ「・・外へ出なさい。」
双星「帰っていいの?」
・・
・・・・
外は、波止場だった。
夜の海って神秘的だなぁ。
アスタ「入りなさい。」
王女様が指さす先は・・海。
双星「スイミング?」
記者「これは・・悪魔の加護があれば浮かぶから死刑。沈んだら無罪・・でしたっけ。」
双星「・・浮かばなかったら死ぬんじゃないの?」
記者「そう。」
浮かんだら死刑で、浮かばなかったら溺死・・おや、どちらのルートも死にそうなんだけど。
双星「死ぬって!いやマジまずいから!取り返しつかないって!!」
アスタ「手伝ってあげて。」
魔法使いA「はい。」
魔法使いB「はい。」
双星「ちょっ!」
記者「え?あ、双星だけにして!」
記者さんちょっがぼがぼ。
海に落とされた。
浮いたら死刑で沈んだら溺死かぁ。どうすりゃいいんだ。
浮くかどうかって体脂肪で変わるんだよな。
ん?なんか・・水底に吸い込まれてる?
どんどん海面から遠ざかって・・なんか穴の中に入った!?
・・
・・・・
双星「ブハヴィヴェヴァ!」
げほげほ、ここどこ?洞窟?
えーと・・どうなったんだ?
・・・・あ、海と近くの洞窟がつながってたんだ!
海から吸い込まれて、つながってる洞窟まで流されたのか。
生きててよかった・・
このまま帰りたいけど、記者さんが心配だったからもどることにした。
戻る途中、パラパラ雨が降り出した。
・・
・・・・
記者「げほげほっ、げーほげほげほっ!」
アスタ「浮かんで来たのはあなただけ。双星殿は・・死んだようね。」
記者「ちょっと、双星!・・え、まさか本当に死んだの・・?」
双星「勝手に殺さないでほしいんだけど。」
アスタ「えっ!?」
記者「やったぁ!さすが双星!」
双星「あのー、タオル貸してもらえます?海水と土にまみれて辛いです。」
お風呂入りたい。
記者「浮かばず助かった!双星こそ神!あなたの捜してた人ですよ!!」
アスタ「あなたは・・いえ、あなた様は神様なのですか?」
双星「違います(きっぱり)」
記者「普段の双星は世を忍ぶ仮の姿!その正体は完璧な計画で人々を導く神様!!」
いやいやいや。
アスタ「神様・・」
双星「違うから!ひざまずかないで!」
アスタ「神様・・どうか、この愚かな人間をお導き下さい。」
双星「いやだから・・なんて言えば信じてもらえるんだろう。」
記者「すげー双星。王女様まで屈服させるとか・・記事書く手が震えそう。」
あなたが煽ったんですが!




