207巨大な力
試合の舞台から廊下へ出た俺は、膝をついて横になった。
もう動けない・・
受付「五回戦進出おめでとうございます。賞金1600万とトロフィーです。」
受付「あ、3秒以内に受け取らないと没収です。」
受け取る気力もわかない・・
ヒミカ「では代わりに受け取っておこう。あとで渡す。」
受付「そんなぁ!」
巴「すごい相手でしたね。」
ヒミカ「双星、あやつの名前はわかるか?」
双星「・・悪魔王さんです・・」
ヒミカ「やはり・・」
?「速報置いていきまーす!」
受付「はーい、ご苦労様でーす。」
巴「他の会場の勝敗報告が来ましたね。」
次の対戦相手とか決まったのかな・・?
ヒミカ「順調に大会が進んでいるように見えて・・見てみろ。」
巴「・・うわー。観客のみなさん動きませんね・・」
ヒミカ「去年までと大会のレベルが違いすぎる。」
ヒミカ「何が起きたか理解できないのは当然だ。」
巴「日常が非日常に侵食されていますね。それも・・溶け込むように・・」
巴「圧倒的な力で人のルールを破壊することもできるのに、あえてこちらのルール内で動いているのが怖いです。」
ヒミカ「不気味なほど冷静で、敵意を感じさせず、大胆なのに繊細だ。」
ヒミカ「強大な力を持っているだけではない。人の心をも理解しているのだろう。」
双星「ならもうちょっと俺に気を遣ってほしい・・」
う・・起き上がれない・・
ヒミカ「まだ辛そうだな。控室で休め。ほら、肩貸してやる。」
双星「ありがとうございます。」
受付「速報確認しなきゃ。」
・・
・・・・
控室は清潔な感じがする。
お酒がたくさんあるのに殆ど匂いがしないから?
ヒミカ「長椅子で横になれ。」
双星「はい。」
ヒミカさんに運んでもらい横に・・あれ?この長椅子頭のところが柔らかい?
目を開けると、ヒミカさんの胸と顔があった。
ヒミカ「目は閉じていろ。」
ヒミカさんの膝の上だ!
ははは、ヒミカさんの狂信者に見られたら俺やばそう。
巴「・・」
ヒミカ「何はともあれ五回戦へ進んだのだ。明後日までには調子を戻すのだぞ。」
双星「は、はい。」
ヒミカ「それにしても、お前がここまで怪我するとはな。」
双星「俺は・・ただの人間なんですよ。なぜか物事がうまくいくだけで。」
ヒミカ「そうだな・・だが、何でもうまくいく力をお前は悪いことに使わなかった。」
ヒミカ「ずっと他人のために使ってきた。ただの人間だとしても、お前は誇っていい。」
受付「決まりましたよ。双星さんの次の相手。」
ヒミカ「誰だ?」
受付「佐藤さんです。」
佐藤さん!?ラッキー協会の・・
ヒミカ「ラッキー協会のか!?」
受付「はい。四回戦も何もせず・・幸運だけで勝っています。」
双星「・・え、じゃあ幸運VS幸運みたいなものになるんですか?」
ヒミカ「目を開けるな。」
閉じまーす。
お目々チャックマン「手伝う?」
必要ないです。
宇宙人「出番?」
まだです。
こんこん。
?「すみません、こちらにヒミカ殿はおられますか?」
ヒミカ「どうした?」
?「王がお呼びです。すぐに来てほしいそうです。」
ヒミカ「わかった、すぐ行く。」
王様が?
ヒミカ「双星が勝ったからな。予定と違うから気になるのだろう。」
ヒミカ「双星、少し頭あげるぞ。」
ああ・・膝枕が終わってしまった。
ヒミカ「では行ってくる。」
巴「ご一緒しましょうか?」
ヒミカ「お前は双星の介護を頼む。王には・・双星の計画はいつもこうだと言えばわかるだろう。」
巴「わかりました!お任せください!」
ヒミカさんは王様のところへ向かった。
巴「・・・・さて・・ヒミカ先輩の膝枕は気持ちよかったですか?(マジギレ)」
双星「あれ?」
巴「本当にヒミカ先輩とはなにも無いんですか?」
双星「はい!なにもありません!」
巴「へー・・まぁ、拷問すればわかりますよね。」
双星「え、あの・・う、受付のおねーさん!」
受付「あ、お酒を選んでいるだけですから、気にしないでください。」
助けてください!
巴「もしヒミカ先輩としていたら・・・・私の初めてももらってくださいね・・」
もしかしてA国は俺にとって安息の地ではないのかもしれない。
でも・・ちょっとドキドキしてる俺がいるのはなぜ?
・・
・・・・
”THE HUGE POWER(巨大な力)”
”筆舌に尽くし難い・・今大会は、いつもと違う。”
”圧倒的な力に翻弄されている気がする。”
”優勝候補のマラク選手は四回戦も危なげなく勝利した。”
”もはや誰も止めることができないのだろうか?”
”・・もしかしたら超神選手はその力があったかもしれない。”
”しかし、四回戦で棄権。対戦相手の双星は次の試合へコマを進めた。”
”試合を見に来てくれた人のために、超神選手は代理人を用意してくれた。”
”勝ちが決まった双星との闘いなど、見る気のない人も多かっただろう。”
”だが!”
”超神選手の代理人は、赤子を相手するかのように双星をもてあそんだ。”
”双星が空高く舞い上がったと思えば、巨大な槍にからめとられる。”
”猛スピードで壁に激突しそうになったと思えば、双星が走ると後ろへ進む。”
”30分はあっという間だった。”
”観客は試合が終わってもすぐに動けなかった。何が起きたのか理解できなかった。”
”試合の最中、双星はずっと助けを求めていた。”
”泣きわめき、死の恐怖を感じているような・・”
”これが前回大会優勝者の姿だろうか?”
”今大会はおかしい。”
”巨大な力が私たちをどこかへさらってしまいそうな、そんな危うさを感じる。”
”これは現実である!私たちの現実が、音を立てて崩れ去ろうとしている。”
”誰がこの事態を引き起こした?”
”誰がこの事態を望んだ?”
”誰がこの事態を終わらせる?”
”この大会が終わった時、私たちは今まで通りでいられるだろうか?”
双星「情けなくてごめんね。」
・・
・・・・




