19ラッキー協会1
こんこん。
今日は来客多い。というかもう夜なんだが。
双星「はーい。」
ドアを開けると太った男の人がいた。
男「お前が双星か?邪魔するよ。」
男は強引に部屋の中に入る。
双星「ええと、メイドさんお茶いい?」
メイド「はいっ。」
男「なんだ、客が来たなら言われる前に淹れてこいや。役に立たないメイドだな。」
双星「嫌なら帰れ。」
なんだこのクレーマーは。
男「いいのかおい、オレ様はラッキー協会から来たんだぞ。」
双星「ラッキー協会?」
男「お前、大会で勝ちまくってるのが不思議だろう?あれはラッキー協会のおかげなんだぞ。」
双星「はぁ。なんでまた俺を?」
男「運のなさそうな顔をしてたからな。はははははははははは。」
男「大会期間中のサービスだ。ありがたく思え。」
ダークエルフ「(こいつ殺していい?)」
双星「(ダメ)」
男「お前みたいな取り柄のないやつに強運を与えたんだ。どうだ?人々の称賛の声は素晴らしかろう。」
双星「実力と見合っていないし、勝ったのは偶然だって言っても信じてもらえないし、正直あまり・・」
男「はぁ?今なら英雄になれるんだ。もっと周りを見下してやればいいんだよ。さぞ気持ちいいだろうなぁ!」
双星「人には分相応不相応がある。他人の力で英雄になっても、それは本当の自分じゃない。いつかその違いに苦しむよ。」
男「ったく、せっかく素晴らしい力を与えてやったというのにな。」
双星「突然与えられても戸惑いますよ。それで、何用ですか?」
男「こんな素晴らしい力がただだと思うか?」
双星「・・代金が必要ということですか?」
男「優勝賞金の8割を寄越してもらおう。」
賞金は100億だから、80億か。それでも俺には20億残る・・20億でも多すぎるなぁ。
双星「優勝するとは限りませんから。約束はできません。」
男「いいや優勝する。闘えば必ず勝つのだよ。」
双星「明日は神の子クリ・・クリなんとかさんが相手ですよ?」
トリスさんだっけ?
男「安心しろ。絶対に勝つ。我らが与えた強運は、神になど負けぬ。」
なんかすごい自信だ。でも男の顔が気持ち悪いからプラマイ・・マイナスだ!
双星「ではお聞きしますが、この力はなにに由来しているものでしょうか?」
双星「神聖魔法は神の力、火水風地は自然の力・・ではこの強運は?神を超える力など俺は知らない。」
強いて言えば、悪魔の力なら神に対抗しそうだけど。
男「神を超える力だ。神すらすべて思い通りにはできない、神の力の及ばぬ領域がある。我らはそれを操るのだ。」
わかるようなわからないような。
双星「それの名前はなんですか?」
男「存在無き者。神の定めし運命を変える力だ。」
存在無き者・・かつて勇者と魔王の存在そのものを消したという。
うーん話が大きくなっていくにつれて、俺のしょぼさが増していく気がするのは気のせいだよね?
机「うん。」
よかった、安心。
双星「優勝かぁ。今ベスト8だから、あと3回勝たないといけないんだよなぁ。ほんとに大丈夫?」
男「そりゃもう。特に決勝は不戦勝になりますよふふふ・・」
双星「不戦勝!?てかもう決まってるの!?」
男「すべて決まっているのだよ。お前が優勝して金を支払うこともな。」
双星「決まってるなら払わないといけないっぽいなぁ。」
男「それが利口というものだ・・じゃあ帰るか。こんなみすぼらしいところでまずいお茶など飲めたものじゃない。」
双星「次からは別の人に強運を与えてください。迷惑です。」
男「なんだ?嫌なら超絶不幸にしてやってもいいんだぜ?」
双星「この大会に出る前がそんな感じでしたから、別に構いませんよ。」
男「ふん、生まれのみすぼらしいやつは憐れだな。早く死ねばいいのに。」
男は帰っていった。
双星「メイドさん塩まいとい・・あれ?」
言い切る前に、メイドさんとダークエルフさんが塩をまいていた。
メイド「失礼極まりない人です!」
ダークエルフ「今からでも遅くない。あんなのは殺すべき。」
双星「まぁまぁ。俺なんかが優勝できる力を与えるんだ。多少天狗になるのは仕方ないよ。」
メイド「でも本当に今まで偶然勝っていたんですね。」
双星「ずーっとそう言ってたんだけどね・・まぁそれも大会期間中だけだから。それが終わればまた以前と同じ・・またいつものその日暮らしに戻るよ。」
双星「だから大会でもらった賞金やトロフィーとかは二人で分けてよ。」
双星「俺はまたひとりで旅を続ける。」
メイド「そんな、どこまでもついていきます!」
双星「貧乏暮らしになるから。女の子にはきついよ。」
メイド「元々貧乏暮らしでしたから平気です。おそばにいさせてください。」
これも強運の効果なのかなぁ。
お金のない旅人なんて、浮浪者とそんな身分変わらないんだよな。
旅をしているときは、女の子に声をかけても嫌がられるだけだったのに・・。
ダークエルフ「金が必要なら稼げばいい。」
双星「俺はそんな強くもないし、取り柄もないから・・」
ダークエルフ「私が稼ぐ。なに、ブラスト様に仕えていた頃も暇なときは副業していたからな。月50万くらいなら余裕だ。」
双星「非合法じゃないよね?」
ダークエルフ「非合法でいいなら月1000万はいけるが。そっちがお好みか?」
双星「いや普通ので!・・でも、俺なんかのためにダークエルフさんの人生を使うなんていいの?」
こんこん。
話の途中なのに・・今日は来客多すぎる!閉店セールじゃないんだぞ!
・・
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