193巴さんの計画
試合の場から出て通路へ行くと、受付のおねーさんが待っていた。
受付「初戦の勝利おめでとうございます。はい、賞金200万とトロフィーです。」
双星「ありがとうございます・・そっか、俺は予選がないから200万スタートなんだ。」
予選に勝つと100万とトロフィーだったよね。
受付「いやー盛り上がりましたね。さすが双星さん♪」
双星「剣が勝手に動いただけです。」
受付「病院行きますか?」
というか、わかって言ってますよね?
ヒミカ「賞金とトロフィーは渡し終わったようだな。」
受付「お仕事完了です!いえぃ!」
巴「・・」
ヒミカさんと巴さんがやって来た。
巴「あの・・申し訳ございませんでした!」
巴さんが深々と頭を下げた。
ヒミカ「お前の計画は凶悪だからな。慣れていない人を翻弄させないでくれ。これでもかわいい部下なのだ。」
巴「ヒミカ先輩ぃ・・」
ヒミカ「反省はしろ。」
巴「超絶究極奇跡級の反省しました!」
なんかすごい反省だ。俺もかっこいい反省したいな。
双星「こちらこそすみません。えっと、利用してしまって。」
利用したってことで話進めていいんだよね?
巴「双星さんってうわさよりすごい人なんですね!みなさんが注目する理由がよくわかりました!」
巴「これからもよろしくお願いします!」
双星「こちらこそ・・」
あれ?そういえば・・控室でふたりっきりになるんだよね?
これで巴さんは罪悪感を抱いちゃって、俺のされるままに・・いやなに考えているんだ!
ああもう宗教団体”ONLY ONE”での他人の感情がまだ残ってる感じがする。
悪いことは・・いけません!
双星「あの、ヒミカさん。控室の制度はちょっと問題だと思います。」
ヒミカ「意見があれば聞くぞ。どうせあのタイプの控室はお前しか使っていないからな。」
・・大吉って出にくいんだ。
双星「控室が治外法権ってどういうことですか?」
ヒミカ「あそこは酒ばかりだろう。飲めない年齢の者が当たった場合も少しならということで、特例にしたのだ。」
・・あれ?
双星「女の子とふたりっきりって問題だと思います!」
ヒミカ「子供が飲み過ぎないよう監視役を設けないといけないのだ。」
・・へー。
ヒミカ「見知らぬ男とふたりっきりで飲みたいのか?」
・・女の子がいいです!
双星「な、中の出来事が機密になるというのは?」
ヒミカ「大会参加者が戦術や他の参加者の悪口を漏らしてもいいようにだ。」
ヒミカ「気軽に楽しんでもらうため、お酒で口が軽くなってもいいようにとの措置だ。」
ヒミカ「関係ない者が控室に入れないのも同じ理由だ。情報管理は徹底しないとな。」
なるほど。
双星「・・・・もし、もしですよ。大会参加者がお世話係さんをセクハラ(配慮された表現)したらどうなりますか?」
ヒミカ「相応の罰を与えるだけだ。」
双星「治外法権でも?」
ヒミカ「悪事を許すための制度ではない。守るべきは法ではなく人だ。もちろん、安易な自己解釈も罰する。」
スー、ハー。俺は深呼吸をした。
双星「受付のおねーさん?」
受付「ちっ、双星さんの弱みを握ってウハウハ賞金生活の計画が!」
ヒミカ「計画は双星の得意分野だ。引っかかるわけなかろう。」
受付「あちゃー。」
なんでそんな無意味な嘘つくんですかーぁーぁー。
巴「双星さんって、いじられキャラなんですか?」
双星「違いますよ?」
ヒミカ「もう全部計画ということでいいと思うぞ。」
受付「いじっていいのは私だけ!所有権を主張します。」
俺の所有権は・・俺、でいいんだよね?ちょっと自信なくなってきた。
巴「いじられキャラって優しい人ですよね。ちょっといじりすぎても許してくれたり。」
巴「双星さんも・・そんな優しい人だといいなぁ(ちらっ)」
双星「う、うん。優しいかはわからないけど、まぁ多少は許すよ。」
巴さんみたいなかわいい子ならなおさら許すよ!
巴「実は、試合前に度数の高いお酒を飲ませたんです。」
双星「お酒に弱くなったわけじゃなかった!」
受付「いいなぁ私も飲みたい。」
ヒミカ「・・しばらく刑務所生活だな。差し入れはしてやる。」
巴「ふぁ!?」
双星「まぁまぁ、イベント中なんですし、多少は許容しましょうよ。」
ヒミカ「お・ま・え・は!この大会では少なからず死傷者も出る。運営が公平でなかったら誰が参加する?」
ヒミカ「これは国家事業だ。気軽に考えてよいのは客であって、運営側ではない。」
うーん、ヒミカさんお堅い。
受付「間をとって、奉仕活動をしてもらうっていうのはどうですか?」
ボランティアのことだけど、奉仕活動っていうとちょっとドキドキする。
ヒミカ「・・まぁそうだな。清掃でもしてもらうか。」
受付「私にお金を貢ぐという完璧な奉仕がありますよ!ちらっちらっちらっちらっちらっちらっ」
ヒミカ「却下だ。」
受付「いいもん!双星さんに貢いでもらいますから。」
巴「そうです!双星さんを大会案内するというのはどうでしょうか?」
案内?
巴「双星さんに迷惑をかけたのですから、双星さんに奉仕するのが筋だと思います。」
ヒミカ「で、何を企んでいるのだ?」
巴「そんなぁ!かわいい後輩を信じてください!」
ヒミカ「かわいいからこそ、甘やかさないようしなければならないのだ。」
巴「せんぱぁい・・」
双星「大会案内って言われても、フードコートとか紹介してくれるの?」
巴「他の出場者の試合を見たくありませんか?」
双星「誰が出場しているかわかんないや・・」
ミルカさんやジェノアさんが出場しているのと・・
マラクさんやイプシロン・コピーくらいかな。
受付「じゃーん。出場選手一覧表あります!」
ヒミカ「折り畳み型でトーナメント形式の表示か。これは便利だな。」
受付「私は仕事が残っていますので、これを私の代わりに持って行ってください。」
ヒミカ「わかった、感謝する。」
ヒミカさんと巴さんと俺は、近くの試合会場へ移動した。
・・
・・・・
巴「そろそろ始まるみたいです。」
双星「ここは誰が闘うの?」
巴「チエット選手とハコーン選手です。どちらも脳筋ですよ。」
武器をがんがん交える感じで闘うのかな?
アナウンサー「これより第一試合を始めます。青のコーナーからは、大刀の使い手チエット選手!」
チエット「ぶっころーす!」
アナウンサー「赤のコーナーからは、両の手にそれぞれシャムシールを操るハコーン選手!」
ハコーン「100億はオレのものだ!!!」
アナウンサー「では正々堂々・・勝負開始!」
ハコーン「オレには目標がある!悪いが負けられねーな!」
チエット「勝つのはオレだ!!!」
アナウンサー「先に仕掛けたのはチエット選手!大刀を上段から振り下ろす!」
アナウンサー「迎え討つハコーン選手!二振りのシャムシールをクロスさせ受け止めた!!」
アナウンサー「そのまま両者!一進一退の攻防!少しずつ傷が増えてきました!」
巴「どちらが勝つと思いますか?」
双星「まったくわからない・・ヒミカさんならわかりますか?」
ヒミカ「腕前から予想ならできるが、今日はお前の接待だ。知らない方がいいだろう。」
双星「そうですか・・ちなみにどっちが強いですか?」
ヒミカ「シャムシールを繰るハコーン選手だ。」
言われてみれば、チエット選手は表情に余裕がなくなっている気がする。
アナウンサー「おお!チエット選手の猛攻!ハコーン選手防戦一方です!」
アナウンサー「・・ああ!これは!・・チエット選手の隙をつきハコーン選手が強烈な一撃をいれた!」
アナウンサー「チエット選手立てるか?立てるか?・・立てない!チエット選手戦闘不能!(生きてる)」
アナウンサー「ハコーン選手勝利!猛攻を制し一回戦突破です!」
ハコーン「目標に一歩近づいたぜ!」
アナウンサー「それではみなさん、次の試合までしばしご休憩ください。」
ヒミカさんの言う通り、ハコーン選手の方が強かったか。
まぁ強さが必ず勝利をもたらすとは限らないけど。
巴「ハコーン選手強かったですね。ヒミカ先輩ならどう闘いますか?」
ヒミカ「なるほどそういうことか・・言えんな。」
そういうこと?
双星「どういうことですか?」
ヒミカさんは、受付のおねーさんが渡してくれた・・出場選手一覧表を見せてくれた。
・・あ!ハコーンさんって、俺の次の対戦相手!
双星「つまり、巴さんは俺の対戦が有利になるようここを案内してくれたってこと?」
ヒミカ「わからない振りはしなくていいぞ。」
え?違うの?
巴「そうですそうなんですよ。双星さん、明後日の第二回戦は圧勝してくださいね。」
双星「いやーどうだろう。まぁがんばります。」
巴「絶対、圧勝してください(にっこり)」
なんで?
ヒミカ「・・本当に反省してるのやら・・」
・・
・・・・




