192一回戦
結論から言おう。ヒミカさんはまだ来ていなかった。
ふむふむ、つまり俺を苛立たせて冷静な判断をさせないための作戦。ヒミカさんお見事です!
・・
・・・・
というかいつ来るの?
イライラはしないけど、不安になってくる。
モブ「試合まだか!」
モブ「ヒミカ様を見に来たんだぞ!」
モブ「双星とか見たくねえよ!!!」
ごめんよ!!!
受付「えーテステス、マイクの感度OK。」
受付「皆さまお待たせして申し訳ございません。」
ようやく始まるのかな。
ヒミカさんまだ来ないけど。
受付「第一試合の双星選手VSヒミカ選手の試合ですが、ヒミカ選手が棄権したため双星選手の勝利とします。」
・・え!?
激!運!?
モブ「おい双星ふざけんなよ!」
モブ「ヒミカ様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
モブ「双星のあくどい計画だ!正義を執行せよ!双星を殺せ!」
何もしていません!
モブ「やだやだ!ヒミカ様を見たいのおぉぉ!」
モブ「どういうことか説明しろ!ヒミカ様に何かあったらただじゃおかないぞ!」
モブ「ぐぎぎ・・ヒミカ様・・守る・・・・双星・・を・・殺す・・」
物騒なのはともかくとして、俺も心配だよ。
観客の皆さんが不満の大合唱をする。
少しして・・ヒミカさんが現れた。
モブ「やったぁヒミカ様だ!」
モブ「双星を倒してください!」
モブ「徹夜でこの席をとりました!」
徹夜は体に悪いよ。ご自愛ください。
ヒミカ「皆の期待を裏切ることになって申し訳ない・・この度、不正があった。」
不正!?
ヒミカ「私の部下が職務上得た機密情報を伝えて来たのだ。双星がどう戦うかを・・」
え?俺がどう戦うかなんて決まってないけど・・けど・・
・・・・ああ!巴さんか!
魔法アイテムで戦うって言ったあれ?もしかして、俺が受付のおねーさんと立ち話している間にヒミカさんに伝えた?
ヒミカ「神聖な試合で不正などもってのほか。」
ヒミカ「私を想ってしてくれたことではあるが、不正な情報を聞いてしまった以上、試合に参加することはできぬ。」
えええ、それくらい構わないと思うけど。
魔法アイテムを使ったところでどうにもならないんだし。
モブ「うぅ・・ヒミカ様真面目すぎです・・そこがいいんだけど。」
モブ「ヒミカ様ステキ・・なんて高潔なお方・・」
モブ「どうせ双星が死ぬんだからいいじゃないか!」
死ぬのはやだよ!
まーでも、一回戦突破!不戦勝おめでとう!
ヒミカ「今後の試合はこの様なことがないよう関係者一同、気を引き締めて取り組むことを約束する。」
ヒミカ「不正を行った関係者は厳罰を科す・・私も、罰を受けよう。」
双星「ヒミカさんは関係ないのでは?向こうが勝手に知らせて来たんでしょ?」
ヒミカ「私の部下だ。私が第一に責任をとらなければ何のための上司だ。」
お、俺は・・開いた口が塞がらなかった。
こんな人が現実にいるの!?
モブ「ヒミカ様・・うぅ・・オレの上司になってください!」
モブ「なんでだよお。双星が罰を受ければよかったのに!」
モブ「双星死ねよ!お前が強すぎたせいでヒミカ様の部下は不正を働いたんだぞ!」
強くないよ!ザコだよ!
でも・・俺だって、ヒミカさんが責を負う必要はないと思う。
なんとか・・やってみる・・?
双星「はぁ、ヒミカさんはバカですね。」
ヒミカ「ん?」
双星「あの子がヒミカさんの後輩だって聞いたから、俺がわざと教えたんですよ。」
双星「魔法アイテムを使うと思わせて、本命を隠すつもりだったのに、まったく予定外です。」
ヒミカ「・・最初から、お前の計画だったと言うのか?」
双星「盤外戦術ですよ。開始の号令がかかる前から試合は始まっています。知りませんか?」
ヒミカ「試合前や試合中の心理戦のことであろう。」
双星「盤外戦術は不正ですか?」
ヒミカ「・・いや。」
双星「なら・・俺はやり直しを要求します!これは不正ではない!関係者の処罰も必要ない!」
モブ「双星よく言ったあああ!!!」
モブ「やったあああああヒミカ様が双星をボッコボコだああああああ」
モブ「ヒミカ様を・・バカと言ったな・・双星は・・決して許されざることをした・・・・」
えーんヒミカさんの支持者やばい人おおくないですか!?
ヒミカ「し、しかし・・」
受付「マイクテス!みんなの受付嬢でーす。」
受付「上層部は不正ではないと判断を下しました。これより第一試合を始めます!!!」
やっぱり・・俺の不戦勝にはならないか・・がっかり。
モブ「いええええええええいA国ばんざあああああああああい!!!」
モブ「さすがオレたちの王様だぜ!」
モブ「A国に栄光あれ!ヒミカ様やっちゃってください!」
なんかさぁ・・A国以外の人もヒミカさん応援してない?
もうヒミカさんが3つの国の架け橋になればいいと思います!
受付「では改めまして!選手の紹介をします。」
受付「いつも激運、今日も激運。数百年に渡る計画の使い手、DEFENDING CHAMPION双星選手!」
そんな計画立てられるなら、俺は今頃豪邸でメロン食べながら女の子はべらせてるよ。
受付「軍に所属してすぐ新進気鋭と言われ、去年は100万の魔族を相手に指揮を執った私たちの英雄、ヒミカ選手!」
モブ「うおおおおおおおおおお」
モブ「100万の魔族より双星の方が楽だぜ!」
モブ「ヒ・ミ・カ!ヒ・ミ・カ!」
これ・・俺勝ったら非難されそう。
受付「どっちが勝ってもおかしくありません!レディー・ゴー!!!」
さーて、魔法アイテムは囮で本命があるんだっけ・・本命ってなんだよ!(哲学)
ヒミカ「お前はいつもわからんことをする。黙っていれば不戦勝だったのだぞ。」
ヒミカさんが二振りの魔剣を構える。
双星「俺もよくわかりません。黙って勝ってた方がよかった気がします。」
ヒミカ「いつもお前には翻弄させられる。もしかしたら・・既にお前の術中なのかもな。」
どうしてみんな俺のハードルばかりあげてくるんだろう。
ヒミカ「だが負けるつもりはない!行くぞ!・・なに!?」
ヒミカさんの様子がおかしい・・いや、ヒミカさんの魔剣が・・
どっちだ?あれは・・風神・・フルオート魔剣の方か!
風神がヒミカさんの手を離れ、俺の目の前に刺さった。
・・使えって・・ことか?
受付「あーっと!双星選手、ヒミカ選手の剣を奪った!!!」
モブ「卑怯だぞ!」
モブ「恥を覚えろ!」
モブ「うちのカミさん奪ったのもお前か!?」
完璧に濡れ衣です!
俺は・・風神を手に取った。
ヒミカ「なるほど、それがお前の本命か。正直驚いたぞ・・」
ヒミカ「だが!うちのじゃじゃ馬をお前が扱えるか!?」
ヒミカさんが消えた?
ガッッキィィィィン!!!
ヒミカさんは・・俺のすぐ左横から斬りつけていた。
俺の手が、勝手に防いでいた。
ヒミカ「人の目には利き目がある。利き目の逆側は反応が遅れやすく死角になりやすいはずだが・・ふんっ。」
ヒミカさんが距離を開ける・・が、すぐまた攻めて来た。
なっ・・低い?
ヒミカさんは低くかがみ、超低空から斬りつけて来た。
これはどう守ればいいんだ?
受付「ヒミカ選手の猛攻!しかし双星選手これをなんなくさばく!」
俺の手が勝手に動いているんです!
あ、手の動きが変わった。
ズドドドドドドドドドド!
俺のひと振りで、地面がえぐれた。
ヒミカさんにはかわされたけど。
受付「なんという威力!これが双星選手の真の力でしょうか!?」
俺は何もしていません!
ヒミカ「やるな・・楽しくなってきたぞ!」
ヒミカさんすげえ笑顔だ!今まで見たことない顔してる!
受付「新たな情報が入ってきました!」
受付「双星選手が奪った魔剣は、神に反逆した堕天使ルシファーによって生み出された【神殺しの魔剣】!」
受付「真の力は精神体や空間・・世界を滅ぼす力を秘めているそうです!」
るーしー「・・天使って書いたのに・・」
ルシファー「ジェミニ様も人が悪い・・ああ、始祖様と同じ天使でしたね。」
ヒミカさんが止まった。
ヒミカ「・・それが、風神の真の姿なのか?」
え?
剣を見ると、姿が変わり2倍くらい長くなり、刀身が白く輝いている。
るーしー「・・第二段階・・」
双星「ちょっとわかんないです。勝手に動いてるんですこれ。」
あ、勝手に手を振り上げた。
風神を逆手に持ち変え、地面に刺す。
剣を中心に地面が割れ、地中からエネルギーが吹き上げる。
ヒミカ「この程度!」
ヒミカさんが噴き出すエネルギーを斬りながら向かって来た。
さすがその剣も魔剣。すごいっ。
ズゥバッッッ!!!
え?
勝手に動いた俺の攻撃は、ヒミカさんを壁まで吹き飛ばした。
さらに風神は地中から噴き出したエネルギーを吸収して姿を変えた。
4・・いや、5倍は大きくなり、白い瘴気が漏れている。
るーしー「・・第三段階・・」
俺の手に収まっているけど、これ・・人間用の剣じゃないよ・・ね・・?
こ・・怖い!瘴気にあてられ体がこわばる!
モブ「なんだこれ・・寒い、さみぃよ・・」
モブ「じっとしてらんねえ・・なんかここから逃げてえよお・・」
モブ「なんで・・こんな・・涙が止まらないんだ!」
受付「こ、これは・・魔剣の瘴気で会場の空気が一変しました!」
受付「観客の皆さんも感じているのではないでしょうか・・魔剣の恐怖を!!!」
風神はさらに姿を変え、今度は小さくなった。
いや・・もしかして変形が終わった?瘴気は治まりなんとなく、完成形って感じがする。
るーしー「・・第四段階・・」
ヒミカ「・・私の使っていた魔剣にそんな力が秘められていたとはな・・」
ヒミカ「お前はどこまでも私の先をゆく・・だが!まだ諦めるわけにはいかぬ!」
ヒミカさんが一気に距離を詰めて来た。
は、早過ぎない!?
キィィィン!
ヒミカさんの雷神と、俺の手にある風神が刃を重ねた。
ヒミカ「なっ!?」
ヒミカさんが雷神から手を離した。
風神が・・雷神を飲み込んだのだ。
魔剣が・・・・魔剣を吸収した!?
風神はわずかに姿を変え、さらに強化された。
るーしー「・・特殊変形四の二・・」
ルシファー「素材が良いので強化幅も高いですね・・あの雷神と呼ばれる魔剣・・まだ隠された力がありそうですよ。」
るーしー「知ってる」
受付「ああ~!ヒミカ選手の残された武器も双星選手に奪われてしまった!」
受付「なんて凶悪な闘い方でしょうか!双星選手の性格と同じか!?」
違います・・違うよね?
ヒミカ「・・お前は・・・・く、降参、だ。」
受付「おーっと、ここでヒミカ選手降参!」
受付「しかし仕方ありません!こんな闘い方、前代未聞です!常識が大泣きしています!」
受付「双星選手!二回戦進出!初戦ながらなんて濃い闘いだったでしょうか!!!」
モブ「ヒミカ様がんばった!相手が非常識過ぎた!」
モブ「あぁ・・悲壮なヒミカ様もス・テ・キ。」
モブ「ちっ、双星め、卑怯な勝ち方しやがって。」
おーれーのー、せいじゃないって!
ルシファー「最終段階にはいきませんでしたね。」
るーしー「元気でやってる。よい持ち主。」
この剣、どうすりゃいいの?
このままずっと使っていい?これなら優勝できそう!
・・と思ったら、風神は最初の姿に戻り、雷神も無事だった。
二振りの剣は俺の手を離れ、ヒミカさんの目の前に刺さった。
ヒミカ「ふふ、やはりお前らはじゃじゃ馬だな。だが、だからこそ調教し甲斐がある。」
ヒミカさんが魔剣を腰の鞘にしまった。
受付「皆さん、全力で闘った選手たちに拍手をお願いします!」
パチパチパチパチ、パチパチパチパチ
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結局さ、ヒミカさんとヒミカさんの剣が闘ったんだから・・
俺は名義貸ししたみたいな感じなのかな?貸したのは体だけど。
・・
・・・・




