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187ただひとりの存在


胸騒ぎを感じながら、宗教団体”ONLY ONE”の本部にやって来た。

なぜこんなにも不安なんだろうか・・って、壁や地面が喋ってないんだ!

いや喋らないのが普通だけど・・


双星「おーい。」

・・返事はない。

俺も異常な環境に慣れちゃったんだなぁ。当たり前が異常に感じる。

がちゃ。


信者「誰かいるのですか?・・おや、あなたは・・もしや双星殿ですか!?」

双星「ええまぁ・・」

信者「今日は素晴らしい日です!ああ、この出会いを神に感謝しなければなりませんね。」

双星「いえその、悪い話を持ってきたので・・感謝はしない方がいいです・・」

信者「・・まさか、この教団を潰すつもり・・」

双星「い、いえ違います!逮捕状の出た方がこちらにいるそうですね?出頭していただきたいのですが。」

信者「そうでしたか・・わかりました、双星殿が相手ではどうにもなりませんね。」

信者「ですが・・話くらいは聞いてもらえないでしょうか?」

なんか危なそう。

殺されたりしないよね?


地面「大丈夫だよ。中に入って話を聞いた方がいいよ。」

おや。ついさっき呼んだんだけどね。


・・

・・・・


中はそこそこ広く綺麗に整っていた。

特におかしい感じはしない。というか宗教施設って感じもしない。


信者「どうぞ座ってください。」

双星「失礼します。」

俺が座ると、他の信者の人がお茶を出してくれた。

・・連携すごいな。お茶をいれてとか、お客さんだよとか言わなくてもスッと出てきたよ。


信者「双星殿は、私共のことはどれくらいご存知でしょうか?」

双星「人格を統一した平和な宗教団体ってくらいです。」

信者「その通りです。皆がひとつになれば争いは無くなります。」

双星「・・き、危険なやり方ではないのですか?」

信者「お恥ずかしいことに、私も最初はそう思っていました。」

信者「ですが失敗例は一度もなく、入信したら世界が変わりました。」

信者「今までは、辛い時、苦しい時、自分ひとりで苦しんでいました・・」

信者「ですが、入信したらひとりでは無くなります。」

信者「いえ・・みんなが自分になるのです。苦しんでいる自分を他の自分が慰めてくれます。」

信者「本当に心から助け合えるようになったのです。」

うーん、超嘘臭い気もする。

他人を自分だと思うことは・・無理だと思う。

でも、そんなことができたらいいなとも思うよ。


他人なんか・・信用できないもんな。


信者「よろしければ中を色々見学しますか?」

双星「ここは何をしているところなのですか?」

信者「殆ど生活空間です。大半は外でお仕事しているのでいませんが。」

双星「プライベートなところ?お、俺が見てもいいんですか?」

信者「みんなが私で私がみんなです。私の許可は全員の許可になります。」

プライバシーも無くなるんだな。

本当に・・人格を統一させたのだろうか?


・・

・・・・


この建物に残っているのは、子供や若い母親たちだった。

他の人は、外でお仕事中だそうです。


双星「子供もいるんですね。この子たちも大人になったら人格の統一を?」

信者「いえ、既に人格は統一されています。大人も子供も、老いも若きも、男も女も、みな自分です。」

双星「ええ!?」

子供の信者「ひとつになることで、乱暴者はなく、反抗期もなくなりますよ。」

子供の信者「お兄さんも一緒になりましょうよ。」

双星「俺も?」

子供の信者「みんながひとつになることで、真の平和が訪れるんですよ。」

子供の信者「争いだけではありません。妬みやひがみ、嫉妬も無くなります。」

いいことだと思いながらも、どこか信用できない気がした。

負の感情はやる気を引き出すこともある。無気力な人間を生み出したりしない?

デメリットがある気がする。人間の本質を無視しているような・・


壁「大丈夫だよ。やってみるといいよ。」

・・なんか、今までの人間らしさがない気がする。

もっとバカにしてきたりとか・・いやこっちの方がいいな、うん。


双星「じゃあ、えっと、やってみようかなと思うんですが。」

信者「おお!素晴らしいです。双星殿が仲間になれば、大勢の人が教団に理解を示すでしょう。」

信者「ささ、こちらです!真の平和のために我が教団がお役に立てるなんて、こんな嬉しいことはありませんよ。」

案内されたのは・・なにこれ?


信者「このカプセルに寝てください。目が覚めたら双星殿も私たちとひとつになれます。」

・・すっごく不安なんだけど!


カプセル「安心していいよ。うまく調整するから。」

調整ってなに?

・・まぁ大丈夫なら・・

俺はカプセルに入った。


そういえば・・みんながひとつになったら、誰の人格になるんだろう?

もしくは新しい人格が生まれる?

そんなことを考えながら、俺は意識を失った。


・・

・・・・


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