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174B国訪問


ふわぁ。

ダークエルフさんに戦い方を習ったり、メイドさんに料理を習ったりしているためか、ちょっと疲れ気味。

でも・・心地よい疲れだ。

学生の頃は勉強も運動も嫌々やってたけど、今はなんだか楽しい。

もっと早く学ぶことの楽しさを知りたかったな。


ダークエルフ「双星、客だ。」

客?


記者「私に?」

違うと思う。というか朝っぱらからなぜいる?


B国使者「お初にお目にかかります。B国の第一王子より皆様を招待するよう仰せつかりこうして参りました。」

い、イケメンだ・・

馬たちに聞いていたのがこれかな?


双星「・・って言ってるけど、どうする?」

俺はメイドさんとダークエルフさんの顔を見た。


メイド「双星様が行くならどこまでもついていきます♪」

ダークエルフ「以前、B国は双星を嵌めようとしたからな。無理に行くことはない。」

そういやそうだった。


B国使者「革命騒ぎの話ですね。あれはB国の大臣が仕組んだこと・・第一王子はそのことを謝りたいとおっしゃっていました。」

双星「うーん、謝られても困るけど・・じゃあとりあえず行ってみようかな。」

B国使者「ありがとうございます。」

双星「ふたりもそれでいい?」

メイド「はい。」

ダークエルフ「ああ。」

記者「旅行かぁ。取材費でるかな?」

ついてくる気まんまんですか。そうですか。


宿の外には立派な馬車が用意されていた。


記者「キャーこんなの初めて!」

ダークエルフ「王室専用の馬車か。まるで国賓待遇だな。」

B国使者「それくらい失礼のないようにと厳命されております。」

メイド「手入れもしっかりしていますね。車輪はしっかりしていて、お馬さんも立派です。」

馬「お、嬢ちゃんよろしくな!」

馬「バリバリ走るよ!」

馬ってどこでもしゃべるなぁ。いいけどね別に。


双星「調子はどう?」

馬「ボチボチかな。それより気をつけろよ、楽しい話じゃねえぞ。」

馬「きな臭い話が待ってるから。B国着いたら研究所へ行け。」

研究所?


馬「改造人間を作ったやつがいるぜ。」

それって・・武闘大会の・・


B国使者「ささ、皆様どうぞお乗りください。ご歓談は道中ゆっくりできますよ。」

・・覚悟を決めるか。

俺たちは馬車に乗った。


ヒミカ「双星!」

あれ?馬車の外からヒミカさんの声が。

ちらっと外を除くとヒミカさんがこっちに向かっていた。


双星「ヒミカさん!・・知り合いが来たのでちょっと降ります。」

B国使者「出発します。」

双星「え?」

馬車はいきなり走り出した。

それも急発進で・・まるでヒミカさんを振り切ろうとするように。


ダークエルフ「どういうことだ?」

B国使者「私は皆様をB国へ連れて行くだけでございます。誰にも邪魔はさせません。」

双星「話は帰ってからかな。また怒られそうだけど。」

ダークエルフ「帰れるなら・・な。」

え?


双星「えーと、帰れますよね?」

B国使者「さあ。私は皆さまをB国へ連れて行くだけでございます。」

双星「結構な厄介事みたいだ・・」

今までとは雰囲気が違う。


ダークエルフ「強引に降りることもできる。馬車の修理費用を払う気はないぞ。」

B国使者「やめた方が無難ですよ。後ろをご覧ください。」

後ろ?

馬車の後ろへ行って外を見ると・・2台、他の馬車がついて来ていた。


馬「よっ。この馬車には兵士が10人、もうひとつの馬車は傭兵が10人いるよ!」

馬「逃がす気はなさそう。」

準備万端だなぁ。


B国使者「どんなに優秀でも、街中で、守る者がいて戦えますか?」

双星「兵士が10人、傭兵が10人いるけど・・きつい?」

ダークエルフ「え?う、うん、その人数で訓練を受けていたら厳しいわ。でも、どうしてわかるの?」

馬が教えてくれたから・・あ、そういや俺の能力でも人数くらいは調べられるな。


B国使者「・・さすが、幸運に選ばれた方は違いますね。」

双星「知っているの?俺の強運のこと。」

B国使者「B国は、その昔C国を攻めたことがあります。しかし幸運を得た者によって敗れました。」

B国使者「その者の名はアルバル。C国の元帥だった男です。」

・・誰?


記者「アルバルって、10年前にクーデター起こして亡くなった英雄アルバル?」

B国使者「そうです・・が、英雄などと言うのはやめてください。」

双星「10年前にクーデターって・・ミルカさんのお父さん?」

ダークエルフ「またひとつつながったな。70年前の男と同じ境遇だったとは。」

双星「70年前のこともなにか知ってるの?」

B国使者「皆様をお呼びした第一王子が詳しいですよ。直接聞くのをお勧めします。」

そうきたか。


双星「大人しくB国へ行った方がいいのかな・・」

ダークエルフ「この調子だと武闘大会に間に合わないかもね。」

記者「あれ?双星不参加!?ディフェンディングチャンピオンなのに?」

双星「なにそれ?」

記者「1年前の武闘大会で優勝したでしょ!双星は前年度優勝者なんだから強制参加なの!」

双星「初めて聞いたよ!?」

記者「当たり前のことだからねぇ・・他にも挨拶とかあるから。」

・・やりたくない。

俺なんかがなんて言えばいいんだ。

全部与えられた強運で勝てました。皆さんも良い強運を携えて闘ってください。とか言うの?

あの頃から俺の人生は変わっていったんだな・・これでよかったんだろうか。

B国から帰ったら、また1年前に戻ってやり直したいかも。


――― エンペラーズスキル:タイムトラベラー発動 ―――

――― B国からA国へ移動したとき、1年戻ります ―――


双星「しばらくB国でゆっくりするのもいいかも。」

メイド「私もB国の料理を覚えたいです。」

記者「大会の取材しないといけないんだけど!!」

B国使者「お帰りになりたいなら、大会に間に合うようお送りしますよ。」

記者「・・ならいっか。手順は去年と同じだし、大会始まるまでは社のみんなに任そうっと。」

記者「それまではB国の取材♪」

ダークエルフ「おめでたいやつだ。」

記者「ん?」

ダークエルフ「ここまでして双星を連れて行こうとした。まともな話じゃないぞ。」

ダークエルフ「口外できない話を聞かされたら二度とA国へは戻れないかもな。」

記者「え、だって帰してくれるって・・」

ダークエルフ「詐欺師は素晴らしい約束をしてくれる。守る気がないからどんな約束しても平気だ。」

記者「じょ、冗談よね・・?」

記者さんはB国の使者さんを見る。


B国使者「場合によってはそうなるかもしれません。」

記者「ちょー!クビになっちゃう!」

ダークエルフ「生きて帰れる心配からした方がいい。」

記者「な、なんでそんなことに!?双星なんとかして!」

双星「いつものことだから。気にしても仕方ないよ。」

記者「あんたたちおかしい!!!」

いつも危険。

まぁ今回は・・全貌が見えないっていう怖さはあるけど。

馬たちも、解決しないって言ってたっけ。

悪いやつを殴ってはい終了・・とはいかない問題か。


・・

・・・・


B国使者「ここからB国領土です。酔いそうなら景色を見ると落ち着きますよ。」

記者「景色・・なんか寂れてない?ここの住人は見捨てられてるの?」

メイド「・・」

双星「どれどれ?」

・・確かに。どことなくみすぼらしい気がする。


メイド「たぶんここ、農業に適していない土地ですね。」

双星「どういうこと?」

メイド「土地には栄養が含まれていますが、この栄養が少ないと植物はよく育ちません。多すぎてもダメですが。」

メイド「同じ科で連作したり、塩害があったり、微生物がいないと農業に適さない土地になっちゃうんですよ。」

ダークエルフ「昔からなのか?」

B国使者「はい。建国前からずっと・・B国は農地に適さない土地が多くあります。」

大変な土地だなぁ。


記者「あの銅像、もしかして超神?B国の守護神だっけ。」

B国使者「はい。B国は建国後まもなく危機が訪れました。それを救ってくださったのが超神様に仕える天使という話です。」

B国使者「この時から双子は吉兆として扱われるようになりました。天使様のお声を聞いたのが双子の弟だったそうです。」

双星「それまでは不吉だったの?」

B国使者「はい。双子が生まれたら弟を殺すのが習わしでした。」

ひどい話だ。


ダークエルフ「A国やC国ではまだ残っている風習だ。B国は無くなっていたのか。」

双星「えええA国は双子ダメなの?」

ダークエルフ「それ故の問題もある。子供を殺すのは忍びないと考えた親が地下牢で育てたり。」

記者「知ってる!何件か記事にする前に揉みつぶされたからそれ。」

双星「そういう子供ってどうなるの?」

ダークエルフ「死ぬまで地下牢か、社会性0のまま世に放り出されるかどちらかだ。」

双星「そんな風習なくそうよ!双子のなにが悪いって言うの。」

ダークエルフ「人間社会に亜人が少ないのと同じだ。”普通”と違うことには排除の論理が働く。」

ダークエルフ「もっとも、排除しなければされる側になる現実にも問題がある。」

ダークエルフ「大切な人が殺されるよりは、敵を殺す方を選択するもの。」

双星「別に双子の弟が自分たちを排除するわけでもないでしょ。」

ダークエルフ「ではなにが自分たちを排除する?」

双星「え・・んー。外国人とか?」

ダークエルフ「なら外国人を排除する?」

双星「いや待って!なんかそれもおかしい気がする!」

俺が排除されちゃうよ!


ダークエルフ「なにが正しくてなにが間違いなのかわからないから、全部排除する。でなければ大切な人を守れない。自分が排除されてしまう。」

ダークエルフ「そんな世界に私たちは住んでいる。」

メイド「切ないですね。」

記者「自分が良ければそれでいいけど。」

そんなこと言って、記者さんは俺が刺されたときに悲しんでくれたじゃん。

・・あ、本当だ。なにが正しいのかよくわからない世界だここ。


B国使者「まもなく王城に着きます。」

馬車から王城が見えた。

みすぼらしい・・というわけじゃないけど、無骨で見た目より防御力重視って感じがした。


・・

・・・・


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