173【お誕生日おめでとう】
記者「メイドになったって聞いたけど。」
俺は黙秘した。
メイド「双星様のメイド服姿は神がかっていましたよ!」
ダークエルフ「私のいない間になにが起きたのやら・・」
ダークエルフさんが溜息をついた。
記者「私も見たいから着替えて。」
双星「やだ。」
絶対やだ。
なにがなんでもやだ。
記者「え~いいじゃん減るもんじゃなし。」
双星「俺の尊厳とか心とか減るんです!」
ダークエルフ「強制は感心しない。」
メイド「では多数決しましょう。」
2対2にしかならない気がする。
メイド「双星様のメイド服姿を見たい人!」
メイドさんと、記者さんと・・ダークエルフさんが手をあげた。
・・・・もしもし?ダークエルフさん?
ダークエルフ「見たいかと言われたら見たい。」
もしもし!?
記者「これこそ民主主義。」
メイド「民の意思です。」
双星「拒否権の行使を!」
記者「だめ。」
メイド「拒否権の乱発はいけませんよ♪」
一回目です!
奮闘空しく、俺はメイドになった。
記者「いいね。コメントください。」
双星「・・いっそ殺して・・」
記者「ふむふむ、主人のためなら死もいとわない、と。」
いつもながら斬新な解釈。なおただの捏造。
双星「あーもう、この国は平和だね!」
ちょっと自棄になる。
記者「んなことないよ。うちの新聞見る?」
双星「どうせ捏造100%なんでしょ?」
記者「5%くらい。」
そこは0%にしようよ。
まぁ捏造していないところを見るか。
日付は正確だ。うん。
双星「4コマ面白いね。」
記者「そこじゃなくてほらここ!王による不正!!!」
えええ、そりゃ大変だ。
双星「なになに・・」
―――――
裏交渉を記した書類を破棄!
王による指示か!?
―――――
双星「裏交渉?」
記者「外交で、国民へは隠蔽されるような交渉のこと。」
双星「国民が知らなくても問題ないなら、それはそれでいいんじゃないの?」
記者「とんでもない!交渉で決まったことは国民が知らないまま履行されてしまう!」
記者「これは国民の知る権利に違反した重大な犯罪!」
国の経営って綺麗事だけじゃうまくいかないと思うけど。
時にはどんな手を使ってでも国民の幸せを追求してほしいな。
・ルール通り政治をやっています。でも国民は不幸です。
・時にはルールを破ります。でも国民は幸せです。
どっちがいい?
俺は・・ルールを守って国民も幸せ、がいいな!
記者「その裏交渉の記録をこっそり破棄した!都合が悪いからだ!」
記者「国王には納得のいく説明をしてもらわないといけない。」
なるほど、その通りだ。
なぜそんなことになったのか発表して、再発防止してもらわなきゃ。
記者「抗議デモやってるから双星も参加して!」
双星「どこでやっているの?」
記者「王宮前!双星が参加すれば信者も参加するから!」
そう遠くないし参加した方がいいのかな。
でも俺・・外国人なんだけど。
双星「そういうのって自国の人がやるもんじゃない?」
記者「間違いを正すのに国境はない!」
・・それもそうだ。
間違いを正そう!
双星「ダークエルフさんは行く?」
ダークエルフ「必要ない。むしろ真逆、こういう時は王を応援しないといけない。」
え?え?
双星「なんで?」
ダークエルフ「破棄したのは誰?」
双星「王様?」
ダークエルフ「記事だと王様は破棄を指示した可能性があるだけ。外交文書はどこが保管している?」
双星「・・・・外務省?」
ダークエルフ「なら破棄したのは外務省。」
なるほど。
他の人がわざわざ侵入して破棄してたら・・・・別の事件になっちゃうか。
ダークエルフ「そして王が破棄を指示した証拠はない。」
記者「どう考えても王が指示したとしか思えない!」
ダークエルフ「ならなぜ記事に”?”をつけている?証拠がないからだ。」
ダークエルフ「疑わしいだけで犯人扱いするなどまともな人間ならありえん。」
・・それもそうだ。
ダークエルフ「王が文書の破棄を命令したかは不明、外務省が文書を破棄したのは確実。」
ダークエルフ「ならば、まず変わるべきは文書を破棄した外務省。では誰が変える立場だ?」
双星「えっと・・王様、かな?」
王様が責任者だよね?
ダークエルフ「どの組織もそうだが、他人に指導されるのを拒もうとする。」
ダークエルフ「国民の支持がなければ王とて強硬はできない。独裁国家でもあるまいしな。」
ダークエルフ「よって王を応援しなければならない。でなければ何も変わらないままだ。」
はー、なるほど。
そこまで考えないといけないんだ。
双星「王様の文書破棄命令については?」
ダークエルフ「法治国家であれば、しかるべき機関が調査する。外野がやったら私刑と呼ばれるものになる。」
ダークエルフ「疑わしいだけで罪人のように扱われた王が、国民のための政治をしたいと思うか?」
双星「・・国民を恨むかも。」
ダークエルフ「他に疑問は?」
ありません!
政治の世界怖い。
よかった俺は平民で。
記者「捜査機関も王が作ったもの。真実を捻じ曲げ王にとって都合の良い発表をするだけ!」
記者「第三者が正しく精査しないとダメなの!」
一理ある。
王様だからって無法は許されない!
ダークエルフ「手続きを得ず勝手に他者を裁こうとする、それこそお前たちの都合の良い結果を発表するだけだ。」
ダークエルフ「それではダメだから捜査機関があるのだ。」
ダークエルフ「王を信じず己の都合を押し付けるお前たちに正当性はない。」
記者「もー、あんた今まで王のこと批判してたでしょ!?なんで王をかばうのよ!」
ダークエルフ「好き嫌いを判断基準にするお前たちには理解できまい。」
ダークエルフ「政治とは国民を幸せにするもの。個人的な感情など不要。」
さすがダークエルフさん。常に公平だ。
ダークエルフ「私が王を批判するのは王が無能だからだ。それ以上でもそれ以下でもない。」
さすがダークエルフさん。王様が泣きたくなるくらい公平だ。
・・
・・・・
来た!ついに来た!
お誕生日おめでとう俺!
30歳になったね。
小さい頃の夢は叶いましたか?毎日楽しいですか?
結婚した?相手は誰?子供はいる?
・・なにもめでたくないです。
恥ずかしいから誕生日だってことは誰にもナイショ。
――― 魔法使いプログラム始動 ―――
――― 解除・・エンペラーズスキル:タイムトラベラー ―――
・・
・・・・
物音がした。
自然のものではない。人為的な物音。
ヒミカ「誰だ?」
?「・・私です・・シャルロット王女付のメイドです。」
ヒミカ「・・B国の?」
ヒミカはメイドを部屋に入れた。
メイドの体は傷だらけだった。
ヒミカ「お主その体はどうした!?」
?「それよりも・・B国は、A国とC国を支配しようと動いております。お気を付けください。」
ヒミカ「・・」
ヒミカは昔のことを思い出した。
双星が魔王を封印したときのこと・・シャルロット王女の手紙を何者かが届けて来た。
B国がA国を攻めようとしていたという内容・・
ヒミカ「以前シャルロット王女の手紙をよこしたのはお前か?」
?「はい。事はより深刻になりました。A国とC国の溝が埋まりつつあると・・両国が手を組む前にB国は動くはずです。」
ヒミカ「そうか・・教えてくれて助かった。早く怪我の治療を。」
王はB国を信用している。
説得できるか・・?いやそれより土門将軍に伝えるべきだろう。
それに、この情報とてどこまで信用できるかまだわからない。
?「私のことは気にしないでください。それより私はC国へ行きB国の野望を伝えなければ。」
ヒミカ「お主はB国の者なのだろう?なぜ自国の不利になることをする?」
?「戦争を始めさせないためです。A国とC国が守りを固めれば、B国は攻めにくくなります。」
?「戦争は、始めるのも大変ですが終わらせるのもまた大変です。それまでにどれだけの人が犠牲になるか。」
?「王女様はそのことを気にしておられるのです。自国が嫌いなわけでも憎いわけでもありません。」
ヒミカ「そうか・・」
?「では私はこれで・・ああ、そういえば双星殿・・でしょうか。彼は監視した方がいいと思います。」
ヒミカ「なぜだ?」
一応宿に人をやっているが。
?「B国は、彼に興味を持っているようです。味方にしたいという声もあれば、殺した方がいいという声もありますが。」
ヒミカ「・・」
?「彼は外国人です。私は危険だと思いますが。」
ヒミカ「まぁそうだな。お前は双星に会っていないからそう思うのも無理はない。」
?「?」
ヒミカ「あれの思想はどちらかといえばお前の主に近い。常識外れのお人好しだぞ。」
?「・・そうですか・・」
シャルロット王女付のメイドは去った。
・・
・・・・




