167陛下救出戦(参加)
死出の旅路ってこんな感じなのかな・・
兵を率いて敵地へ進軍中・・なんだけど、どうすりゃいいんだ。
一応、人がいたら身分を確認してるけど、民間人に化けてるって調べようがないよなぁ・・
兵士「双星様、前方に敵軍発見!」
敵兵がいるってことは・・
双星「包囲された!?」
兵士「いえ、敵は前方のみ。少数です。」
斥候か?いや、特殊部隊?どちらにしろ、何も策がなければ逃げるよね?
兵士「敵軍、こちらに突っ込んで来ます!」
えええ!?
双星「げ、迎撃!」
これが何かの罠なら大ピンチだ!
俺に兵の運用とか無理だよぉ!
兵士「く、双星様をお守りしろ!」
兵士「双星様、ここは危険です。後ろにお下がりください!」
双星「敵がもう来たの!?」
兵士「一騎だけです!ですが・・その・・」
兵士が話し終える前に、その騎兵が現れた。
双星「騎兵というか、雑魚じゃなくて隊長クラスじゃないか!」
装備も、乗ってる馬も、すげえ立派なやつだ。
単独でこんな奥までやってくるとか大昔の戦い方ですか!?
隊長がやられたら負けなんだから、単独で深入りしないもんでしょ!?
顔まで覆うフルアーマーに身を包み、大きくたくましい馬に乗った騎兵は、こちらの兵を蹴散らしながら俺を射程に収めた。
だめだ、やられる・・
ガキィン!!
騎兵の攻撃を、兵士のひとりが受け切った。
うわー兵士さんさすが!すてき、かっこいい!
兵士?「・・なんだこの強さは。」
双星「この声・・ヒミカさん!?」
ヒミカ「双星のところにいればなにか起こると思って隠れていたが、こんな強者に出会うとはな。」
兵士?「考えていることは同じか・・」
双星「この声は・・ミルカさん!?」
ミルカ「下がってろ。こいつはとんでもなく強いぞ。」
俺は騎兵を見た。
圧倒的な強者感・・はい、下がっています!
・・
・・・・
離れてみるとその強さがよくわかる。
巨体にフルアーマーを着ているのに動きに無駄がない。
人馬一体の動きに隙がないんだ。
一撃が速くしかも重い。
あれではヒミカさんもミルカさんも、一撃一撃受け止めるたびに体力を大きく消費してしまうだろう。
ダークエルフ「いつまでのんびりやってるつもりだ?」
ダークエルフさん!
ウラノス「他の雑魚は片付けておいたぞ。」
テミス「です!」
ウラノスさん、テミスさんも。
・・みんな俺の部隊に潜んでいたのか。
ヒミカ「手を出すな!こいつは私の相手だ。」
ミルカ「私もいるんだけど?」
ウラノス「そういうわけにはいかないな・・お久しぶりです、師匠。」
?「・・」
ウラノスさんの師匠って・・あれ?敵の元帥?言うなればボスだよね?なんでこんなところに?
ウラノス「返事をいただけないということは・・やはり戦いでしか語れないのですね。」
?「・・」
ダークエルフ「私も参加させてもらう。こいつの戦い方は決死だ、気を抜いたら死ぬぞ。」
ウラノス「テミス、お前も下がっていろ・・そしてその目に焼き付けよ!師の本気が見られる機会はそうない。」
テミス「はい。」
テミスさんは頷いて後ろに下がった。
俺も、もう少し下がろっかな・・
俺が後ろに下がるのと同時にみんなが敵の元帥に斬りかかった。
だが、元帥は二刀流の長剣を一切使わず、馬と器用に立ち位置を変えながらかわす。
ガガガガキン!!
何が起きたのかわからなかった。
いきなりヒミカさん、ミルカさん、ダークエルフさんの武器が宙を舞った。
?「よく防いだウラノス。日々の研鑽を怠らなかったようだな。」
ウラノス「は、はい!」
ヒミカ「魔剣よ行け!」
宙に浮いていたヒミカさんの魔剣が、向きを変え元帥に襲い掛かった。
?「ぬ!?」
ガキッ・・にぶい金属音と共に、元帥は落馬した。
ウラノス「今だ!お覚悟!」
?「甘い!」
ウラノスさんが斬りかかるも、軽くあしらわれてしまった。
そして元帥は・・あれ?俺の方を向いた?
やばい・・そう思った時には元帥は既に俺に向かって来ていた。
ミルカ「させるか!」
ヒミカ「ここは通さん!」
?「武器の力に頼り過ぎだ!魔剣に合わせるあまり己の持ち味まで殺している!」
ミルカさんとヒミカさんが弾き飛ばされた。
元帥がそのまま俺の方へ向かってくる。
ああああんな化け物どうすりゃいいってんだ!?
短剣じゃ格好がつかないからと支給された剣を構えるも、まったく動けない。
え・・?
元帥が、俺の構えた剣にそのまま貫かれた。
鎧の隙間から剣が刺さり、血が垂れてきた。
な、なに?なにが起こったの?
?「・・刺しが甘いな。中途半端に刺しても致命傷にならず、刺した剣は抜くまで使い物にならぬぞ。」
驚くほど優しい声・・どこかで聞いた声のような気がした。
元帥は一歩前に出た。
剣はより深く刺さり、俺と元帥は目と鼻の先まで近づいた。
?「・・・・陛下を、頼む。」
そして元帥は倒れた。
ヒミカ「双星!大丈夫か!?」
みんながやって来た。
だけど・・俺は何も言えなかった。
魔物を殺すのとは違う・・人を殺す感触・・
ダークエルフ「怪我はないようね。」
あ、うん。心はちょっと怪我したかな。
みんなは・・大丈夫そうかな?ピンピン動いてるし。
ミルカ「どうやって倒したの?」
双星「・・あー、えーと、剣に吸い込まれるように刺さった・・?」
テミス「達人みたいなこと言いだした。」
・・どう考えても、元帥さんは自分で刺さりに来たよね・・
ウラノス「師匠・・最後まであなたには敵いませんでした。」
ウラノスさんが、元帥の兜を脱がす。
双星「え!?この人・・」
ヒミカ「どうした?まさか別人だなんて言わないよな?」
ウラノス「それはない。歳はとられたが間違いなく敵の元帥だ。」
そうじゃなくて、この人・・
礼拝室で会った人だよ!ああ俺しか会ってないから言ってもわからないか。
でも、なんで・・?
・・
・・・・
元帥のいなくなった敵は降伏して、10歳の皇帝陛下をお救いした。
乱世は終わった。
・・
・・・・




