166陛下救出戦(不参加)
準備も整い、皇帝陛下救出戦が始まる。
・・というか、いつの間にか始まってた。
双星「俺なにもしなくていいの?」
兵士「あ、双星殿!・・あーいえ・・その、ポトス殿が呼ばなくていいと・・」
双星「そうなんだ。ありがとう。」
やったーポトスさん優しい!
自由時間だ。何しようかな・・
メイド「あ、双星様!」
双星「メイドさん久しぶり。不便してない?」
メイド「大丈夫です。みなさんよくしてくれますから。」
双星「今は何をしているの?」
メイド「えへへ、この国の料理を教わっているんです。」
メイド「双星様においしい料理を食べてもらえるようレパートリーどんどん増やします!」
メイドさん真面目だなぁ。
それに比べて俺は自由時間だとはしゃいじゃって・・反省しないと。
双星「楽しみだよ。ところでどこか静かな場所を知らない?」
メイド「そうですねぇ・・あ、あそこは静かですよ。」
メイドさんから静かな場所を教えてもらった。
・・
・・・・
そこは、神様を祭る祭壇のある部屋だった。
誰もいなくて静かだ・・ああ、ここなら反省もはかどりそう。
俺は指を組んで目を閉じる。
?「お祈りか?」
いつの間にか人がいた。
・・なんというか、歴戦の戦士って感じですげえ強そうな人だ。
戦場行かなくていいの?
双星「ええまぁ。今の時代は、どれだけ祈っても祈り足りないくらいですから。」
?「そうか・・では、私も祈っておこう。」
最初は強面な感じがしたが、なんて優しい顔で祈るのか。
この人からは凄みを感じる。威厳のようなものを・・
?「ところでひとつ聞きたいのだが、双星殿はどのあたりに布陣されているのかな?」
双星「え?えーと、戦場へは行ってませんけど。というか双星は俺ですが・・」
?「な?・・いや噂とはだいぶ違うのでびっくりしてしまった。気を悪くしたのならすまぬ。」
双星「いえ構いませんよ。ちなみにどんなうわさですか?」
?「今世紀最大の正義の使者で、あらゆる困難を解決する実力者だと。」
完全な誇大広告。というかそんなうわさされたら恥ずかしくて表を歩けないよ!
双星「えーと、そういう・・その、漠然としたうわさは正しくないと思います。」
?「では、義のために大勢力の自領を由緒ある小勢力に譲り渡したという噂は?」
双星「義とか、そんな大仰なものじゃないですよ。乱世を終わらせて平和になった方がいいよねってことでやっただけです。」
?「乱世を終わらせた後は?皇帝陛下をどうなされるつもりか?」
双星「皇帝陛下はまだ10歳の女の子でしょう?色んな事を学ばないと。」
双星「元服や即位までにたくさん学んでもらい、立派な皇帝になってもらうつもりですが。」
?「双星殿は・・自身が皇帝になろうとは思わぬのか?」
・・質問だらけだなぁ。なんでだろう?
俺もしかして・・有名人!?なら仕方ないか、有名税だね。
双星「乱世が終わればA国に戻るつもりです。俺は皇帝にはなりませんよ。」
双星「皇帝になるには・・今の皇帝を殺さないといけないでしょう?そんなこと望みません。」
?「・・乱世が終わった時は、常に内乱が起こる。戦時では優遇されていた武官が立場を危ぶみ戦いで解決しようとするからだ。」
へーそうなんだ。
そういえば、乱世は武官(軍人)が主役で、治世は文官(政治家)が主役って言うもんな。
?「なぜ途中で帰ろうとする?最後まで責任を持とうとしないのか?無責任ではないか?」
?「この国を混乱させるだけになるかもしれぬぞ。それなら・・乱世の方がマシではないか?」
双星「・・俺たちが全部解決していたら、いつまでもこの国は自立できなくなってしまいます。」
双星「長くいると、俺たちがいる前提であらゆる物事を考えてしまうでしょう。」
双星「だから早目にいなくなる方がいいんです。この国が立派な国になるためには。」
・・あれ?この話もどこかでしたような気がするけど、どこだっけ?
?「・・ついに見つけた。長かった・・」
双星「ん?」
?「いや、こちらの話だ。突然質問攻めにしてすまなかった。言えぬが理由があったのだ。」
双星「いえいえ。うわさは大げさですから、質問したくなる気持ちわかりますよ。」
?「そう言ってもらえると助かる。では失礼する。」
双星「あ、えっとあなたは・・?」
?「またすぐ会える。」
はぁ。
礼拝室から出ると、さっきの男の人はもういなかった。
代わりに平凡そうな兵士さんがやって来た。
兵士「双星様ですね!アイテル様がお呼びです!」
双星「俺に?わかった、すぐ向かう。」
何の用だろう?
・・
・・・・
アイテルさんのところへ行くと、ダークエルフさんにヒミカさん、ミルカさんもいた。
というか、ウラノスさんやテミスさんもいる。
双星「もしかして・・もう終わった?」
アイテル「いえ、第一戦は敗北しました。」
ええ?このメンツで負けるの!?
アイテル「・・敵軍はゲリラ作戦を取りました。」
ゲリラ?小規模な部隊で奇襲やかく乱をする戦い方だっけ。
アイテル「民間人に化けて罠を仕掛けたり背後に回ったりと、常に先手をとられてしまいました。」
双星「なるほど・・もしかして俺にアドバイスを求めています?」
いい案なんてないよ?
アイテル「いえ・・・・双星様にも次の戦いに参加していただきたいのです。」
ふぁ!?
俺はびっくりしてヒミカさんたちを見た。
ヒミカ「今まで戦ったどの相手より強敵だ。」
ま、魔族よりも・・?
ミルカ「兵の練度や士気がまるで違う・・うわさとは当てにならぬものだな。」
双星「うわさ?」
ミルカ「冷酷無比な元帥が皇帝を幽閉して好き勝手していると・・そうだな?」
ミルカさんはアイテルさんを見た。
アイテル「はい。その元帥は出世のために自分の子供を殺し、前皇帝が無くなると突然クーデターを起こしたそうです。」
ウラノス「・・」
やばいやつだ。そんなの相手にしないといけないの?
ヒミカ「やはり一番危険なところは双星頼みになったな。で、どう解決するつもりだ?」
これ、俺が死んで終わったりしないよね?
・・
・・・・
再編成が終わるまで好きにしてていいと言われた・・けど。
ヒミカさんやミルカさんが強敵なんて言う相手を俺にどうしろと?
天地が236回ひっくり返ってもどうにもならないと思う。
おや、あれは・・アイテルの文官さんたちだ。
双星「こんにちは。いつもお仕事お疲れ様です。」
文官「・・はあ。」
文官「何か?」
双星「ああいえ、乱世が終われば文官さんたちが復興の舵取りをされると思うので。今から挨拶くらいはしておこうかなと。」
文官「まあそうですね。乱世を終わらせるのは頼みますよ。後方支援は任せてください。」
文官「軍の方々には復興する際に実働として動いてもらうこともあります。その時はこちらからもお願いに参りますので。」
双星「わかりました。力仕事はお任せください。」
文官って気難しい人かと思ったけど、話してみれば普通の人だった。
むしろ武官の方が・・げふんげふん、何も言ってないよ。
ウラノス「もう乱世の後の根回しか?抜け目ないな。」
双星「そ、そんなんじゃないですよ。ウラノスさんは?」
ウラノス「お前が何か作戦でも立てるのかと思ってな・・どうやらもう立案済みのようだが。」
何も思いつきません。
文官「・・ウラノス・・」
文官「貴殿も次の作戦に参加するのか?」
ウラノス「そのつもりだ。」
ん?
双星「お知り合いですか?」
ウラノス「いや違う。こいつらは俺の出自が不安なのさ。」
双星「出自って、実は外国人とか・・もしかして犯罪者とか?」
ウラノス「その方がマシかもな。冷酷無比と言われる敵の元帥は、俺の師匠なんだよ。」
えええ!?
・・あ。ぴこーん。
双星「知り合いなら話し合いで解決とかできませんか?」
ウラノス「難しいな。あの人は戦いで語るタイプだ。」
言葉で意思疎通しましょうよ・・
双星「やっぱ・・やばい人なんですか?」
ウラノス「強さはそうだな。だけど、冷酷っていうのは・・子供を犠牲にしたのはその通りだがな。」
なんか歯切れ悪いなぁ。
結局ウラノスさんは教えてくれなかった。
・・
・・・・




