164ヒミカさんの用事(予定通り)
アイテルに返事をもらうまで時間があるので・・
ヒミカさんの用事を聞くことにした。
A国での貴族の地位と領地をはく奪させたいんだっけ。
ヒミカ「お前に野心はないのか?皇帝にはなれないと踏んでいるのか?」
双星「誰もできなかったこの国の戦乱を終わらせるんです。十分すぎるほどの野心ですよ。」
ヒミカ「私欲はないのか?」
双星「俺は最高に欲深いですよ。ただ求めるものが他の人と違うかもしれませんが。」
ヒミカ「・・なら・・私がG国に来た理由はわかるか?」
知ってたらおかしいんだよね。
知らないフリするつもりだったけど・・
運命に逆らっちゃったからなぁ。
もうどうでもいいか。
双星「王様が不安がってるんでしょう?俺の貴族の地位と土地、好きに没収しておいてください。」
ヒミカ「やはり知っていたか。ならなぜ・・」
双星「それで王様が安心してくれるなら喜んで返却します。」
双星「俺の望みは・・すべての人が幸せになることですから・・」
心が痛くなった。
気持ちが沈む。落ち込む。
それは俺の本心なのか・・?
みんな仲良く。みんなが幸せな社会。俺が学校で昔教わったこと。
誰とでも仲良くしなさい。自分のことだけじゃなく、相手のことも考えなさい。
でも・・俺が社会に出たらそんな世界なかった。
罵倒され、けなされ、幸せを奪い合う競争社会だった。
俺は・・
ヒミカ「・・メイド、お前も同じだ。」
メイド「はい?」
ヒミカ「お前がここにいればA国での貴族の地位と土地は剥奪される。」
ヒミカ「だが今、A国に戻れば免れる。」
そうだった。メイドさんはA国の国土の1割以上も持っている。
それを剥奪?
メイド「では剥奪してください。」
ヒミカ「・・いいのか?」
メイド「双星様をお世話する邪魔になるならいりません。」
ヒミカ「お前が少しうらやましい。私もそういうこと言ってみたいものだ。」
メイド「ならヒミカさんも双星様に仕えてみますか?」
ヒミカ「・・」
いやさすがにそれは・・
ヒミカ「そうだな。しばらく世話になる。」
双星「え?」
そう言うと、ヒミカさんは魔剣の手入れを始めた。
双星「えーと、A国への報告とかはいいんですか?」
ヒミカ「使者を出せば済む。」
ヒミカさんは鼻歌まで歌い始めた。
そんなんでいいの?
・・
・・・・
ウラノスさんたちが戻ってきた。
双星「お帰りなさい。どうでしたか?」
ウラノス「おおむね問題ない。やっこさんが主導権を握りたいと言ってたが、それはいいな?」
双星「はい。でなければ、乗っ取りだと思われてしまいますから。」
俺が皇帝になるチャンスはきちんと潰す方向で。
コルド大将「先に話を聞いてひとつ気になったのだが、双星殿には統帥権のない役職についてもらいたいそうだ。」
統帥権って、要は兵権だよね?最高司令官みたいな人が持つ権力。
・・ああ、つまり戦わなくていいってことか。アイテルの方々は優しい!
双星「何も問題ないです。」
楽でいいや。このまま全部終わらせてください。
ダークエルフ「いいのか?蚊帳の外に置かれるぞ。」
双星「はい、何も問題ないです。」
皇帝にならなきゃなんでもいいです。
ヒミカ「私たちもか?」
コルド大将「いえ、双星殿だけです。他の方には、戦列に加わってほしいと・・」
テミス「罠だと思います。」
双星「罠?」
テミス「例えばですよ・・仲良し二人組がいて、片方が優遇されて出世、もう片方が冷遇されたら変わらず仲良くできるでしょうか?」
ああ、微妙な感じになりそう。
テミス「あいつら双星殿を危険人物だと見て楔を打とうとしています。協力する気なんてなくて、利用されるだけになりませんか?」
コルド大将「私もそう思います。仲間となる者への扱いではないかと。」
双星「ちなみに、文句言って改善されたら俺はどうなるの?」
テミス「もちろん皆の指揮をとっていただきたいですね。」
つまり戦場へ行けと・・ふむ、嫌です。
壁も天井も話しかけてくれないし、できれば危険は避けたい。
双星「お、俺はアイテルのやり方に賛成ですね。いきなり信用しろなんて無理な話だし、まぁゆっくり打ち解けていけばいいと思うよ。」
コルド大将「しかし!」
ヒミカ「双星がいいと言ってるんだ。他の者が気にしてもしょうがないだろう。」
コルド大将「・・出過ぎた口を聞きました。申し訳ございません。」
ヒミカ「どうせ最後は双星にとって都合の良い結果で終わる。気にしても無駄だ。」
いやいや、今回ばかりはそうならないと思うよ。
ここからはみんなの力で平和を勝ち取らないといけないんだ。
もう・・強運には頼れない。
・・
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