162運命
数日後、コルド軍の大将が戻った。
太守の説得が成功して、これからは共に戦ってくれるそうだ。
俺たちはコルド軍を加え拠点に帰った。
ダークエルフ「戻ったか。」
ミルカ「見ない顔がいるな。」
あ、ダークエルフさんとミルカさんの方は先に終わってたんだ。
さすがです。
幹部「お、お前はコルド軍の!」
コルド大将「これからはこちらに協力することとなった。よろしく頼む。」
幹部「戦いに行ったんじゃないのか!?」
幹部「え?どういうこと?」
ウラノス「周囲と戦い続けていたら兵も物資もいつか尽きる。こちらに引き込んだか、味な真似をする。」
幹部「・・もしかして有能なの?」
幹部「・・いやーさすがリーダーだ!信じていたよ!」
幹部「これで5地域がこちら側だ!大勢力だな!」
いつの間に5地域・・?
コルド軍との戦いに行く前は2地域だったよね?
コルドがこちら側になって3地域。
ってことは・・ダークエルフさんとミルカさんがそれぞれ攻め返して領土広げたのか!
すごい順調じゃないか?
スペシャル椅子「お前が皇帝になるのは運命で決まっている。」
ライトベリー天井「すべてがお前の手のひらだ。この国をすべて飲み込め。すべて支配しろ。」
マスターディスタンス床「運命に従っていればうまくいく。運命を信じろ。」
それはいいんだけどさ、お前らの名前・・つっこんでいいのかな。
ところで、皇帝になったらなにすればいいの?
ハートフル椅子「好きにすればいい。何をやってもうまくいく。」
隙間風天井「お前がルールを作っていい。迷える子羊たちを導いてやれ。皇帝の裁きは絶対だ。」
落とし穴床「裁きを甘くしてほしくて、みんなお前のために必死で働くぞ。」
何をやってもうまくいくなんて、優しい世界だなぁ。
運命万歳!
ナ椅子「むしろお前は何もしなくていい。」
いつまでも天井「優秀な皇帝様がいたら国民は堕落する。試練を与えるのだ。」
半分床「お前が何もしないことで、国民が成長する。」
なるほどなるほど、何もしなくていいとか天国かな?
双星「そういえばウラノスさんもう大丈夫なんですか?」
ウラノス「ああ。いくらでも戦えるぞ。」
幹部「ウラノスが復帰すれば鬼に金棒だ!」
幹部「ダークエルフ様にミルカ様、双星殿にウラノスに、コルド軍まで加われば敵はいない!」
幹部「まだまだ領土は増えるぞ!」
俺には様付けしてくれないの?
ウラノス「それで、そちらの女性はどなたかな?」
双星「あ、A国のヒミカさんです。」
ヒミカ「私のことは気にしなくて結構。双星たちに用があって来ただけだ。」
双星「そういえばなんで来たのか聞くの忘れてた。」
ヒミカ「後で話す。そちらの邪魔をする気はない。」
・・あ、A国の貴族なのにG国でなにやってんだーって話だっけ。
貴族の地位と領地を没収したいとか。
アンダーバーサマー壁「そうそう。」
そもそもG国に来たのも、俺とメイドさんの地位と領地を没収する計画のためだった。
王様からの命令とはいえヒミカさんも大変だなぁ。
双星「えーっと、では今後どうしたらいいか考える?」
幹部「このまま領土を広げこの国の実権を握ろう!」
幹部「百戦錬磨の我らに敵う者なし!」
幹部「そうだ、双星殿には王になってもらうというのはどうだ?」
コルド大将「・・」
王になる話来た!
最終的には皇帝になるんだから、その前に王だよね。
兵士「失礼します!」
幹部「重要会議中だぞ!」
幹部「お前如きが軽々しく入っていい場所じゃない!」
幹部「スパイかもしれない。見張りはなにをしているんだ!」
双星「構わないよ。なにかあったの?」
兵士「は、はい。アイテル軍ですが・・」
アイテル軍といえば、最初に戦った相手か。
3つの勢力から攻められるって話だったけど。
兵士「他の領主から攻められ続け、5つあった領土のうち4つを失いました。」
兵士「残されたのは我が国と接している小さな地のみ・・連戦連敗で戦う力は残されていないようです。」
幹部「吉報だ!名門だかなんだか知らないが、力のない者は脱落だ!」
幹部「そうだ、いっそこちらからアイテルを攻めよう!」
幹部「それはいい、既に我らは攻められた。大義名分がある!さらに領土が増えるぞ!」
まぁ、こんだけ人材がいれば勝てるか。
兵士「あの・・まだ続きがあります。」
双星「なに?話してみて。」
兵士「アイテルを攻めた3つの領主が不戦条約を求めています。」
幹部「決まった!アイテルを潰し3領主と不戦条約を結べば背後は安心だ。周囲の領地を攻めとろうじゃないか!遠交近攻!」
幹部「賛成。3領主も不要になったら潰してしまおう。この国は我らがすべてを支配すればいい!」
幹部「大賛成。そしてゆくゆくは双星殿には皇帝になってもらおう!」
コルド大将「・・」
そのルートになるのかな。
まぁなにしても大丈夫なら考えなくてもいいか。
ダークエルフ「待て。3領主のアイテル攻めに大義はあったか?」
幹部「いや。どうでもいいではないか。敗者はすべてを失う。勝者こそ正義だ!」
ダークエルフ「そんなところ信用できない。こちらの背後が危うくなる。」
ミルカ「そうだな。それに戦争が続けばこちらの体力が持たない。土地を復興して力を蓄える必要がある。」
・・どれが正しいんだろう?
土地の復興とか時間かかりそうだけど・・年単位でかかる?
まぁ、なにやってもうまくいくんだよね。
ヴァリアブル天井「うまくいく。王となり他を支配し皇帝となれ。」
レンディンコップ「運命に従えばどんなルートでも成功する。」
マシ―ナリ―砂糖「お前は運命に従えばいい。皇帝を殺しお前が真の皇帝になるのだ。」
え?今の皇帝を殺すの?
ヴァリアブル天井「当然だ。皇帝は国のトップ、ふたりいたらそれこそ争いの元だ。」
今の皇帝ってどんな人?
レンディンコップ「10歳の女の子。囚われた無能な皇帝だ。」
マシ―ナリ―砂糖「無能な皇帝など国のガンだ。いるだけで邪魔。殺せ。」
え・・でも10歳の女の子なんでしょう?殺さなくても退位させるとか・・
ヴァリアブル天井「元皇帝がいたら御輿にされる。将来の敵となる。国が乱れる元だ!」
で、でも子供だよ。女の子だよ。
レンディンコップ「戦争で散々人が死んだ。子供?女の子?命は平等だ。」
マシ―ナリ―砂糖「大人の男は死んでもいいのか!?この差別主義者が!」
い、いやそんなつもりじゃ・・
ヴァリアブル天井「殺せ。敵は殺せ。そしてお前が皇帝となりこの国を支配しろ。それが運命だ。」
レンディンコップ「運命に従え。お前にはその権利がある。」
権利・・?
マシ―ナリ―砂糖「思い出せ。お前の今までの人生を。お前はなぜ旅に出た?」
旅に出た理由・・友達に誘われたから・・お姫様を助けて英雄になろうって・・
ヴァリアブル天井「違うだろ?お前の人生はうまくいってたか?うまくいってたのにすべてを捨てて旅に出たのか?」
・・うまくいってなかった・・
学校を卒業して就職したけど、うまくいかなくて・・逃げるように友達と旅に出た。
レンディンコップ「お前は学生生活をどう過ごしてきた?お前は勉強をサボって来たのか?教師に逆らう不良だったのか?」
落書きもしないような真面目な生徒だったよ・・
成績もそこそこよかった。先生の言うことを聞けって・・親の言うことを聞けって・・だから・・
マシ―ナリ―砂糖「お前は真面目にやって来た。お前になにも非はない。だが卒業してうまくいかなかった!」
ヴァリアブル天井「なぜだ!?」
レンディンコップ「なぜだ!?」
マシ―ナリ―砂糖「なぜだ!?」
不況で・・就職できるところ殆どなくて・・ようやく就職できたけど・・ひどいところで・・
辛くて、苦しくて、心がどんどん荒んできて・・
ヴァリアブル天井「それで旅に出ようという言葉に乗ったんだよな。旅は楽しかったか?」
あてもない旅人なんて住所不定無職だよ・・信用もないお金もない。お金がないと自由もなくなる。
きつい仕事して日銭を稼いで・・未来のない生活は・・本当は辛かった・・
レンディンコップ「A国で強運を与えられるまで、お前を助けてくれるやつはいたか!?」
・・いなかった・・A国に辿り着いて・・強運になるまで・・考えないようにしていた。
考えたら辛くなるから。考えたら泣きたくなるから。考えたら死にたくなるから・・
マシ―ナリ―砂糖「お前はなにも悪くない。なんのために国がある?優秀な者のためか?金持ちのためか?権力者のためか?」
ヴァリアブル天井「どれも違う!国が無くても強き者は生きていける。だが弱き者は生きていけない!国は弱い者のためにある!」
レンディンコップ「お前こそ救われなければならなかったのだ!だが社会はお前を救わなかった!お前は見捨てられた!!!」
マシ―ナリ―砂糖「社会は役割を放棄した!ならお前も社会のルールに従う必要はない!」
ヴァリアブル天井「お前は他者の権利を奪っていい!お前は他者の富を奪っていい!お前は他者の命を奪っていい!」
レンディンコップ「お前がルールとなれ!お前は幸せになっていいのだ!皇帝になり、社会を変えろ!」
幸せに・・なりたい・・
マシ―ナリ―砂糖「そのために・・皇帝を殺せ!そして幸せになれ!」
・・皇帝を殺せば・・10歳の女の子を殺せば幸せになれる?
俺が社会を変える・・幸せな社会を作る・・
ヴァリアブル天井「そうだ。それが運命だ。」
レンディンコップ「運命に従え。それが幸せだ。」
マシ―ナリ―砂糖「幸せになれ。それがお前がとるべき道だ。」
・・幸せのために・・
・・・・俺は社会のルールに従う必要はないんだよね・・
・・この感覚久しぶりだ。
動悸が激しくなる。緊張している。ストレスがかかっているのがわかる。
・・・・やりたくないことをやらされている時だ。
俺は・・・・俺は、差別主義者と言われてもいい!
皇帝だからって、10歳の女の子を殺すことなんてできない!!!
俺は皇帝にならない!この手を血に染めてまでなりたくない!
やりたくないことをやりたくないから現実から逃げたんだよ俺は!!!
・・
・・・・




