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147【10年前、C国にて】


10年前。C国。

これで何度目になるだろうか。

また王への面会を断られた。

国内で不穏な輩が暗躍している。B国の息がかかった者だ。

かつての戦い、そして経年によって防備も脆くなっている。

今のままでは・・


・・

・・・・


今日も王への面会を断られた。

B国に対抗できるのは王だけだ。

今のままではB国の怪しげな力に対抗できない。

王の目を覚まさせなければ。

そのためには・・だが・・


・・

・・・・


また王への面会を断られた。

大臣たちも今がどれだけ危険な状況かわかっていない。

・・やるしかないのか。

だがその前に・・・・


・・

・・・・


?「アルバルさん。わー久しぶりですね♪」

アルバル「ふたりきりで話をしたい。今時間あるか?」

?「え?あ、アルバルさん奥さんと子供もいながらそんな!ダメですよ~不倫は。」

アルバル「大事な話ではあるが、そうではない。」

?「え~違うの~?残念、じゃあ宿の空き部屋へ行きましょうか。」

ここの宿は昔何度かお世話になってから、時々来る。

最近は入口から入ったところにある食事処で食べる程度だが。


・・

・・・・


?「ああ、これから私・・アルバルさんにひどいことされちゃうんですね。わくわく。」

アルバル「そんなこと言ってると、お主のファンが怒るぞ。」

?「みんなマゾだから大丈夫♪」

・・他人の趣味嗜好についてとやかくは言いたくないが、それが彼らの幸せなのか?

この子は宿の看板娘で、かなり人気がある。

見た目と、誰にでも分け隔てしない性格が好かれるのだろうな。


?「とりあえず脱げばいい?」

アルバル「脱がなくていい。大事な話なんだ。」

例えここで脱げと言っても脱がないだろう。

軽い感じと違い、身持ちはかなり堅い。

単に男のあしらいが上手だと思っていたが、そうではないのだろう。

いや、そんなレベルではないのかと。


?「わかった、脱がせたいんだ!(名推理)」

アルバル「本題に入られては困るか?」

?「・・・・60年前も、同じ目をした子がいたわ。その子は楽しい時間を終わりにした。」

アルバル「では私もそうなのでしょう・・今まで、ありがとうございました。」

?「何の話かしら?」

アルバル「今まで何度も奇跡としか思えないことがありました。」

アルバル「ありがとうございます。」

?「何のことかわからないわ。」


アルバル「昔、父から聞いたことがあります。60年前も、奇跡を何度も起こした男がいたと。」

アルバル「そしてその者に奇跡を起こしたのもあなただと確信しています。」

?「・・60年前は聞きそびれたわ。なんで私だとわかったの?」

アルバル「あなた様は常に傍観者であろうとします。私の知り合いの中で、直接手助けをしない方、そして私と特別な関係にならない方はあなただけ。」

?「へぇ・・人間はそうやって私を捜していたのね。」


アルバル「何のために私を助けて下さっていたかはわかりませんが、嬉しかったです。」

?「いいの?私が60年前手を貸したということは、A国をあんな目に遭わせたということなのよ。」

アルバル「当時、我が王は先王である父親をA国に殺され、復讐に駆られていました。」

アルバル「開戦は既に避けられない状況でした。戦争になれば、C国民もA国民も犠牲は計り切れません。」

アルバル「A国を売った男は、殺し合いを防ぐためにやったと・・父から聞いております。」

?「・・」


アルバル「その男はA国民の身分を保障させ、それでも苦しむA国民がいれば助けてほしいと、A国を売ったお金を救済金として使うよう父に頼んでいました。」

アルバル「そして自らは、皆の恨みの矛先となろうと。」

?「・・昔ね、元の姿で人々の前に姿を現したことがあるの。」

?「そしたら人々が群がって来てね、助けて下さい、救いをくださいって・・目障りでみんな殺したわ。」

?「なんでどうでもいい人間は生きたがって、私が気に入った子は死にたがるのかしら。」


?「・・あなた、クーデターをわざと失敗させて死ぬ気ね。王の目を覚まさせるために。」

アルバル「そんなこともわかるのですか!」

?「なんでもわかるわ。クーデターの結果、あなたの妻子が処刑されることもね。」

アルバル「・・やはりそうですか・・外国へ逃がすつもりでしたが・・」

?「どんなに遠くへ逃がしても、反逆は赦されない。それはあなたたち人間の方がよく知ってるでしょう?」

アルバル「はい・・」


?「私に頼めば、あなたの主を働き者にすることもできるけど?」

アルバル「・・いえ、あなた様は人の域を超えています。しかし人の世は人が成さねばならないのです。」

アルバル「人の手で作らなければ、人はなにもできない生き物に成り下がってしまいます。」

?「・・あなたの剣を出しなさい。」

アルバル「・・?はい。」

私は父が王より賜った魔剣を差し出した。

父が亡くなった後、王は私に”その剣にふさわしい男になれ”と与えて下さったのだ。


?「・・」

彼女は魔剣を手に持ち・・そして、真っ二つにした。


?「これと・・そうね、このメモをあなたの家に置いておきなさい。そうすれば、あなたの家族は処刑されないわ。」

アルバル「あ、ありがとうございます・・このメモは!?これではあなた様が悪者にされてしまうのでは・・」

?「いいの。あなたが命を懸けるなら、私は誇りを懸けるわ。」

もっとも、人間にとっての誇りなんて私には興味ないけど・・そう言って彼女は笑った。


?「・・ふふ、あなた、その剣にずいぶん気に入られてるのね。真っ二つにしたけど、時が来たら再び元の姿に戻るわ。」

?「余計なことかもしれないけど、あなたはあなたの好きにする。だから私も私の好きにさせてもらうわ。」

アルバル「いえ、感謝のしようもありません。これで心置きなくクーデターを起こせます。」

?「それでいいの?私なら誰も死なずにあらゆる問題を解決できるけど?」

アルバル「これだけで十分です。王のために死ねるのであれば、私は本望です。」

そして私は出発した。

最後の奉公をしに。


?「私は主のために死ぬ気はないわ。だって主は私の死を望んでいないから。」

?「あなたが死ぬことを、あなたの主は喜んでくれるかしら?」


・・

・・・・


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