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145シャドウ


うーん、また新聞記事にでたらめ書かれた。

もう慣れちゃったよ!・・いや慣れたらダメだな。感覚がマヒってる。

ま、それはおいといて・・この状況をどうするかだ。


ヒミカ「お、お前は本当に双星の影なのか?」

影「その証拠に双星から影でてないでしょ?」

受付「ほんとだ~。面白ーい!」

記者「これが双星の新しい能力・・取材しなきゃ!」

ミルカ「C国へ帰る途中で双星が瀕死の重体と聞いて戻ってみたら・・どういうことだ!」

ダークエルフ「はい新聞。」

王女「お茶おいしいですわ。ほっとします。」

メイド「ありがとうございます。おかわりありますよ♪」

俺を入れて総勢9名。

宿の狭い部屋に居過ぎだと思います。


ミルカ「双星の強運は無くなっていないのか?」

ダークエルフ「そもそも強運なんてものがあったのか?いつものように偶然を装った演技をしているだけとか。」

ヒミカ「それではC国で悪魔が現れたのはなんだったのだ?」

メイド「なにかおかしいですよね。」

王女「C国でみなさんが倒した悪魔と、双星ちゃんは無関係だった可能性もありますね。」

王女「悪魔は10年前と70年前に言及しましたが、今なにをしているかはなにも言っていませんでしたから。」

ミルカ「しかし、それでは悪魔がなぜあの姿でいたのかわからなくなります。」

記者「事情はよくわからないけど、それも双星の計画・・とか。」

ミルカ「どんな計画だ!?双星!どうなのだ!!!」

双星「なにもしていません。偶然です。」

ダークエルフ「わけがわからん。」

ヒミカ「お前の発言はブレないのに、なぜこうも現実と乖離するのだろうか。」

俺もわけわかんない。

馬たちも普通に喋るし、強運無くなってなさそうだし、部屋が女の子の香りに支配されてちょっと居づらいし。


ミルカ「お主はなにかわからないか?双星の・・影・・なんだよな?」

影「さっぱり。オレがわかるのはシャメアのことくらい。」

ヒミカ「そうだ!双星、お前新聞でシャメアのことがもうわかっているような発言をしてただろう?」

双星「あれは捏造記事ですよ!」

記者「なんとかシャメアに双星を殺させようと挑発しているだけだから。」

なんて恐ろしい記事作るんだ。

記者さんは関係ないですよって顔で、メイドさんが淹れてくれたお茶を飲む。


影「シャドウ側ならオレわかるよ。」

ヒミカ「シャドウ側?」

影「シャメアがシャドウナイトメアの略なのはわかるよね?新聞記事で出てたし。」

影「元々シャドウと呼ばれる者たちがいて、そこから幽体離脱やらオレみたいな影を召喚する術を授けてもらった人間たちが、ナイトメアを組織したんだ。」

ヒミカ「ふたつ組織があるのか。」

影「ナイトメア側は組織。でもシャドウは・・んー説明むずいな。そういう種族だと思って。」

シャドウ族?


ダークエルフ「そんな種族聞いたことがない。」

影「闇に憧れ、闇を崇拝し、闇と共に生きることを望んだ者たちが元の種族を捨てシャドウとなる。」

双星「闇・・なんか邪悪そう!」

影「実力的には人を超えているけど、思想的にはそうでもない。」

影「人間にとって悪いことも、シャドウにとって悪いこととは限らない。」

悪気なく悪いことをするようなもん?


影「人間は蚊を殺すよね?ミミズが死にかけていても助けないよね?じゃあそれって邪悪なの?」

影「シャドウは人間を殺すこともある。人間が死にかけていても助けない。それって邪悪?」

ヒミカ「言いたいことはわかる。だがシャドウは知的生命体なのだろう?共存という考えはないのか。」

影「無いよ。でも別に、シャドウは人間を積極的に殺すつもりも、敵対するつもりもない。」

影「元人間のシャドウがいれば、元ドラゴンのシャドウもいる。やっぱ元人間のシャドウは人間と関わりを持ちたがることがあるんだ。」

影「その相手がナイトメアだっただけ。力を与えるけどさ、それをどう使うかは人間次第なんだよ。」

双星「なんか倒さないといけない相手が多そうだ・・」

こんこん。

もう部屋の中は人でいっぱいですよ!


影「来たよ。シャドウの人。」

ヒミカ「なに!?」

ダークエルフ「戦いに、か?」

影「違うよ。それなら不意打ちする。話し合いさ。」

こんな突然来るってことは、なにか意味があるのかな?


王女「影ちゃんを通じてこちらの様子は筒抜けでしたのね。タイミングがバッチリですわ。」

影「当たり。」

双星「・・向こうが上手かぁ。とりあえず出ないと。」

メイド「私が開けます。」

そう?

ガチャ。


シャドウ「こんにちは。儂はシャドウがひとり・・ご主人と話をしたいのだが、アポイントがないとダメかね?」

メイド「いえ、双星様はお会いになるつもりですので。どうぞお入りください。」

シャドウ「ありがとう。失礼するよ。」

メイドさんはお茶を淹れに行った。

シャドウを名乗ったのは・・俺の影と同じで全身真っ黒な人だった。

目も鼻も口も全部真っ黒。ペンキをかぶってもここまで完全な黒にはならないと思う。

シルエットからは老人のような風貌だけど・・あだ名はシルバー・シルエットか、シルエット・シルバーとどっちがいいかな?


シャドウ「シルバー・シルエットの方が好みかな。」

双星「そうですか・・あれ!?」

口に出してないのに!


シャドウ「人の心が読めるだけだよ。まあ気にせんでくれ。」

さすがに気にしちゃう!


シャドウ「まずはこちらの見解を伝えておこうかな。双星くんと敵対するつもりはないよ。」

ふーよかった。殺されそうになるとかもう嫌だし。


ヒミカ「そちらの構成員がやられだして、都合が悪くなったから懐柔・・とも思えるが。」

ダークエルフ「そうだな。本当に敵対する気がないのなら、もっと早く話ができたのでは?」

シャドウ「・・批判はもっとも。実は儂らシャドウの敵が妨害していたのだ。それで遅れたのだよ。」

双星「敵って?」

シャドウ「儂らの主と敵対する者・・恐ろしき相手じゃ。」

この世界って、もしかしたら超危険地帯なのかも。

人間より強いの多すぎ問題。

ぐい、ぐい。

記者さんが、肘で俺の脇を押してる。


記者「(もっと詳しく聞いて。不明点を残したら取材にならないでしょ!)」

いや取材じゃないけど。


シャドウ「すまんのお嬢ちゃん。儂らの敵もこっちを見ているからのう、あまり詳しく言えないんじゃ。」

記者「ひゃいっ!」

記者さんびびってる?

まぁこんな真っ黒な人が現れたら驚くかもしれないけど、そんなんで取材とかできてるのかな?


シャドウ「子供にはちと刺激的な見た目じゃからな。」

子供?

そういえば記者さんって・・いくつだっけ?聞いたことあったような。


シャドウ「15」

若い!まだ子供じゃないか!

歳考えたらすごい度胸あるなぁ・・


ヒミカ「敵対しないのは構わん。だが犯罪者を野放しにする気はない。」

シャドウ「もちろんそちらの流儀に沿わせてもらうつもりじゃ。ナイトメアのメンバーリストだ、これがあれば野放しにせず済む。」

シャドウ「だが彼らは私欲でこんなことをしているわけではない。」

シャドウ「謀略や欲望が溢れ争いに満ちた世界で、虐げられている人々を救いたくてナイトメアは生まれた。」

シャドウ「悪を倒すため自らが悪夢になると誓った者たちじゃ。キミたちと違うのは手段だけ・・」

ヒミカ「・・わかった。だがこちらのやり方でやらせてもらう。」

シャドウ「ありがとう。」

つつがなく終わりそうでよかった。

戦わないに越したことはないよね。


王女「ひとつよろしいでしょうか?シャドウの方々は人を超えた力をお持ちとか。」

シャドウ「目指す先がそれだけけわしいだけじゃよ。シャドウにも色々おる。」

王女「ならわかる範囲でよろしいのですが、先日我がC国に堕天使が出現しました。」

王女「彼女は・・邪悪な存在なのでしょうか?」

シャドウ「その質問には答えかねる。」

王女「そうですか・・すみません関係ない話をしてしまって。」

ミルカ「王女様、なぜそのようなことをお聞きに?」

王女「70年前、ミルカちゃんのお爺様はA国を売った男の裏に悪魔・・いえ、幸運を授けた何者かの存在を認識していました。」

ミルカ「はい。」

王女「ではなぜ、そのままA国売買の取引に応じたのでしょうか?革命を成功させるほどの幸運なら、C国にとっても危険すぎます。」

王女「その後A国を売った男が謎の死を遂げたのを発見したのもミルカちゃんのお爺様。しかしその後なにもしていません。」

王女「お父様は10年前悪魔の存在を知り、正体を調べたり戦う準備を進めました。ではなぜミルカちゃんのお爺様はなにもしなかったのでしょうか?」

王女「危険だと認識するには十分でしょう?」

ミルカ「それは・・」

王女「ヒミカちゃんは、もし悪魔がこの国にいるとわかったとして、なにもしませんか?」

ヒミカ「・・いや、対策を練る。」

王女「それが普通です。相手が・・邪悪な存在であれば。」

C国の王女様がなにを言いたいのかわからない。

とりあえずヒミカさんにちゃん付けするのは新鮮でよいと思います。


記者「つまり、その悪魔は邪悪じゃなかったって言いたいの?」

ダークエルフ「悪魔は力を貸すだけ。その力をどう使うかは人間次第と言いたいのか?」

ミルカ「そんなバカな!あの悪魔は父を死に追いやったんですよ!」

ヒミカ「70年前の出来事を見れば危険なのは明白だ。幸運を与え、都合が悪くなったら殺すなど自分勝手すぎる!」

王女「悪魔の件については、不明な点だけでなく、なんらかの偽りがあると考えています。」

王女「それは、誰かが故意に作り上げた偽り。だから”なにかおかしい状況”になっているのです。」

誰がそんなことを?なんのために?


シャドウ「さて、用件は済んだし儂は帰らせてもらおうかな。」

シャドウ「その話に儂は関われぬ。」

ミルカ「待ってください!知っていることがあるなら教えてください!話せない理由があるのですか!?」

シャドウ「・・人の世は人が成さねばならない。人の手で作らなければ、人はなにもできない生き物に成り下がってしまう。」

シャドウ「お主の父の言葉じゃ。儂のような化け物の言葉になんぞ耳を傾けず、信じた道を進むがいい。」

ミルカ「パパ・・」

シャドウ「ではさらばじゃ。また会おう、若人たちよ。」

おじいさんは帰っていった。


記者「記事書かなきゃ!」

記者さんは走って行ってしまった。


ヒミカ「では私も行こう。このリストに書かれた人物に会わなくてはな。」

ヒミカさんも行ってしまった。


王女「私たちも帰りましょう。」

ミルカ「はい。」

王女様とミルカさんもC国へ帰っていった。


受付「お金もらったら帰ります。」

なら一生いてください。

受付のおねーさんは渋々帰っていった。


影「オレもお前の影に戻るよ。」

ちょっと寂しいけど、影も元に戻った。

みんないなくなり、いつもの3人になる。


ダークエルフ「ようやく静かになる。」

メイド「初めてですね。こんなにも人がいたのは。」

人じゃないのも若干いたけど。


メイド「無事解決・・ですけど、悪魔さんについてはよりわからなくなりましたね。」

ダークエルフ「双星はどう思う?」

双星「そうだなぁ・・んー、C国で堕天使と戦ったのは、あれはきっと後悔してたんだと思うよ。」

ダークエルフ「後悔?」

双星「70年前、悪魔は自分のせいでA国とC国が仲違いしちゃったと思ってさ、なら共通の敵がいれば仲直りENDになる!とかで。」

双星「自分が両国共通の敵になるから、倒して仲直りしてくださいっていう優しさ。」

メイド「悪魔なのに優しさなんですか?」

双星「じゃあやっぱり悪魔じゃなかったんだよ。結構いい人だよきっと。」

ダークエルフ「・・そういう見方もあるか・・」

そう言ってダークエルフさんは目を閉じた。

瞑想タイムかな?静かにしてあげよう。


・・

・・・・


”双星、シャメアを一網打尽!”


”双星が一時重症を負うなど緊迫していました双星VSシャメアですが、無事解決したようです。”

”シャメアの構成員はすべて判明し、軍によって全員の身柄が押さえられたことがわかりました。”


”軍の発表によりますと、シャメアは100年以上昔から存在しており、この国の不正や癒着に手を染めていた悪人を始末していた。”

”手段に問題があったのは間違いないが、国のために尽くしてきたとして、罪の殆どは相殺されるとのこと。”

”今後は国と協力していき正しい運用を目指すようです。”


”当記者は、シャメアの構成員リストの入手に双星が関わっていたことを独占入手!”

”どうやらシャメアの上層部と直接交渉し、シャメアは国民の敵ではないことを確認。”

”これからは表舞台で活躍できるよう国とシャメアの橋渡し役として協力していくようだ。”

”やはり事件解決の立役者は双星だった。”

”激運はどうなっているのか?本人に直撃インタビューをしてみました。”


”「俺はなにも変わっていません。常にいつも通りを心がけています。」”


”なぜ気付かなかったのだろうか。双星はただ事件解決のために動いていただけではないか。”

”悪魔の加護?悪魔が倒され激運が無くなった?なぜそんな話になってしまったのだろうか。”

”双星はいつも国民のために働いてくれている。”

”実直なまでの役人肌なのだろう。”


”今回も双星の計画に翻弄された。だがよく考えてほしい。むしろそれが当たり前ではないか?”

”当新聞社はなにも問題はない。なぜならすべて双星の計画なのだから。”

”双星が一度ひとたび計画したら、誰も抗うことはできないのだ。”


・・

・・・・


国王「お、おい今日の新聞はどうなっている!」

?「どうもこうも、双星大勝利だっただろ。他にどう書けと?」

国王「激運は無くなったのだ!なんでもいいからでっち上げろ!」

?「双星を悪く書くと部数が落ちるんだよ!今じゃ週刊誌以下の扱いだ!激運?どこが無くなったんだ?え、おい。」

国王「なぜだ!なぜ双星ばかりこんな結果に・・」

?「双星を甘く見過ぎていたようですな。王室への風当たりも厳しくなるでしょう。」

?「無様だな。B国ですらあの力には敵わぬというのに、お前らがどうこうできるわけなかろう。」

?「やっぱり双星のこと知っているじゃん。嘘付きが。」

?「違う。知っているのは幸運の方だ。70年前も、A国では幸運の力で革命を成功させられたのだぞ。なぜお前たちがわからぬのだ。」

国王「B国の。お主はどこまで知っておるのだ?」

?「さあな。なんにせよ、今回はB国に被害がなくて良かった。あとはそっちで好きにやれ、私は帰る。」

男は帰っていった。


国王「双星は・・どう出るかな?」

?「ここまでされて怒らない者などいないでしょう。」

?「共和制に移行か・・10年・・短い王制だった。」

国王「そんな、今度こそ双星に潰される・・王制が終わってしまう・・」

?「自業自得ですな。」

?「とばっちりだけはやめろよ。」

国王「うぅ・・」


・・

・・・・


モブ「あれー、双星本当にオレたちの会話聞いてんの?」

モブ「マジでシャメアと手を組んじゃったよ。」

モブ「殺されかけたってのに、どういう神経してんだ。」

モブ「さすがに恋人とか金持ちとかは無理だったよな?」

モブ「それが・・」

モブ「うん・・」

モブ「え、なにその雰囲気。」

モブ「実はオレたち付き合うことになって・・」

モブ「彼、お金持ちだったし・・ね♪」

モブ「偶然・・だよな?」

モブ「他に説明しようがないだろ。」

モブ「まあそうなんだけどさ。双星の計画って常識で考えられないことまでやっちゃうから・・」

モブ「偶然に決まっている。それはともかく、アイドルと結婚したいです。」

モブ「あ、ずるいぞお前!ええと、女子高生女子高生!」

モブ「醜いわね・・ボーナスが増えますように。」

モブ「じゃあ給料アップ給料アップ!」

しかし願いは届かなかった。


モブ「結果はえーよ!」


・・

・・・・


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