140生霊
ヒミカ「双星の容体はどうだ?」
ダークエルフ「なにしに来た。」
ダークエルフさんは、やって来たヒミカさんと受付のおねーさんを鋭く睨みつけた。
ヒミカ「そう敵意を示すな。王の発表にはこちらも驚いているのだ。」
ダークエルフ「双星になにかあった途端にこれだ。お前らの王に信用の2文字はないのか。」
受付「無い!私も豪邸差し押さえられましたぁ。も~ひどいです!」
あら、E国の内戦を終わらせたらっていうやつだっけ。
受付のおねーさんには辛いだろうな。
ヒミカ「以前、王たちは双星を嵌めようとしただろう?またあの連中が動いているようだ。」
ダークエルフ「王と大臣、大手新聞社・・そしてB国か。」
ヒミカ「B国は今のところなにもしていないが、他は確実だ。」
ダークエルフ「二虎強食か・・」
メイド「なんですかそれ?」
ダークエルフ「強敵同士を争わせれば、片方は倒れもう片方は傷つくという謀だ。」
ダークエルフ「それでいて、自分は無傷で済む。」
メイド「怖い計ですね。」
ダークエルフ「だが残された敵は倒した敵を食らいさらに強くなっていく。場合によっては自らの首を絞めることになる危険な策だ。」
俺、食われちゃうの?おいしくないよ。
ヒミカ「あわよくば共倒れを狙ったのだろうが・・」
受付「双星さんどうなんですか?治りそうですか?」
メイド「それが・・お医者さんの話では、薬も魔法もまったく効かないって。まるで双星様の体が治療を拒んでいるみたいだと・・」
ダークエルフ「私も治癒魔法を使ってみたが、まったく効果が見られなかった。」
受付「毒のついた武器で刺されたんですよね?その毒が原因ですか?」
ダークエルフ「それがよくわからないのだ。」
ヒミカ「・・70年前も、10年前も、悪魔が現れると誰かが亡くなっている・・まさか・・」
ダークエルフ「な!?」
メイド「悪魔の・・呪い!?」
俺、幽体離脱しているんですが、これも呪いかなにかですか?
ヒミカ「既に猿の手の呪いにかかっているはずだ。二重に呪いがかかることはない・・とはいえ、悪魔の仕業という可能性はありえる。」
メイド「そういえば猿の手さん忘れていましたね。そっちが原因の可能性は・・」
ダークエルフ「ないとは言えない。」
受付「双星さん危険な状況放置しすぎです!普段から健康診断行っておいてくださいよ。もうっ。」
ごめんなさい。みんなには申し訳ないと思っているよ。
強運が無くなったら、こんなあっさり殺されちゃうんだもんな
まだ死んでないけど。
記者「・・あのー、双星の怪我ってそんなヤバいの・・?」
あれ?東西南北新聞の記者さんだ。懐かしい。
ダークエルフ「お前は・・よくあんな記事を書いておきながら顔を出せたな!」
記者「あれはデスクの命令で仕方なく出したものなんです!・・どうせまた双星の計画なんでしょう?みんなをびっくりさせるつもりですよね?」
ヒミカ「・・」
メイド「・・」
ダークエルフ「・・」
ごめんなさい。計画とかじゃないんです。というかいつも行き当たりばったりです。
・・まだギリ生きているから今は生霊でいいのかな?
どうしよう?
幽霊「おや、お仲間さん?」
双星「あ、どうも。まだですがいつ幽霊になってもおかしくない状況です。」
幽霊「大変だなまだ若いのに。やり残したことも多いだろ。」
・・あ、別にないや。
なにもやりたいことないし、お姫様助けて一発逆転目指して旅をしてたけど、もうそんな熱もない。
なにがしたいんだろうな、俺。
幽霊「死ぬやつは気楽だ。だが残された方はそうはいかない。大切な人を失って心に傷を負ってしまうやつもいる。」
幽霊「あんたはどうだ?残された人を泣かせたりしていないか?」
・・俺はみんなの方を見た。
メイド「どうして双星様がこんな目に遭うんですか?双星様がなにか悪いことをしたというんですか?」
メイド「面倒事は全部周りが持ち込んで、それでいて逆恨みばかりして、どうしてこんなことになっちゃうんですか。」
ダークエルフ「・・」
記者「双星は何にでも立ち向かって・・ほんと小さな巨人を素でやってたのに・・なんでこんな・・」
受付「双星さん・・死んじゃうのかな・・いつも一生懸命で、周りに気を遣ってばかりで・・」
ヒミカ「どうした?いつもみたいに遺産がほしいとか言わないのか?」
受付「・・そんな気分になれないです・・」
ヒミカ「・・そうだな・・」
みんな・・本当にごめん。
俺はいつの間にか、簡単に死んじゃいけなくなってたんだな・・
幽霊「ま、んなこと言っても死はコントロールできるもんじゃない。スカートの中でも覗いて楽しもうぜ。」
双星「いや覗きはちょっと・・幽霊になってまでそんなことして楽しいですか?」
幽霊「ぶっちゃけ楽しくない。やっぱ肉体がないとな・・」
幽霊「生きてるうちにもっと覗いとけばよかったと思うよ。オレは叫びたいね、みんな今のうちに覗いとけって。」
いや覗きなんて人生に不要なんですが。
双星「そういうのは彼女とか奥さんに頼んで覗かせてもらえばいいと思います。」
幽霊「無許可で覗くから楽しいんだろうが!お前ちょっと正座しろ!!!」
双星「え?あ、はい。」
まさか生霊になってまで正座するとは思わなかった。
幽霊「あのワクワク感やドキドキ感は女の子が無防備で自然な感じだからいいんだろ!」
幽霊「男の前では見せないあられもない姿であることに意味があるんだ!お前はそんな大事なことすらわからないで幽霊やってんのか!?」
いやまだ生霊ですし、幽霊になる必須条件でもないかと・・ごめんなさい。
幽霊「オレが覗いているのを女の子が知ったらどんな顔するか・・なんて考えたりするのも楽しめる。」
幽霊「それを?あ?頼んで覗かせてもらう?ちょっと神経疑うね。非常識としかいいようがない。」
俺、そこまで言われるようなことしたっけ?
幽霊「・・はぁ・・でも死ぬとどうでもよくなるんだよな・・くそっ、シャメアのせいで・・」
双星「シャメア!?え、あなたもシャメアに殺されたんですか?」
幽霊「そうだよ!オレみたいな善人が殺されるとか、世界は間違っている!」
善人?
シャメアは正義。間違いなかった。
・・あ、俺も殺されかけているんだよな・・複雑な気分。
双星「結局犯人わからないままだったなぁ。」
幽霊「犯人ならわかるぞ。」
双星「ええ!?まさかシャメアの正体を知ったから殺されたとか?」
幽霊「いや、幽霊になって初めてわかったんだよ。正体とか、手口とか。」
双星「お、教えてもらってもよろしいですか?」
幽霊「はあ?お前に?なんで?」
双星「いやー先ほどの話、すごく為になりました!さすが先輩幽霊です、俺尊敬します!」
幽霊「ん?なんだ突然。ま、当然だがな!ふはははは!」
双星「シャメアの手口も是非先輩から聞きたいです!」
幽霊「よっしゃよっしゃ教えてやろう!!」
ちょろい先輩ですごく助かります。ちょろイン最高!
幽霊「オレたちと同じだ。もう少し細かく言えばお前と同じ姿になって犯行を繰り返した。」
双星「俺と同じ・・生霊になって殺人ってことですか!?」
幽霊「ああ。幽霊になってようやくわかった・・んだが、今更知ってもどうしようもない。」
それもそうかも・・
双星「いや、これ以上被害者が出ないよう、なんとかしないといけない!」
幽霊「そう考えた幽霊連中がさくっと返り討ちにあったがな。やりたいなら好きにやれ。場所は王城だ。」
王城?しょっちゅう行ってましたけど・・
・・
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