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136【ミルカさんがA国へ来る前の話】


C国。

ミルカさんがA国へ来る少し前・・


口惜しい、口惜しい。

このまま・・死ぬわけにはいかぬ。

親友よ、息子よ、まだお前たちのところへ行くわけには・・


国王「・・ミルカを呼んでくれ。」

ワシがすべてを終わらせたかった。

だが・・寿命の方が早いようだ・・


・・

・・・・


ミルカ「お呼びでしょうか?」

国王「ベッドの中からですまぬ・・以前倒すべき敵がいると言ったのを覚えているか?」

ミルカ「魔王を倒して報告したときの話なら。」

国王「そうだ。本当はワシひとりで倒したかった・・だが・・それももはや叶わぬ。お主に全部伝えなければ・・」

国王「・・これを見てくれ。」

縦に真っ二つとなった魔剣、それと・・紙。


ミルカ「壊れた魔剣・・?」

魔剣とはどれだけ斬っても刃こぼれせず、また破壊することもできないはずだ。

だが目の前の魔剣は真っ二つに壊されていた。それも縦に。

そして紙には”60年前の悪魔が現れた”と書かれてあった。


ミルカ「これらは一体・・」

国王「10年前、このC国でなにがあったか覚えているか?」

ミルカ「・・10年前といえば・・忘れようがありません・・父が・・・・クーデターを起こしました・・」

国王「そうだ。10年前、なにがあったのか話さねばならぬな・・」


・・

・・・・


国王「お主の父は英雄の子として生まれた。」

国王「B国が魔獣とゴーレムを引き連れ、魔族と共に攻め込んできたことがあった。」

国王「C国は危機に陥ったが・・それを守り切ったのがお主の父だ。」

国王「国の危機を救ったお主の父は、親と同じ英雄となった。」

ミルカ「・・はい。」


国王「10年前・・A国が独立する少し前の頃だ・・お主の父は、英雄と呼ばれた父親と同じ地位まで昇りつめていた。」

国王「国のためワシのため国民のためによく働いた。強く、優しく、そして誰よりも気高かった。」

国王「一方ワシは愚かにも享楽に溺れていた。」

国王「B国を攻めたかったが、調べれば調べるほどあの国は異常だとわかり、攻められる状況ではなかった。」

国王「うまくいかず酒と女に逃げていたのだ。」

ミルカ「そのようなことがあったなんて、初めて聞きました。」

ミルカ「いつも積極的に仕事をなさっていましたので・・」


国王「ああ・・10年前、あの時からワシに安らぐことは許されなくなった。」

国王「10年前お主の父がクーデターを起こし、鎮圧を終えた後・・ワシはあいつの部屋へ行った。」

国王「ワシの堕落がお主の父をクーデターに誘ってしまったと、悔やんでも悔やみきれなかった・・」

国王「そこで見つけたのが・・それだ。」

王は魔剣と紙に視線を送った。


国王「魔剣はお主の祖父が英雄となったときに贈られ、亡くなった後、お主の父に渡されたもの。」

国王「あいつは魔剣を常に携帯していた・・はずだった。」

国王「だがクーデターのときは持っていなかった。そのときには既に壊れて・・いや、壊されていたのだ。」

国王「そして残されたメモ・・お主の父が出会った”60年前の悪魔”」

国王「書かれたのは10年前だ。つまり今から70年前といえば・・A国で起きた革命騒ぎ、そして突然A国を我がC国へ売りたいという申し出。」

国王「あれは確かに謎だらけだった。A国を売った男もその後すぐ亡くなったり・・すべて悪魔が関わっていたのだ。」


国王「他にもあいつの部屋からは、ワシが堕落している間に不正を行っていた者や悪さを企てていた者、この国の守りの薄い場所や修繕が必要な箇所がリストアップされていた。」

国王「ワシは気付いたのだ。あいつはクーデターを成功できる材料を持っていたが使わなかった・・」

国王「お主の父になにが起こったか、ワシは考えた。」


・・

・・・・


~C国国王による予想~


ミルカの父「今日こそは王と話をさせてください!」

大臣「王は忙しい。出直してくるように。」

ミルカの父「しかし今のままではB国から国を守れません!国内はガタガタです。早くなんとかしなければ!」

大臣「王は忙しい。出直してくるように。」

ミルカの父「・・はい・・」

あいつは連日のようにワシに会おうとしていた。

だが酒や女に逃げたワシは会おうとしなかった。


・・

・・・・


ミルカの父「この国はなにかがおかしい。何者かの悪意がC国を陥れようとしている。」

?「それは怖い。早く原因を突き止めないと。」

ミルカの父「もう原因はわかっている・・お前だ!」

キンッ!


?「・・まさか気付かれるとはな。」

ミルカの父「魔剣が効かない!?」

?「愚かな人間よ、その程度の力で我に敵うと思ったか?」

パキィィンッッ!

?が触れると、音を立てて魔剣が真っ二つになった。


?「さて、我を見つけた褒美をやらないとな。そうだ、このC国を滅ぼしてやろうか?」

ミルカの父「く・・」

?「60年前からなにも変わらぬな。あやつも愚かだった。」

ミルカの父「60年前・・?」

?「A国で王になりたいというから革命を成功させる力を与えたのに、我に逆らった。」

ミルカの父「60年前・・A国・・革命・・まさか!」

A国で革命を成功させ、そのA国をC国に売り、その後すぐ謎の死を遂げた男がいた。


ミルカの父「あれはお前の仕業なのか!?」

?「あの男が望んだから力を貸してやっただけだ。だが代償をケチるくだらない男だった。死んで当然だ。」

?「おおそうだ。お前をC国の王にしてやろう。さあクーデターを起こせ。我が手伝ってやろう。」

ミルカの父「断る!C国をお前の好きにはさせない!」

?「お前も我に逆らうか・・ならば見せしめにお前の大事なものを殺してやろう。」

?「そうだ、お前の娘がいい!」

ミルカの父「なっ・・やめろ、やめてくれ・・」

?「我の良き奴隷となれ。クーデターをおこし、この国を手中に収めるのだ。」

ミルカの父「・・・・わ、わかった・・・・」

~予想ここまで~


・・

・・・・


国王「だがお主の父はこの国の弱点を突かなかった。初めからクーデターを成功させるつもりはなかったのだ!」

国王「みんなを守るため、あいつは自分が犠牲になることを選んだ・・」

国王「そのことに気付いたワシは自分の愚かさを呪った。そしてお主の父を殺した悪魔を滅ぼすと誓ったのだ!!」

ミルカ「そんな・・10年前にそんなことがあったなんて・・」


国王「だが誰が悪魔なのかワシにはわからぬ・・あいつがどうやって気付いたのかもわからなかった。」

国王「悪魔は恐ろしい相手だ。慎重に慎重を重ね、悪魔の正体を調べ滅ぼす計画を立ててきた。」

国王「70年前、A国に現れた悪魔が与えた力・・それは絶対的な幸運だとわかった。なにをしても絶対に成功する力・・革命すらも・・」

国王「そして今、幸運を与えられた者がA国にいる。」

ミルカ「・・双星!」

国王「間違いない、悪魔はA国に・・双星の近くにいる。」

国王「お主の父が気付いたのだから、人の世界に溶け込んでいると予想を立てた。そして幸運を与えた者を近くで見ているのだ。」

ミルカ「王が双星を気にしていたのはそのため・・」

国王「悪魔が自分でやればなんでもできるだろう。だがそれをしないで見守っているとなると、悪魔の条件が見えてくる。」

国王「悪魔は・・双星の近くにいて、なおかつ自分ではなにもしない者だ。」

国王「この王城には悪魔と戦う罠を仕掛けてある・・あとは悪魔を特定して連れてくるだけ・・だが・・」

国王「・・もうワシは長くない。このままでは、先に寿命が来る・・来てしまう。」

国王「ミルカよ・・A国へ行き、悪魔を捜して連れて来てくれ・・お主の父、そしてお主の祖父がいなければ今日こんにちのC国はなかった・・ワシは・・なにもしてやれなかった・・」

国王「せめて、せめてこの手で悪魔を滅ぼさなければ死んでも死に切れんのだ・・頼む・・」

ミルカ「・・わかりました。必ず悪魔を連れてきます。王のため、そして父のために。」


・・

・・・・


王女「ミルカさん。お父様の具合いは・・」

ミルカ「かなり弱気でした。ですがそれ以上に驚く話をしてくださいました。」

ミルカさんは、王との話を王女にした。


王女「・・そんな・・お父様はずっと悩まれていたのですね。」

ミルカ「私はこれからA国へ行って悪魔を捜してきます。」

王女「待ちなさい!もしそれが本当なら、悪魔を見つければ災いが降りかかります。」

王女「お父様は体調を崩したせいで冷静な判断ができないのかもしれません。」

ミルカ「・・そうかもしれません。ですが、他にできることもないでしょう。」

王女「あります!70年前A国の売買交渉をしたのは・・あなたのお爺様です。」

ミルカ「え・・」

王女「悪魔の加護を得た者に、ミルカさんのお爺様は会っているのです。もしかしたら、悪魔についてなにか知っていたのかも。」

王女「ミルカさんのお父様は、そこから手がかりを見つけたのではないでしょうか。」

ミルカ「お爺様が・・」

王女「ご実家の、ミルカさんのお爺様の遺品を調べれば新たな手掛かりが見つかるかもしれません。」

王女「悪魔と戦うのはそれからでも良いではありませんか。悪魔相手では、どれだけ準備しても足りることはないでしょう。」

ミルカ「しかし王はもう長くは・・」

王女「それも天命です。後のことは残された私たちが担う役目でしょう。焦ってはいけません、私たちの背後にはC国民がいるのですよ。」

王女「準備不足のまま悪魔の怒りを買い、C国になにかあったらどうするつもりですか?」

ミルカ「・・」

ミルカ「・・申し訳ございません、私は王の気持ちを尊重したいです!」

ミルカさんは、走って行ってしまった。


王女「・・・・敵は、悪魔だけではないのに・・・・」


・・

・・・・


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