134帰国の途
C国はこれから忙しくなる。
俺たちはA国に帰国するしかなかった。
まぁ別にいいんだけどね。元々受付のおねーさんがパーティに参加するって目的で来てたから。
その受付のおねーさんが悪魔・・というか堕天使だったなんて・・
ミルカ「騙すようなマネをしてすまなかったな。いずれ詫びよう。」
ただいま帰国途中。
ミルカさんとC国の王女様が一緒だ。
ヒミカ「それなら・・70年前の話が聞きたい。お前たちC国の知っていることを聞かせてほしい。」
ミルカ「機密になることもあるから、あまり話せないが・・」
王女「では私が話しましょう。ミルカちゃんが話せないことも、私なら話せます。」
ミルカ「・・ちゃん付けはやめてください。」
王女「またみなさんに会えて嬉しいですわ~。」
ミルカ「しくしく。」
ミルカさんの天敵かな?
王女「A国の方が知らない話になりますと・・A国を売買したときの交渉についてでしょうか。」
王女「このときC国の交渉人になった人物は、ミルカちゃんのお爺様です。」
ミルカ「え!?」
王女「ミルカちゃんがA国へ行っている間、ご実家を調べさせてもらいました。お爺様は交渉したときのことを日記に書いていました。」
ミルカ「知らなかった・・祖父が・・」
双星「ミルカさんのおじいさんってどんな人だったの?」
王女「C国の英雄です。75年前、A国に攻められたときC国は滅亡の恐れさえありました。それを救った方です。」
王女「それからはお父様の良き部下であり、良き相談相手であり、良き親友であったと。」
王女「優秀な方だったと伺っています。ですが、天は寿命を与えませんでした・・病気で早くに無くなったそうです。」
双星「軍人さん?」
王女「はい。ですがお父様のためならなんでもしていたと聞いています。」
双星「交渉もそのひとつ?」
王女「・・A国との交渉人として、ミルカちゃんのお爺様がA国によって指名されたと日記には書かれていました。」
ミルカ「なぜ祖父が?A国に知り合いなど聞いたこともない。」
王女「はい。A国を売った男とも初対面です。お父様・・王に意見できる立場の人間と裏取引をするためです。」
裏取引?なんかきな臭い話になってきた。
王女「A国を売った後、A国民をC国民と同じように扱ってほしいと、条件を出されたそうです。」
ヒミカ「なぜだ?」
王女「理由は書いていませんでした。ミルカちゃんのお爺様はそれを受け入れ、A国の売買は成立したそうです。」
王女「推測するしかありませんが、A国民の将来を心配したとか・・だとおかしいですよね。」
ヒミカ「そもそも国を売るなと言いたい!」
ですよねー。
ミルカ「他にはなにか書かれていないのですか?」
王女「悪魔を匂わせる発言があります。A国の男は、”自分の幸運は誰かから与えられたもの”と言っていたそうです。」
ヒミカ「誰かということは、悪魔の仕業だとわかっていなかったのか?」
王女「”恐らくその誰かは、私の身近な人物だろう”とありますので、推測の範囲だと思われます。」
王女「怪しいことは色々あったそうです。ラッキー協会を名乗る者が来たりとか。」
ヒミカ「ラッキー協会!?その話を詳しく頼む!」
ラッキー協会・・こんなところでその名前を聞くとは思わなかった。
王女「男の話では、”幸運を授ける組織と紹介されたが話が矛盾していて信用できない。信用させるつもりがないのが怪しい”だそうです。」
双星「どういう意味?後半ちょっとわからないです・・」
王女「”詐欺師ではなかった。地位や金、役職を望んでいるわけではない。私を利用する気もなさそう。目的がはっきりしない”」
王女「つまり、なにか目的があって近づいてきたわけでない。でもそれは人としておかしい。」
双星「ごめんなさい、よりわからないです・・」
ヒミカ「双星は、お腹が空いたらどうする?」
双星「食事をとります。」
ヒミカ「それが普通だ。では、お腹が空いても食事をしない人がいたらどう思う?」
双星「なにかあるのかなって思います。」
ヒミカ「ラッキー協会も同じだ。交渉しに来たのなら、信用させようとするのが普通だ。だが信用を得ようとしなかった。」
ヒミカ「だからミルカ殿の祖父殿も、”なにかある”と思ったのだ。」
なるほど。
王女「ラッキー協会についてはあまり記述がありませんね。」
ヒミカ「そうか・・」
王女「あとは・・このA国の男はその後すぐ不審死しましたが、それを発見したのもミルカさんのお爺様です。」
王女「ただし、そのことは日記には書いていません。C国の公式記録にあります。」
ヒミカ「なぜ書いてないのだ?」
王女「わかりません。書かなかったのか、書けなかったのか、それともなにか理由があったのか・・」
わからないことだらけだ。
ヒミカ「ありがとう。少し霧が晴れた気がした。」
ミルカ「今回は突然のことですまなかった。だが、悪魔に知られるわけにはいかなかったのだ。」
ヒミカ「わかっている。それに謝るなら・・双星へだろうな。」
双星「俺へ?」
ヒミカ「幸運を授けていた悪魔がいなくなったなら、幸運はなくなると考えるべきだろう?」
・・ああ!
双星「じゃあ不自然すぎる強運はなくなった・・?」
ヒミカ「そういうことだ。」
・・ま、まぁ仕方ないよね。
元々・・俺のものじゃなかったんだ。無くて当然なんだ。
ヒミカ「それにその方がいい。幸運などという力は、良くも悪くも周りの人をおかしくさせる。」
ヒミカ「王がラッキー協会の男を信用してしまったように、怪しい輩も暗躍する。」
ヒミカ「人は、人の力のみで生きるくらいがちょうどよいのだ。」
ダークエルフ「魔剣は?お前の持っているのは強力過ぎる。恐らく製作者は人間じゃない。」
ヒミカ「魔剣は私の物。」
おや、ダブルスタンダードかな?
馬車馬「ヒミカ様はコレクター魂出すと他が見えなくなるから。」
そういや魔剣手に入れたときも異じょ・・ちょっと変わってたっけ。
・・ん?
・・
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