118革命団
先輩のアジト。
あんま綺麗じゃない・・俺は別に構わないけど・・女の子は大丈夫かな?
双星「学生時代の先輩なんです。えっと・・特徴のない人です。」
ダークエルフ「意外とまとも。名ばかりの犯罪集団かと思ったけど違うのね。」
メイド「掃除していいですか?」
双星「・・まぁ泊まらせてもらう部屋くらいならいいかと。」
掃除とはいえ、部屋をいじられるのはいい気はしないだろう。ほどほどにね。
こんこん。
先輩「オレだ。」
ドア「先輩だよ。」
壁「先輩が来ました。ドアを開けましょう。」
天井「訪問者は先輩です。ドアについているノブを回しましょう。右回しでも左回しでも大丈夫です。」
過剰チュートリアルはいらない。
がちゃ。
先輩「少しいいか?」
アジト「メイドさんに掃除してもらえて幸せです!」
もしかして一般的には幻聴なのかなこれ?
双星「先輩、泊めてくれてありがとうございます。」
先輩「いいさそれくらい。それより・・A国って、どんなところだ?」
双星「うーん・・E国より平和。」
先輩「今のE国より平和じゃない国の方が少ねえよ!」
ですよねー。
掛布団「あはははは」
敷布団「あはははは」
枕「あはははは」
合いの手とかいらない。
先輩「もうさ、オレが生まれたときにはとっくにこの国は王制なんてもん捨てちまってる。」
先輩「でも・・どうなんだ?王制ってそんなにいいものなのか?」
双星「・・いいものだから王制やってると思ったんですが・・どうなの?」
インスペクターさんやダークエルフさんの方を見る。
インスペクター「王制というより、世襲制が続くと、国を傾ける支配者が現れるのがリスクですね。」
インスペクター「親が優秀なら子供も優秀・・とは限りません。無能な王が国を混乱させ滅ぼす。」
インスペクター「常にそのリスクを孕んでいると思っていますよ。」
そ、そうなの?
ダークエルフ「王制が良いか悪いかより、王が暴走したとき対策できないのが問題だ。」
ダークエルフ「問題がわかっていてもどうすることもできない制度が良いわけない。」
こっちも手厳しい。
双星「あれ?じゃあ民主主義が正解なの?」
インスペクター「そんなことは言ってない。現に民主主義のこの国は内乱状態だ。」
双星「じゃあ・・どっちも間違い?」
ダークエルフ「制度が成熟していないだけ。王制も、民主主義も問題があれば改善していけば良いものになる。」
ダークエルフ「だが改善しない。無能な王だとわかっても国が滅ぶか・・それこそ革命して国中を疲弊させないと王位を変えられない。」
ダークエルフ「民主主義でも問題があったのに変えられなかったから、革命にまで至ったのでしょ?」
先輩「ああ・・聞いてくれ。」
俺は・・この難しい話についていけず、心を閉ざした。
先輩「オレが最初におかしいと思ったのは、医療ミスをいくらしても医者を続けているやつがいることを知ったときだ。」
ダークエルフ「医者のギルドがあるのだろう。そこで権力があると全部内々に済まされる。」
先輩「知っているのか!?」
ダークエルフ「A国も同じだった・・ほんの数年前までな。」
先輩「ど、どうやって変えたんだ!?」
ダークエルフ「政治力だ。その代償として、診察拒否されるようになった。」
先輩「・・」
双星「A国って・・そんな国だったの・・?(困惑)」
ダークエルフ「双星は経験済みだろう?」
え?いやまだ未経験・・
ダークエルフ「私の前の主・・ブラスト様が病院でどの様な扱いを受けていたか。」
ブラストさん?えっと・・あ!
双星「あの太ったおばさん!」
武闘大会予選の後で倒れていたから病院に連れてったけど、断られまくった・・
え・・あれってそんな裏話があったの・・?
単に嫌われていたとかそういう話だけじゃなかったんだ・・
ダークエルフ「A国がC国から独立した頃はひどいものだった。ブラスト様がいなければ、武闘大会も開けたか怪しかった。」
先輩「この国にもそんな人がいれば・・」
ダークエルフ「その考えが間違いなのだ。優秀な者がいようがいなかろうが、問題が改善できるようでなくてはいつかまた同じことが起こる。」
先輩「・・そうだな・・」
暗い話は苦手だ。再び俺は心を閉ざした。
無の世界へGO
先輩「なら・・もしかしてA国でも、問題を何度起こしても教師を続けていたりとか・・」
ダークエルフ「暴言、体罰、性暴行、窃盗、命令無視あたりを繰り返し起こす教師とかいたな。あれは骨が折れる。」
ダークエルフ「教育の場に政治を入れるなとうるさいのが大勢いたりしてな、しまいには生徒まで反対運動に参加させていた。どっちが教育の場に政治を入れているのやら。」
先輩「それで・・どうなった?」
ダークエルフ「モグラたたきでなおかつイタチごっこだ。今でも目を離すとすぐ腐敗する。」
先輩「・・」
俺は無の世界にいる。
ああでも話が気になるぅぅぅ。
先輩「司法はどうだ?E国では証拠を無視した判決をする裁判官が地裁に巨万といる!」
ダークエルフ「A国ではそれに加えて、被害者に不利な判決をしたがるのがいるな。」
先輩「なぜそんな?」
ダークエルフ「加害者は罪を犯すようなやつだから、罪を重くすると逆恨みされるんだと。」
ダークエルフ「罪を軽くすれば被害者は控訴するから、恨まれる役を高裁に押し付けられるそうだ。」
先輩「なんてことだ・・」
ダークエルフ「貧乏な被害者は控訴もできず泣き寝入りとなる。」
先輩「うわあああああああ、この国だけじゃないのか!なぜ、なぜ・・」
俺の・・知らない世界だ・・
ダークエルフさん、A国のために色々してたんだな・・
ダークエルフ「人間が邪悪だからだ。連中は私欲のために政治の介入を拒む。だが介入しなければ腐敗し、悲しみと憎しみが待っている。」
先輩「いいや違う!多くの人間は正しく生きたいんだ!一部の邪悪なやつがそれを邪魔する!」
ダークエルフ「違わない。多くの人間は見てみぬふりをしている。それも邪悪だ。ならば人の大半が邪悪なのだ。」
先輩「みんな確証が持てないだけだ!真実を知ればなにかしたいと思ってくれる。新聞が正しいことを伝えないんだ!」
先輩「苦情を恐れ大きな問題ほど取り上げない。自分たちに都合の悪いことは報道しない。自分たちを規制できる政治の信頼を落とす報道ばかり繰り返す!」
先輩「これからこの国は変わる!いや、変えてみせる!!!」
ダークエルフ「そう。期待しないで待ってるわ。今まで何度繰り返して来たのかしらね。変えては腐敗し変えては腐敗し・・」
インスペクター「ダークエルフ殿、言い過ぎです。彼はこの国を想い良くしようとしている。その気持ちを踏みにじる権利は誰にもない。」
ダークエルフ「・・ごめんなさい。今までたくさんいた”口だけ立派な人”と同じように見てしまったわ。」
先輩「いや、いい・・オレも熱くなってしまった。口だけとならぬよう成果を出してみせる。」
先輩「双星。」
双星「はい?」
先輩「お前が少しうらやましいよ。」
なんで?
・・あ、女の子に囲まれているからかな。
・・
・・・・
先輩はお礼を言って部屋から出て行った。
メイドさんは掃除に夢中だ!
双星「先輩変わったな・・昔はもっとちゃらんぽらんした感じな人だった。」
ダークエルフ「時が経てば人は変わる。いや、変わらずにはいられないもの・・」
俺も・・変わったりするのかな。もしくは、もう変わっているのか・・
双星「革命、成功しそう?」
インスペクター「少なくとも双星殿の先輩は無理だろう。50人くらいの規模しかない。」
双星「それって、革命というよりテロ・・」
ダークエルフ「革命組織はいくつかあるんじゃない?ここは主流じゃないってだけで。」
インスペクター「ああ。大きいところは数万の戦闘員がいて、複数の都市を占領している。」
そっちと合流とかじゃダメなのかな?
バアン!いきなりドアが開いた。
先輩「聞いてくれ!いい案が浮かんだんだ。」
先輩・・夜なんだし、もうちょい静かにしましょうよ。
先輩「今までは政治家が幅広くなんでもやっていただろう?それに加えて超越的な権力を持った者を選挙で選ぶんだ!」
先輩「例えばメディアを監視する国民の代表を選挙で選ぶ。組織内部の情報を請求する権利や記事の公平性を問えるような存在だ!」
先輩「政治家や警察は証拠がなければ動けない。だがこいつは疑いがあれば動けるんだ。」
先輩「教育に問題があったとして、それをなぜ報道しないのか問いたり、回答結果を国民に報道させたりできる!」
先輩「もし問題のある組織だと判断したら組織の解体も命じられる。そんな存在を国民が選挙で決めるんだ。」
先輩「司法や教育、新聞が権力を持っているというなら、すべての権力に国民がメスを入れられるようにする。すべての権力は国民に帰結する!」
先輩「名前も付けた!国民主権ならぬ、国民集権だ!!!」
先輩「どうだ?」
長くて・・よくわかんないです。
ダークエルフ「その超越的な権力を持った者が不正を始めたらどうやって正すの?」
先輩「け、警察?」
インスペクター「組織の解散権までもたせたなら、なにが不正かわからないんじゃないか?」
インスペクター「特定の組織と組んで他の組織を解散させた場合、不正かはどうやって判断する?」
先輩「そ、その特定の組織と組んだ証拠を手に入れてだな・・」
インスペクター「それができなかったから、今のこの国の現状なんじゃないか?」
先輩「・・悪い、無駄な時間を使わせたな・・」
先輩フルボッコだ。
ダークエルフ「いきなり完璧な案が生まれるとは限らない。問題を改善した完璧な机上の空論にすればいい。」
先輩「ははは、机上の空論なのか・・」
ダークエルフ「実行前は常に机上の空論。やってみなければわからないこともある。それだけよ。」
インスペクター「そうそう。不正を正す案を、悪人が黙って見ていると思うか?完璧な机上の空論でも物足りない、それが政治だ。」
先輩「・・この程度でがっくりしてちゃいけなかったんだな・・がんばらなきゃな。」
ダークエルフ「がんばれ。その想いが一歩ずつ確実に革命を前に進ませる。」
先輩「ブラッシュアップさせてくる。待ってろ。」
双星「あ、もう遅いし、たぶん寝てる。」
長旅で疲れてます。
先輩「じゃあ明日だ。明日は新たな歴史の幕が開くぞ!ははははは!」
先輩は部屋を出て行った。
ダークエルフ「あまり良い状況ではなさそうだな。」
双星「え?」
インスペクター「ああ。改革案をいきなりここへ持ってくるあたり、仲間はそこまで革命に乗り気じゃないのかもな。」
ダークエルフ「もしくは無能なのか・・」
ふたりの有能っぷりが怖くなってきた。
なんでそこまでわかるの?
メイド「みなさんの足元を除き、お掃除完了です♪」
おや・・いつの間にか部屋が別世界になっていた。
インスペクター「なんと!あの部屋がここまでとは・・うちのメイドになる気はないか?」
メイド「ごめんなさい、仕える主を見つけちゃったんです。」
俺さ、他のメイドがどんなものかわからないけど、インスペクターさんが勧誘するってことはメイドさんは有能だってことだよね?
なんで俺の周りの人は優秀揃いなの?幸運?偶然?それとも誰かの意図?
ヒミカさんは剣術に優れ軍の指揮もできる有能さん。
受付のおねーさんは受付嬢として評判だって王様の耳に入るほど。綺麗だし声もよく通るし納得。
ダークエルフさんは精霊魔法使えるんだっけ。魔法アイテムにして他の人が使えるようにもできる。博識で相談にも乗ってくれる。巨乳!
メイドさんは料理おいしいし掃除も完璧。そしてかわいい!
インスペクターさんは頭よくて魔王戦のメンバーに選ばれる実力もある。
土門将軍はA国で一番強いんだっけ。軍の偉い人だしヒミカさんからもその評判は聞いてる。
ミルカさんは強いし他国、それも敵国でも活躍できる度胸もある。
俺、運がいい(笑)
壁「運がいい。」
天井「運がいい。」
床「運がいい。」
わかっているから何度も言わないで!
・・
・・・・




