表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

少年と少女

少し過去に戻ります。


誤字脱字や謝った表現などがあった場合、ご指摘してくださると助かります。

少し過去の話をしよう。


これはアスカがエクストランサーとして目覚めてすぐの話である。


「…ん…ここは…?」


アスカが目を醒まし、身体を起こすと、横には1人の少女が立っていた。茶髪のロングヘアーで、顔も整っていて、美人だ。が、アスカが別に思うことが一つ。


「…アイ…リス?」


不意にそう思ってしまった。すると少女は首を傾げて、


「…?いいえ、私はアリス・フォトリウムと申します。」


否定された。そうだ彼女はアイリスではない。


アイリスは…もう…。


「アスカ…様?」


「…いや…なんでもない。…それと、アスカでいい…。」


「左様でございますか。…あ、じゃなくて、わかったわ、じゃアスカ。」


敬語からタメ口に急に変えるとこんなに違和感があるのか。いやそうじゃない。


「…なんだ?」


「えーっと。初めてまして、だよね。さっきも言ったけど、私はアリス・フォトリウム。よろしくね?」


と輝かしい笑顔で、そう言った。


「…アスカ・マグナだ。よろしく頼む。」


「存じ上げてるわ。」


と、何故かドヤ顔で言われた。


まあ、そうか、最初にアスカ様と言われたな。うん。


ん?ひとつおかしい。アスカ…様?


いや、まさかな、歳も近そうだし。


アスカは確認の為に訪ねた。


「…さっき、俺の事を様と言ったか?」


するとアリスは首を傾げて、


「…?だってあなた、私より階級が上でしょ?」


…あぁ、俺の方が階級が上なのか、なら納得がいく。


確か俺は少尉くらいだったか?念の為確認を、


「…ちなみに俺の階級はどれくらいだ?」


またアリスは首を傾げて、


「あなた、おかしな事ばかり言うわね。あなたは中佐・・でしょ?」


あー、はいはい中佐ね…。中佐?嘘だろ…。


「…中佐?…俺が?」


「そうよ。」


うん…わかった。百歩譲って俺が中佐だとしよう…。こうなった原因はあいつだ。


「…アレン。説明しろ。あと、アリス、席を外してくれるか?」


いきなり呼び捨てだったからか、少し驚いた顔で頷いて、部屋から出て言った。少し、アリスが嬉しそうだったが、もちろんアスカは気付いていない。


そして、目の前にあったモニターにあいつの顔が映し出され、あいつの声が聞こえた。


『おーう、アスカぁ、目ぇ醒ましたか。元気か?不機嫌そうだが。』


「…当たり前だ馬鹿。なんで俺が中佐なんだ?おかしいだろ、俺は少尉だったはずだろ。なんだこの大出世は。それと、あの女はなんだ?」


『んー?ああ、アリス・フォトリウムだぞ?』


「…そこじゃない。」


『まあいいや、おめでとうアスカ。君はエクストランスに適合した。』


流された。まあ、いいだろういつもの事だ。はて、えくすとらんす?


「…えくすとららんすってなんだ?」


『ん?言わなかったか?まあ、20年も眠ってたんだ。記憶に多少の不備があってもおかしくない。』


…ああ、20年も眠ってたのか…じゃあ仕方ないな。…おい。20年?


「…20年も眠ってたのか?俺は。じゃなんで老化してない?」


『コールドスリープ。人体を冷凍保存する機械だ。だから歳もとってない。お前は今、コールドスリープから目醒めたんだよ。』


…なるほど。そんな機械があったことに驚きを隠せないんだが、それなら合点がいく。


『エクストランスは…トランスの強化版みたいなものだ。それより、アリス・フォトリウムと仲良くしてやってくれよ。アリスはお前の専属秘書だ。』


ああ、思いだした。確かそんなやつだと話された記憶がある。


……専属…か。と、心の中でそう思うアスカだった。


アスカに席を外せも言われたアリスはコールドスリープ室の外でアスカを待っていた。


「…あれがアスカ・マグナかぁ…結構いい男じゃん!」


バッチリ一目惚れである。


そんな事を呟いていると、アスカが部屋から出てきた。


「お疲れ様、アスカ。今からあなたを中佐室に案内するわね。」


「…ああ。」


と頷ぎ、2人は中佐室までの長い廊下を歩きだした。


道中の会話はほとんどなかった。アリスに「何話してたの?」と聞かれ、「大した話じゃない。」と答えたくらいだ。


「ここよ。」


とアリスが指した部屋のドアには中佐室と書かれていた。


入って見ると中は綺麗に掃除されていた。


「ここの中にあるものは基本的に好きに使っていいから。あと、困った事があったら私に聞いてね、それと私も出入りするって事も忘れないでね?」


「…ああ、わかった。」


とアスカは一言。


すると、アリスは少し俯いて、


「今度、アスカの事を話して欲しいな、アスカの事をもっと知りたいし。もしアスカが私の事を知りたいって言うなら、私の事も話すよ。」


と少し、恥ずかしそうに言った。


「…ああ、わかった、よろしく、アリス。」


「うん!」


と、笑顔で返事をした。


「じゃあね!アスカ!」


と言って部屋から出ていった。


アリスを見ていると、アイリスの事を思い出してしまう。


今は…冬なのか…。


地下都市の中は地上の気候を再現している。中佐室には暖房がきいていて、とても暖かかった。


だが、アスカの心に空いた穴には冷たい、すき間風が入り込んでいた。


それに対して、アリスの輝かしい笑顔はとても暖かかった。

次回こそ!都市外調査です!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ