変身道具にご注意を。
魔法少女になったはずが、ヤンキー少女になっちゃった?
しゃりしゃりと、梨を齧る。
魔法少女は世界を救う気が無かった。
「ねえねえ、藍。
いつになったら世界を救いに行くんだよ。」
「はっ!
うぜえな不思議生命体。
なんであたいが?
んなたりぃ事しなきゃいけねえんだよ!」
ミニスカートの愛らしい魔法少女っぽい姿の下に、まさかのスエット。
魔法の杖の代わりに、バールのような何かを担ぐ。
どう見ても、ヤンキースタイルのケバい化粧の女の子は、見た目通りにガラが悪かった。
ウサギのような猫の様な、ぬいぐるみ的な不思議生命体ローズを、蹴飛ばしたり。
グリグリ踏んで居る。
さながら、パラリラパラリラとBGMが流れそうで有る。
しかし、1時間程して魔法が切れる。
「あれ?私なんでこんなところにいるのかしら?帰ろーっと!」
赤城藍は、変身解けたら美少女中学生になった!
「あああ、変身解けると僕との記憶なくなっちゃうのに。
はぁ、又しくじった。
なんで僕が見つけた魔法少女は、変な子にばかりなっちゃうんだろう?
素の方が美少女ばっかだよ。」
赤城藍はヤンキースタイル。
本来は天真爛漫美少女。
市井佳菜は悪役令嬢スタイル。
本来は引っ込み思案で気弱美少女。
内原沙智は腐女子スタイル。
本来はツンデレスポーツ美少女。
英宮里穂は百合スタイル。
本来は本が好きな大人しい美少女。
岡野健は男の娘スタイル。
本来はイケメン枠。
…あれ?
一人女の子じゃなかったよ。
何がいけなかったのかな?
みんなにあげた変身道具が、何かに汚染されてるのか。
正義の魔法少女と言うより。
悪役見たくなってるんだけど。
地面に転がって悩むローズを、少し離れた所で見ている色の黒い不思議生命体が居た。
「ふふふ、変身道具がすり替えられたとも知らずに、ローズったら馬鹿な子。」
悪の魔王ナリキンの手下、ドロンは。
ニヤリと嗤う。
「へえー、これが本物?」
ひょいっとアイテムを誰かがまとめて拾い上げる。」
「そうです、それが無ければ奴らは役立た…え?」
ギギギと振り返る。
そこには、藍を除く三人の美少女と一人のイケメンが居た。
「可笑しいと思ったんだ。
藍さんは記憶にまだ無いみたいだけれど、私ら変身記憶残ってたの。
あんたのせいね!」
「な、な、なんで…ってぎゃぁぁぁぁ!」
自分用と同じ腕輪を付けて変身すると、あっさりドロンは敗れた。
「よわっ!」
「あ、魔力を感じたと思ったら君らでしたか。
…あれ?
普通に愛らしい魔法少女になったます?」
ふよふよ浮かんで此方に来ると、不思議そうに皆を見上げた。
「馬鹿ローズ、変身道具がすり替えられてたの何で気付かないかなあ、ダメだよ?」
イケメンの健が、王子様みたいな爽やかスマイルをうかべた。
「ええええ?」
「あら、気付かれませんでしたか?
駄目ですわねぇ。」
里穂がクスクス笑っている。
「い、いや何か変だとは思っていたけど。
まさかのすり替えとか思い付かなくて。
うん、みんなゴメンね。」
しょんぼりとしたローズに、みんな苦笑した。
「ほら、それよりも。
これ、すり替えられた魔法道具。
私達は本物に付け替えたけれど、藍さんまだでしょ?
はやく渡してあげて?」
渡された魔法道具を嬉しそうに受け取って、すり替えられた偽物を破壊するローズ。
それから少しして、普通の魔法少女が街に現れ街の平和が守られた。
「うふふ、ちょっと癖になっちゃって。」
何故か、イケメン君は男の娘としてリアル覚醒してしまったのだが。
別の話。
気晴らしで書いたので、何も考えてないです。