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悪魔の問題、解決します!  作者: ぶたたけ
没 執筆速度の関係で下記の3章分を没にします。続きを期待されていた方は申し訳ありません。
8/16

没 異世界問題、解決します! 旅立ち編

ダンダリオンの怪しい機械“ナイトメア01”を付けられて飛ばされたのはゲームの世界!さあ夢のハーレムの始まりだ!と思うもそこに居るのは相棒アンドロマリウス。

何?君が僕のペットで冒険に付いて行くだって!たまったもんじゃない!僕は絶対断るぞ‼

 僕の目の前にはアンドロマリウスがいた。

 しかし、普段の姿とは異なり頭には角、背中からはコウモリの羽が生えている。

 服装も上半身は裸で蛇が首に巻きつくだけ、下半身は長く垂れた腰布とコスプレみたいな格好をしていた。


「なんでお前ここに居るの?」

「ダンダリオンに呼ばれたのだ。ハザマとパーティーなるものを組んで欲しいと頼まれた」

「何だと!?」



 僕は絶望した。

 アンドロマリウスがパーティに居る、それはすなわち僕のハーレムパーティ計画の崩壊を意味する。

 見た目俺様系の目付きの鋭いイケメンと当たり障りのない僕と、どちらがいいかと聞かれれば女の子がどちらを選ぶか。

 答えは明白だ。 


 あの糞爺、余計なことをしやがって……


 僕が脳内で悪態を付いていると、アンドロマリウスが心配そうに僕の顔を覗き込んでくる。


「不安か?安心しろ。ゲームのシステムについてはダンダリオンから講義を受けた。これからの旅路で力になれるだろう」


 感情が外に出ていたのを悩んでいると勘違いしたらしい。

 僕が悩んでるのはそういうことじゃなくって、お前の存在なんだよ。


「いや、別に悩んでた訳じゃないんだけど……」


 そう言いつつ僕の頭にふと、ある考えがよぎった。


 別々に行動するように仕向ければいいのではないか、と。

 僕に付いて回るよりも、君も楽しめる方が僕は嬉しい、だから別々に冒険を楽しもう!

 ……なんていかにも君を思って提案した風に装えば、角は立たず怪しまれない。

 顔だけイケメン正義馬鹿と別れてウハウハのハーレム生活!


 僕は脳内で計画を、否!これからやってくるハーレムの旅を一巡するまでシュミュレーションした。

 よし大丈夫だ、いける!

 僕は計画を実行に移す。


「アンドロマリウス、君が僕のサポート役に呈していると、君がゲーム世界を楽しめない。僕の心配事は君がゲームの世界を満喫できないことなんだ。僕はゲームよくしているから一人でも大丈夫。だから別々に行動しよう!」


 うん、完璧だ! 

 こう言われれば、断ることは出来まい。


 友と別れるのは惜しいが、致し方ない。

 それも互いの為だ。

 さようならアンドロマリウス、そしていざ往かん我が覇道ハーレムよ!!!


「提案は嬉しいが、それは出来ない、なぜならば……」


 バタンと扉を開ける音が言葉を遮った。

 開かれた戸口には気品漂うご婦人が立っていた。

 顔はにこやかで嬉しいことがあったという顔をしている。


「マリー、あなたもここにいたのね。丁度良かったわ、国王陛下が貴方をお呼びになっていらっしゃるの。二人共支度をしなさい。」


 誰ですかあなたは!?

 と思ったものの突然過ぎて声が出ない。

 呆然としている僕を余所にご婦人は喋り続ける。


「我が家から勇者が生まれるなんて、なんて喜ばしいのでしょう!母はあなたを送る準備をします。支度が終わったら玄関までいらっしゃい」


 要件を言い切ってしまうとご婦人はサッサと扉を閉めて行ってしまった。


 なんだったんだ一体!?あの人自分を母って言ってたけど……


「先ほどの奥方は君の母親だ、ゲームの設定上のな。ゲームの上では君は貴族の三男坊であり、そしてこの度国王陛下により『勇者』の命を授かる。私は君に飼われているペットの魔物だ」

「じゃあマリーっていうのは」

「私の事だな。気兼ねなく呼んでくれ」

「ではマリーちゃんで」

「ちゃん付は嫌いだ」


 アンドロマリウスが顔をしかめる。

 マリーはいいのにマリーちゃんは駄目なのか、嫌いの境界線がわからない。

 そんなことを考えていると、アンドマリウスがわざとらしくコホンと咳払いをする。



「話を戻す。先ほども話した通り、私は君のペットという設定だ。このゲームでは勇者がお供のペットと共に仲間を集めて魔王を倒すことになっている」

「じゃあ僕はお前と一緒に旅をしないといけないということ?」

「その通りだ」

「なんだよ!結局ハーレムパーティ出来ないじゃん!!」


 女の子に囲まれるのを楽しみにしていたのに……これではゲームの世界に来た意味がない!


「帰るぞ!」

「どうした?ハザマ、急に……」

「女の子に囲まれない異世界ものなんて要らないんだよ‼ゲームなんか辞めて帰る‼」

「私には君の言っていることが全く分からないのだが」

「モテるイケメンには分からないだろうよ!早く帰り方教えろよ‼」

「分かった、教えよう。現実の世界に帰りたいのならゲームをクリアすればいい」


 は⁉今何言った⁉

 僕は耳を疑った、今帰るならゲームクリアすればいいと言わなかったか?


「確認してもいい?今帰るにはゲームクリアをすればいいっていったよな?」

「そうだ」

「元の世界に帰るにはゲームクリアをするしかないのか?」

「そうだ」


 アンドロマリウスは相も変わらず、真面目に頷ずく。


「明日仕事だぞ」

「そうだな」

「このゲームの1時間は現実世界の何時間になる?」

「5時間だ」

「出社するまでの時間を考慮して、クリアまでの制限時間は?」

「約3日だな」

「ヤバくないか?」

「そうだな」


 僕とアンドロマリウスは互いにお互いの顔を見る。




「急いで支度するぞ!」

「了解した!」


 僕らは急いで服を着替え、手ぐしで髪を整えた。

 芸能人隠し芸大会で早着替えをする芸人にも引けを取らない速さだったと僕は思っている。

 衣服も乱れたままで、部屋を出て玄関へ向かう。


 玄関には積荷を馬車へと運ぶ使用人とそれを指揮するゲーム上の母がいた。


「お母さん、遅れてごめん!」

 僕はバタバタと走り、母に近づく。

 アンドロマリウスは空を飛んで僕の後に続いた。

 僕の声を聞いた母が僕らの方を向く。



「二人とも遅かったわ……あなた達なんて格好なの⁉私がやり直してあげます!」


 鬼の形相の母親に首根っこを掴まれれば従う他ない。

 僕等は母にされるがママ丁寧に、丁寧に身なりを整えられ、馬車に載せられた。


「生きて帰って来るのよ、坊や」


 馬車が出発する前に母が僕の額にキスをした。

 感動的な場面だが、先を急ぐ僕らに感慨にふける時間は無い!


「馬車早く出て‼」


 僕とアンドロマリウスは御者を脅し全速力で国王陛下のおわす城へと向かった。

 途中で関門を突き破って突破したり、跳ね橋が降り切らぬうちにダイ◯ードして城内に乗り込んだりしたが、些細なことである。

 僕らは城の兵たちに追われながら、王の間にたどり着いた。

 兵たちが僕らに追いつく前に王の間の扉を閉める。


「よく参られた、勇者ハザマよ。ソナタは女神に………」

「その話長くなるなら巻きでお願いします!!」

「はひぃ⁉」

 酷い形相で詰め寄る僕らに国王は短い悲鳴を上げる。


「要件だけを言え、さもなくば……」


 僕の背後にいたアンドロマリウスが、宙を舞って王座の背もたれの上に乗る。

 そして王の顔を上から覗き込む。


 きっと彼は恐ろしい顔をしている。

 実際に見れば分かるが美人が凄むとすごく怖い。


「分かった、手短に話す。魔王が降臨し世界に危機が迫っている。魔王を倒して欲しい。必要な物は御者に預けてある」

「了解!いくぞアンドマリウス」

「空から馬車に乗った方が早い。私の肩に掴まれ」


 アンドマリウスは前傾姿勢を取って翼を広げる。

 僕はアンドマリウスの背中に飛び乗り、肩に手を回した。


「しっかり捕まっていろ」


 アンドマリウスが翼を羽ばたかせる。

 足が地面から離れて宙に浮く。


「行くぞ!」


 声と同時に僕に空気の壁が襲い掛かる。

 振り落ちないよう必死に捕まる僕に、ステンドグラスが迫る。


「ギャッ」

 条件反射で目が閉じられる。

 パリンとガラスが飛び散る音がする。

 破片が僕らの体に薄い傷を作っていく。

 透明の塵を振り切って、僕らの体は空に抜けた。


 僕は目をゆっくりと開けた。


 城が下方に見える。

 すごい僕たち本当に飛んでるんだ!

 でも………


「わざわざ兵士たちに追われなくても、初めから空を飛んで入れば良かったじゃん」

「急いでいて気付かなかったのだ。馬車の側に降りるぞ」


 僕らは白の周りを旋回しつつ下方へ降りて行く。


「ハザマ、言いたいことがある」

「何?」

「私のことはマリーと呼べ」

「分かったよマリーちゃん」

「ちゃん付けは嫌いだ」


 地面が近づく、馬車がすぐそばに見える。

 アンドロマリウス……じゃなかった。

 マリーが翼を羽ばたかせてゆったりと地面に足を降ろす。

 僕も肩に回していた腕を解いてマリーの背から降りる。


 馬車がには御者がいた。

 彼は一頭の馬に荷物の入った袋をくくり付けて待っていたのだ。


「準備は出来ています。坊ちゃんお達者で」


 御者は僕らに一礼して馬車に乗って帰って行った。


 こうして僕らの冒険の第一歩が始まった。


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