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 翌日、起きるとさすがに震えは止まっていた。

 でも思い出すだけで恐怖は蘇る。でも昨日ほどじゃない。ブルッと背筋を這い上がる何かがあるだけで震えたりはしない。

 時間が解決してくれたんだろうか。


 でもアイツと戦うことになるのは変わらない。

 私は覚悟を決めないといけない。



 暖かい布団の中でそんな風に思っていると布団がずいぶん狭い事に気づいた。

 なんだろうと思って布団を捲ってみるとそこにはルー君とロウ君と……なんとリーオ君も。


 私が目を白黒させていると目が覚めたのかリーオ君が私の頬を舐めてきた。その舐め方はすごく心配そうな、とても気遣う舐め方だったと思う。

 同じようにルー君もロウ君も目が覚めたのかリーオ君に負けじと私に寄り添い気遣ってくれる。


 あぁ……私はなんて幸せ者なんだろう……。


 みんなに慰められてアイツを思い出して怯えていた心はずいぶん和らいだ。


 きっと時間が解決したんじゃない。みんなが私を心配して一緒の布団で寄り添ってくれていたからだ。

 みんな、ありがとう。私……がんばるよ。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 アイツ。真っ赤な鬼はちょっとしか見れなかったけど手も足も2本で体こそ大きかったけど人の形をしていた。

 武器らしい武器もなかったからきっと殴ったり蹴ったりしてくるんだと思う。

 あと思いつくのはコウモリの超音波攻撃とかルー君の『紅蓮灯火』のような遠距離攻撃。

 でも今まで人型の『敵』で遠距離攻撃をしてきたのはいない。

 相手はたぶん、というか絶対ボスだから今まで使ってこなかったから使わないとは限らない。

 だからアイツには遠距離へ攻撃する何かしらの手段があると思っておいたほうがいいと思う。


 それを話すとみんなも賛同してくれた。


 それから色々考えたけど私はあんまりそういうことに詳しくないし、発想力もない。

 ない頭を捻って捻って頑張ったけど思い浮かばなかった。


 でもルー君達は違う。

 主に頭脳労働担当のロウ君が案を出していたみたいだけど。



 その結果なんとリーオ君の結界は2つ同時に使えることがわかった。リーオ君もびっくりしていた。

 『固有結界』を張ってその中の私達をもう1度『球体結界』で包み込む。

 『固有結界』を破られても『球体結界』で防御できる。

 『球体結界』が破られる前にもう1度『固有結界』を張れば攻撃は私達に届かない。


 『固有結界』はその場から動けなくなる代わりに防御力が高い。比べると『球体結界』は防御力が落ちるけど、それでも保険となるし『固有結界』をもう1度張るまでの時間稼ぎになる。

 これはすごく使えると思う。


 その他にも『球体結界』をいくつも張る事が出来ることがわかった。

 私達非攻撃者に『球体結界』を使ってしまうとルー君の防御がなくなってしまうからそれが心配だったけど、これでルー君にも保険が出来た。


 ルー君には『声援魔法』を全力で使うから早々当たらないと思うけど保険は大事。

 ルー君は小さいからアイツの攻撃を受けたらたぶん助からない。

 あんな巨大なやつから繰り出される攻撃を受けたらたぶん戦車でもヘリコプターでも壊れちゃうと思うもの。



 私が出来る事は『声援魔法』。

 だったら今出来ることは戦闘中に倒れないように体力をつけて『声援魔法』を維持することだろうか。出来ればアイツにも使って遅くしたいけど、効くかわからない。


 あとは『声援魔法』のLvをあげること。

 一緒に知識のLvも上げてやれることを把握しないと。


「よし……。みんな、聞いて!」

「きゅぃ!」

「ホホ」

「ブルル」


 『声援魔法』や『声援魔法知識』のLvを上げるには魔力がいる。

 今残っているのは魔力は1000もない。だから魔力集めをしなければいけない。


 何日かかっても魔力を集めて……アイツを倒して、家に帰るんだ!







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 それから毎日魔力を集めにコウモリ地帯に何度も通い、安全地帯まで戻ってくると『声援魔法』の練習をする、という日々を過ごした。


 『声援魔法』の練習は疲れるけど少しずつ体力がついてきたのがわかる。

 コウモリ地帯に行くのもリーオ君に乗らずに自分で歩いて出来る限り体力をつけるようにしてるし、少しずつだけど筋力トレーニングもしている。

 まぁまだ少ししか出来ないけど。


 日によっても違うけれど、1日で溜まる魔力はコウモリ地帯に通っているからか結構多い。


 『声援魔法Lv2』は2500。

 『声援魔法知識Lv2』は1500。


 2つ合わせると4000もかかる。

 でも大丈夫。今の私の『魔力総量』は4756。2つ合わせてとっても余裕がある。


「じゃあLv2を2つ取るね!」

「きゅきゅい!」

「ホホホホホォ!」

「ブルルッヒヒィン!」


 みんな『声援魔法』の虜だから新しい魔法が増えるのはとても楽しみにしていた。だからいざ取得できる段階にくれば興奮してしまうのも無理はない。


 カタログからまず『声援魔法Lv2』を取得。

 たくさんの知識が私に流れ込み、『声援魔法Lv2』で出来ることがわかった。でもそれは単純に出来ることだけ。

 やっぱり『声援魔法知識Lv2』は必須だ。


 すぐにカタログを捲り『声援魔法知識Lv2』を取得する。

 澄み渡るような清々しい何かが流れ込んでくる。


 ……あぁ、こういうことだったんだ。


「行くよ、みんな! 『アタック』!」

「きゅ!」

「ホォ」

「バフ」


 『声援魔法Lv2』で出来る事は攻撃力増加の魔法『アタック』。

 だからルー君にしか意味が無い。

 でも『声援魔法知識Lv2』で得られた知識がそれだけではないことを教えてくれた。


「今はルー君にしか意味がないけれど、『アタック』の真骨頂は『敵』に対しての攻撃力減少効果なの!」

「きゅ?」

「ホホ、ホォホ」

「ブルルッ」

「きゅきゅい」

「ホォホホォ」


 いつものようにルー君の疑問にロウ君が応えてくれている。

 ロウ君はあれだけの短い説明でちゃんとわかったみたい。すごいなぁ。



 『声援魔法Lv2』の『アタック』は私が味方と思う者には攻撃力増加。

 この攻撃力というのは噛み付いたり、叩いたりしても効果がある。

 当然ルー君の『紅蓮灯火』にも効果がある。どのくらいかは威力調整せず全力でやったら2倍くらいになるみたい。

 今でも一撃なのにそれが2倍。とても心強いと思う。ううん、思うんじゃない。とっても心強い!


 そして真骨頂なのは、私が『敵』だと思う者に対する攻撃力減少。

 これがすごい。『スピード』は一定確率だったのに『アタック』は違う。

 100%(・・・・)の確率で攻撃力を下げてくれるのだ。もちろん相手に声が届くのが前提だけれど。

 それでも100%はすごい。これでアイツの攻撃力を減らせるのだ。

 そうなれば私達の勝率がぐっとあがる。

 減少率も最大で半分。最低でも5分の1程度は下がってくれる。

 幅が広いのは知識によると相手の抵抗力によるからだそうだ。それでも最低でも20%は減らせるんだからやる価値は大きい。



 でも問題はやっぱり全力でやると私がもたない点だ。

 アレからずっとトレーニングを欠かさないでいるけれど、全力で使ったら4回くらいで立てなくなる。

 つまり1回10分だから40分。

 これだけあれば十分だ。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 『声援魔法Lv2』はすごく使える。

 じゃあLv3は……?


 『声援魔法Lv3』は6000もかかる。

 『声援魔法知識Lv3』もセットで取る必要がある。こちらは4000。


 合わせて10000だ。


 4000の魔力を集めるのにも結構な日数かかっている。

 でもアイツと戦うなら集めるべきだろう。

 まだまだコウモリ地帯へ通う日々は続きそうだ。



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