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litmus-1-

本編始動、なのか。


ふらふらしそうな気が。。

にぎやかな街だ―――

喧騒を目に、肌に感じる。



「へい、らっしゃい! ウサギドリの丸焼きだよっ! 1つたったの五百サンっ」

「こっちは大食いだよっ!! 一時間で食べきれたらなんとタダだっ!」


癒希はそちらを一瞥し、ため息をつく。

絢じゃあるまいし、あんなの食べきれる気がしない。でもお腹はすいている。ただ問題が…

そのまま商店街と思しき界隈を足取りも重く突き抜け、歩き、歩き、歩き…


肌で空気が変わったのを感じる。


「……あー。あった」


西部劇に出てくるバーのような場所。

もちろんバーでもあるのだが、その本質は―――



「んー…」


二、三十人の、たいていは男だ、喧騒の中に癒希は飛び込む。

中に入った癒希はすぐに掲示板のあるところへ。

そこに所狭しと貼り付けてある紙の束を眺める。

周囲の視線は癒希へと集まり、その店の喧騒が収まる。

それもそのはず。

この場所は力を持つ者のみが訪れてよい場所。

あからさまな女の、しかも子供なぞが来ていい場所ではない。

もっとも例外もいるにはいるが、たまにいる例外は顔なじみ。

それなのに―――



「おい、新顔。見慣れねぇツラだが、どっからきた」


巨漢の男が、親切とからかいの半々で声をかける。


「お嬢ちゃんにはこの場所は早いんじゃないのかい? おうちでママの手伝いでもしてたらどうだい?」


声をかけられた癒希はそれに気付かないかのように物色し…


「ん、これっ。これでご飯買える」


そのうち一枚を引きちぎると酒屋のマスターに見せる。


「これ、行ってくるから。報酬の準備よろしくね」


無視された巨漢がそうと気づく間もなく姿を消してしまう。


「おいおい、これ…」


硬直した時間が動いたのは苦笑するマスターの一言。

そのマスターの持つ紙には、「クエスト難度C級」の文字が

ならばあの少女は見かけによらずC級以上のライセンス持ちということになる……のだろうか。

このバーにいる中でもC級なんて数えるほどしかいないというのに。



ランクはE、D、C、B、A、S、SS、SSSと八段階存在する。Sランク以上になるとその存在すらほとんど知られていない。しようとする職業によっては一定ランクに至っていないとできないものもある。また、今回のようにクエストにはランクが設定されており、求められる最低ランクがそのギルドマスターにより決められている。クエストを依頼することは誰にでもでき、薬屋の薬草素材入手の依頼もあれば王都からのモンスター討伐などの仰々しいものまでさまざまだ。

たいていの人は登録して一攫千金を目指すのだが…

能力を持たないものはDランクが限界になることが多い。一般的な物理攻撃が効かなかったりすることがあるためだ。

そういった専門の武器を取り扱っているところもあるのだが、高い。投資額に見合った戦績を出せるかどうかは本人の実力と運に懸っている。

そのため能力者のほうが圧倒的に有利な職業といえる。

D、E級だけでコツコツ稼いでいくこともできなくはないし、それなりの需要はあるため、実際にここにいる人の大半はそうして生きている。

そこへあっさりC級のクエストを受けて消えた少女。

唖然として先ほどまで少女の居た空間を声も無く見つめる冒険者たち。

面白いことになってきたと一人ほくそ笑むギルドマスター。


今日もリトマスは平和だった。



癒希が今回クエストを受けに来たのはご飯を買うお金を手に入れる為です。積極的にクエストを受けるタイプではありません。

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