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departure-4-

「じゃあ、みんな。ここで」


 癒希の言葉に絢が、颯太が、施設のみんなが顔をゆがませる。それでも、笑う。


「じゃあね、癒希ねーちゃん」

「お土産買ってきてね。あと光も」

「光は売ってないわよ。癒希ちゃん、こっちは任せてね」


 かけられた暖かい言葉に癒希も笑みを返し、扉へ向かう。孤児院のみんなの視線を背に、癒希は歩みだし―――



 扉を開けた瞬間に全力で駆けることになった。


「護衛はっ、何やってんのよ!」


 街まであと1キロもないところで行商の馬車がモンスターに襲われていた。通常、行商の馬車とかであれば護衛を雇う。ある程度の金が必要にはなるがそれでも雇わずにモンスターに襲われた際の被害は計り知れない。金をとるか命をとるかなのに。ところがあの馬車はモンスターに襲われているのだ。護衛がいないのか、それともやられてしまったのか。


 現場にたどり着き、癒希はさらに唖然とする。

 護衛はいた。

 生きていた。

 商人を盾にして隠れていた。


 逆だろ。何してんだお前。


 そう言いたくなる気持ちを抑え、モンスターを確認する。

 その姿を見て、ほっとしたのが半分、だからかと感じたのが半分。そして少し落ち着く。


 スライムが5体


 基本的にこいつらはおとなしい種族だ。世界中のいたるところに生息し、種類も多様ではあるが人を襲うほどのものはあまりいない。この近辺にはいるが。こいつらのいいところはおとなしいところなのだが、人を襲う種族になると話は変わってくる。このあたりの奴らは体液に人を溶かす作用があり、


「く、くるなぁー」


 商人が持っていた剣で斬りつける。


 物理攻撃とかに滅法強く、


 あ、7体になった


 切れたらそこから分裂することもある。護衛が役に立たなかったのはこいつら、能力者でもなく、この程度の相手をする実力すらないくせに護衛を買って出たってとこか。そりゃ、護衛も、それに気づかない商人も悪い。


「はーい、ストップ! あとは私がやるから」


 その言葉に癒希の存在に気付いたのか、商人が、護衛が、スライムまでもが動きを止め、癒希を向く。

 スライムって耳があったのか、初耳だ。いや、冗談とかではなく。

 押し寄せるスライム7体、それをみとめ、癒希はその手に持つ死神の鎌を構える。『繊月』と名付けられた癒希の背丈を超えるその鎌は仄かに蒼く、


「ランクE スライム7体、まあ、いっか」


 繊月を一閃


 そこに残ったのは先ほどと変わらないゼリー状の塊、ただし2度と動かなくなった。繊月はスライムの分裂可能な最小単位のサイズ以下までそれを切り刻んでいた。癒希はそれを確認し商人に向き直る。


「はい、終わり。 ・・・で、なにくれるの? 私は今何も持ってないんだけど」


 その言葉通り、癒希は背中にも、両手にすら何もなく

 次の街に着くまで現地調達でいいかと思ってたけど、ここで何か手に入るなら悪くないかも

 そう考えて手を出した。









「へぇ、しばらく見ないうちにずいぶん変わったね」


 薄暗い部屋の中、淡く輝くソレを見つめ男は呟く。


「あれは鎌、だよね。そういう能力なのかな。武器化、それとも鎌専門かな。どう見る?」


 ひとしきり喋るともう1人の男のほうに目を向ける。

 視線を受けても男は黙ったまま、


「まぁいいか。それじゃあ最後まで見せてもらおうかな。このエデンの向こうで、どうあがくのかを」



ようやくデルフィニジンを旅立ちましたね。

繊月:せんげつ です。


しかし癒希以外はまだ名前だけ・・・

活躍する時が来るのか来ないのか・・・

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