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departure-2-

 能力者とは、能力とは一つのセンスとされる。要は才能だ。

 算数ができる。サッカーがうまい。料理が得意だ。能力が使える。

 その程度の違いでしかない。今では。

 当然のことといえば当然のことになるが、能力の種類でも差が現れるものの、能力者という存在はそうでないものと比較して圧倒的に有利だ。モンスターと戦うにしろ、生きていくにしろ、ないよりはあったほうがいい。それはそうだろう。料理はできないよりできたほうがいい、そういうことだ。

 能力にはさまざまな種類がある。常人より高い運動能力を誇る肉体強化、発火や発電能力などの顕現系、読心力に代表されるような精神作用系などその種類は多岐にわたり、専門家なんかは分類に躍起になっているらしいが日々新しい能力が現れ、その全貌は定かでなく、今後も増加の一途をたどると考えられている。






 ところで、私はいったい何をしているのだろうか。


 彼がいなくなってから半年になる。

 私は何も変わらず、彼のいた日々の、彼がいない瞬間の自分を演じ続けている。周囲は自分のことを慮ってか、できるだけ普通の感覚で接してくれているのが感じられる。

 そこに若干のよそよそしさを残しつつ。


 この街は能力者の割合が比較的高い街だ。

 学園都市では学生、つまり子供の割合が高くなるのだが、能力者は子供に多く見受けられ、私もその1人になる。

 しかし、そのためにこの街は治安が、まぁ、あまりよくない。意識の低い学生が多いということ、そしてその学生がへんに能力を持っていること、また能力者を誘拐し利用しようとするものなど、犯罪の種類、規模ともに・・・

 そんな中、「能力を持たない」彼が何らかの事件に巻き込まれたのであれば・・・・・

 珍しくもなんともない事件の1つとして括られてしまうだけだ。実際そうされたし。どれだけ警備隊が努力しても犯罪が0になることなどありえないし、どれだけみんなが気を付けようとも災厄は突然に襲い掛かってくる。すぐは帰りを信じていた周囲も、3か月を過ぎたころには彼は事件に巻き込まれて死んだに違いないと思うようになっていた。



 では、私は何をしていたのだろうか。


 警備隊には何度も事情聴取を受けた。彼と最後に話した内容についても口にした。最初のほうこそ彼らは真剣に調査してくれていたみたいだが、似てる事件も似てないものも多く、調査は緩慢になっていった。

 周囲もそうだ。最初は皆、知人に聞き込みをし、私を慰めようとしたりしていたが、次第に諦観がその場を支配していった。

 その中で私だけが浮いている。

 あまりにも普通にふるまいすぎるせいで。

 たぶんおそらく、私は壊れてしまったのだとか、まだ現実を受け入れることすらできないのだとか、そう思っているのに違いない。

 そのためか、教室の彼の机の上に花を置くべきかどうかでひと悶着あったらしいし、いまだに机が残っているのも彼のためではなく私のためなのだろう。



 さて、私は何をしているのだろうか。


 私は変わらず、何の変化もない日常を送り続けている。彼のいない瞬間を動き続けている。


 彼の最期の言葉通り、彼のことを嫌いになり、いなくなってもいいと思うようになったのか。


 違う、嫌いになるなんてありえない


 周囲の思う通り、壊れてしまった。もしくは現実を受け入れることが出来なくなったのか。


 違う、彼のいない現実は目の前にあるし、壊れてなどいない


 私にはわかる

 私の本能が、5感が、直感が、全身のすべてが私に告げる。彼は死んでなどいないと。最後に交わした会話。あれはおかしい、おかしすぎる。あれは自分が死ぬという暗示ではなく、自分が死んだと思わせるように言ったとしか考えられない。


 彼は優しすぎるから

 何らかの事件に巻き込まれた、巻き込まれているのは間違いないだろう。ただ、それであっさり死ぬような人でもない。



 私はいったい何をしているのか。


 私は、彼を探していた


 周囲の目のあるところではそれこそ壊れてしまった人がとる行動にしてはいたが、その実、彼を探していた。周囲に気づかれないように。

 彼は生きている。そう信じ、いや、間違いなく生きている。だから彼が今どこにいるのか探し出さなければいけない。彼は生きているのだから。彼は生きている。でも彼が巻き込まれている事件は解決していないのだろう。だからまだ帰ってこれないのに違いない。もしかしたらひどく傷ついているのだろうか。私は彼を助けに行かなければいけない。これが彼の意に反していることも分かっている。最後の言葉はもう会わないという意思表示にもとれるのだから。でも諦めるわけにはいかない。彼に会わないでいるという選択肢などない。彼が好きだから。

 私の中にこんなにも熱い感情が秘められているなんて、これまで思いもしなかった。ただ、これが半年でなく1年、2年・・・いや、どれだけ長い年月が経とうと私は彼を想い続けることができる。この想いは誰にも奪わせはしない。それがわかった。

 だから私は彼を探し続ける。




 そして、1つの結論に達した



結局動いてないですね。


つぎは動く・・・のかな・・・?


ただ、結論の内容はお察しの通り



なんか、癒希が病んでるような気がしてきた・・・

そういうつもりじゃなかったんですけど


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