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「何が知りたいの?」


俯き、少しためらった後で続ける。



「俺と『雷神』との関係は? あるやつに言われた。さすが、雷神の……と。俺は誰なんだ? 『雷神』との関係は? 俺があの街、『雷神の街』、デルフィニジンにいたことは必然だったのかっ!?」



少年の想いを正面から受け止め、女性は―――



その女性は、

未弥は静かに告げる。


「私はあなたが誰だか知らない。あなたは誰なのか聞きたいのは私のほう」

「けど、あいつは。あの男は確かにそういったんだっ! 俺が、あの世界的な犯罪者ともいえるやつとの関係者だって! だったら俺は誰なんだよっ! 俺の両親が誰だか、お前ならわかるんだろう?」


漏れだすままに喋りつづける光の言葉。

それに、未弥は―――


「黙りなさい」


怒っていた


「何も知らない子供が。何もわかってない子供が。かぁくんとなっちゃんの悪口を言わないで。世界的な犯罪者ですって? 確かにある側面から見たらそうかもしれない。むしろそう見えるように動いてた節もある。けど、すべては…… あなたが誰であろうと、あの人たちを、彼らを馬鹿にすることは許されない。あなたが誰か? そんなの過去を調べればわかることでしょっ!?」


とても、怒っていた。

未弥は結局、「あの時」の真相を知らない。

知る勇気がなかった。

未弥の能力を使えば知る術もあるというのに。

それでも、腹が立った。

過去を汚された。

そう思った。

あの時期未弥は一番満ち足りていた。

それが幸か不幸かに関係なく。

だから、コイツの正体を明らかにしてやることにした。


「そんなの言ったって、俺の過去は俺にもわからないんだ…」

「誰もあんたに聞くなんて言ってない。私の能力を使えば過去が視える。それがモノだろうとヒトだろうと。その場に起きた記憶を視ることができる。だからあんたは黙ってじっとしてて」

「あ。ああ……」


少年は信じられなかった。

この女性は光の過去を視ることができるという。

そんな簡単にわかっていいのだろうか。

そんな簡単に辿り着いていいのだろうか。

少年の肩に、女性の手が置かれる。




「…………これってどういうこと?」


少年の耳に、女性の声が少し遠く聞こえた。






少しの間をおいてようやく尋ねる。


「……なんだって?」

「あなたはなっちゃんと一緒に暮らしていたの?」

「……なっちゃん?」

「菜摘。なっちゃん。あなたはなっちゃんと、ずっと一緒に? あなたは………だれなの?」


呆然とする未弥。

それ以上に混乱する光。


未弥は光が、雷神は世界的な犯罪者だと糾弾したときにそれを否定した。

かぁくんとなっちゃんの悪口を言わないで、と。

そしてなっちゃんは菜摘だとも言った。


自分の、母親は―――

雷神だとでもいうのだろうか。


『どういうこと……』


言葉が重なる。



この少年は菜摘と一緒に過ごしていた。

つい最近まで。

しかもこの少年の記憶に残っている限り昔から。


けど、わからない。

誰の子だ?

菜摘と………彼方?

いや、ありえない。

だって、あのとき、菜摘と彼方は………

だったら…どういうことになる?

この少年の記憶はどこまであるのだろう。

「あの場所」へ行けばわかるのだろうか。



この女の人は何を言ってるんだろう。

記憶を読んだのには違いない。

菜摘の存在など伝えていない。

しかし、菜摘が、雷神だと?

ありえない。

雷神とは、その名が偽りでなければ、能力者であれば、

それは〈雷〉だろう。

光は知っている。

菜摘の能力は〈氷〉だ。

施設にいるとき、かき氷には困ったことがないのだから。

しかし、雷神と無関係ではないのかもしれない。

雷神は複数との伝説もあるのだから。

だったらこの人の能力は相当役に立つに違いない。




二人の利害が一致した。






両方読んでいる人が何人いるのかはわかりませんが、

期せずして、

完璧ともいえるタイミングでこの話が。


あれ?

と思う人もいるかもしれませんが、それがいつ明かされることになるのか。

今自分が見つけたのでミスリードさせる部分が三か所くらい。

ホントに偶然。

まだあるかもしれませんし。


逆に他にあれ? って部分あるかもしれませんが、それは


私のミスやもしれません。

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