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litmus-2-

今癒希がいるのはリトマス―――の近くにあるコンスタンス山。


ここは山を登るにつれ、それこそコンスタンスに出てくるモンスターも強くなり、得られるものも珍しいものや効果の高いものが多くなっていく。

必然的に能力者のランクを決める試験に使われたりもする。



その山の中腹まで来たところで癒希は断念していた。


「んー、むりっ!」


癒希がバーのマスターに出したクエストはC級。

そのクエストの内容は早々にこなし、追加報酬を狙ってさらに上に上ってきたのだが…


どこで道を間違えたのか癒希の実力以上のモンスターの出てくるエリアに来てしまっていたらしい。

さっきから物陰から見ている癒希の前をコドラゴが通り、ホラーナイトが通り…

癒希の見たことがあるのはそこまで。見ても名前すらわからないモンスターが徘徊している。


「苦戦せずにここまで来たのに、ここまで急に桁が上がると…試す気も起きなくて助かるかな」


癒希は基本的には直情的であり、まずやってみるタイプだ。それは光を追いかけて飛び出してきたことからも明らかである。だが、これは無謀に過ぎることはすぐわかった。もともと旅をつづける資金がほしいだけなのだ。変に色気をだして命を天秤にかけるほどのものでもないし。

癒希は徘徊するモンスターを刺激しないようにこっそり逃げ帰ることにした。







「……ふぅ」


しばらく下り、ようやく自分と同程度のランクにまでなってきたことを感じ癒希は一呼吸置く。


いまさらながら全身に震えが走る。

癒希はさっき一歩間違えれば死んでいた。

自分の力を過信して突っ込んで行っても死んでいたし、徘徊していたモンスターのうちの一匹に見つかっても死んでいた。今息をしていられるのも偶然に近い。

本当はあの時にこの気持ちになっていてもおかしくはなかった。それでも自分を律し続けた。そうしないと死んでしまうと思ったから。それができないと死んでしまっていたから。

自分は弱い。

菜摘の言うとおりだ。

今自分は菜摘に守ってもらっているわけではない。

完全に一人だ。

決して無理をしてはいけない。

過信してはいけない。


けど、

このままでいいわけでもない。


あいつらを倒せるようにならないと光を救うことなんてできないんじゃないか。

光を助けるなんて息巻いて、結局自分のせいで光を危機にさらすことになるんじゃないか。



なら、私は―――



癒希が自分の弱さを自覚する回

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