世界が終わるその三分前に創ったラーメンがたまたま俺を美少女にしてくれないかなあ
世界はあと一時間で終わるんだそうだ。
総理大臣が言ったのだから本当なのだろう。
しかし街には逃げ惑う人の群集などがいるわけでもない。そもそも世界が終わるというのは今に決まったわけではない。
もう二十年以上も前から言われ続けていたことだ。
「世界は終わらせるんです」ってね。
ん? 終わるってのと終わらせるってのは違うって? そんなことはシッタコッチャナイ。
あと五分で世界は終わるんだから。今頃みんな家族と共に最後の日常を過ごしているんだろう。
俺だっていつの間に55分が過ぎちゃったのかはわからない。でもどうでもいいだろう?
一人ぼっちでカップラーメンの蓋をぺりぺりとはがし、熱湯を注ぐ。こんな悲しいやつは世界で俺だけだろう。その優越感も、良い。
いっそこういうときにありがちな犯罪者になるもいい、家に乗り込んで女子供に暴力を振るうも良い。しかし自由だ。自由は日常に感じるものだと常日頃から虚空に向かって熱弁している俺としては面白半分カップラーメン3分を待つのだ。
さて、あと二十秒でカップラーメンができるぞ。よし、後十秒。
そんな時ふと脳裏に浮かんだ言葉。
あれ? これ俺食べられないんじゃね?
いそいですすったカップラーメンの調理時間は「5分」
固くて食えたもんじゃなかった。
しかし何も起きないな? なんでだろう。
時計を見つめようと思ったがそこにはない。妙に白い腕。か細く、昔土木をやっていた俺の腕だとは思えない。
おかしいなあ? ポケットを当たろうと胸をまさぐってみると、ぽよんぽよんと妙にやわらかな感触がする。
シャツを一枚着ただけの格好。シャツは俺が着ていたものだが明らかにサイズが合っていない。
そして片方のてでやわらかを揉みながら言った。
「なんて皮肉で反比例なのだ! 固い麺を作るほどやわらかなのだな!」
俺は歓喜の涙を流す。涙で前が見えない……。頭がぼーっと…………。
「たかしー! 寝てないでハローワーク行きなさい!たかしー!」
騒々しい母の声を聞き流し、俺は駆ける。洗面所へと。
俺は鏡を見て泣いた。
ワwタwシwハwソwウwゾwウwスwルwwwwwwwwww
目が痛い。