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一時の幸福
私を引き取ってくれたのは一人暮らしの親戚のおばさん。
とても温厚で優しいおばさんだった
「自分の家と思って好きな様に過ごしてくれていいからね」
おばさんが一番初めに私に言ってくれた言葉
"好きな様に"なんて言われても今まで親の言う通りにしかしてこなかった私にはどうすればいいかわからなかった
とりあえずぼんやりと窓から外を眺めているとおばさんが気を利かせてくれたのか「編み物をしてみないかい」と声をかけてくれた
おばさんが道具を渡してくれた
以前母に授業で言う家庭科に関する事は全て叩き込まれていた
だから編み物など造作もない事で。
すいすいと縫い進めるとおばさんは「編み物も出来るのかい?凄いねぇ」と優しく微笑んで褒めてくれた
今まで褒めてもらったことがなかったから凄く嬉しかった
こんな事出来て当たり前だと思っていたけれど褒められる事が純粋に嬉しかった
そんなある日おばさんは一冊の絵本を私に見せた
「アイラちゃんこの絵本読んだことあるかい?」
おばさんの手に握られていたものはウサギと猫が描かれた表紙の本