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風待ちの猫/6
実にあっけない平穏の幕引きだった。
ツーはねぐらの中からそれを目にしたが、その後のことは覚えていない。覚えていないということは、思い出さなくてもいいということだろう。ツーはそう信じながら身体を丸める。そうすることで、それ以上は何も見えないようにしている。
ツーはまぶたを閉じる。何も見えないようにする。
しかし闇から目を逸らすことができない。まぶたを閉じれば闇ばかりが見えるのだ。
それからも逃れようと、ツーは必死に眠ろうとするが眠れず、暗闇はツーの心を覆い尽くしていく。やがてツーは自分がどんな世界にいるのかも分からなくなっていく。昼と夜も分からない。時間の流れも分からない。ぎゅっと身体を丸めて闇が晴れるのを待ち続ける。
あの日あの時が遥か彼方に遠のくまで、じっと待ち続ける。