表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/57

伯爵家のメイド 13


「ほらよ」

涸れ沼のほとりに行き着き、走りすぎて息を弾ませ草むらに座り込んだ私に、男は水の入った皮袋を寄こした。

さっき窓の外にいたもう一人の男は、周りの様子をみるためか、この場からは姿を消している。


「どうして…」

なぜあの場にいたのか、まず聞きたかった。

息が切れて最後まで言えなかったが、男は私の意図を汲んで答えた。


「ゆうべ駆け落ちがあったことで、屋敷内の事態が変わるかと思って、張ってた。…まさかやつがあんたに手を出すとまでは思わなかったが。…大丈夫か?」


気遣わしげに私の顔をのぞきこんでくる。


「…思いっきり殴っちまったからな。あんたは屋敷に戻れなくなった。成り行きとはいえ、済まないことをした」


心底申し訳なさそうに言ってくる。


(…そうか)

冷静になって考えてみると、男が言うように、雇い主に手をだされかけて殴って逃げたメイドなんて、屋敷に戻れるわけがない。


でも、あのままヴァルターに襲われるよりは何百倍もマシだ。


「…いいえ。助けてくれて感謝してる。ありがとう」


静かに告げると、男は目に見えてホッとした顔をした。



「あたりを見回りましたが、今のところ追っ手はかかってません。屋敷ではまだバレてないようですね」

そこに、もう一人の男が戻ってきた。

ほっそりとした体つきの、やさしげな顔立ちの男だ。フードを深くかぶっている。

じっと見つめる私に気づき、にっこりと笑ってフードをとった。


「エレインだね、はじめまして。僕はアレン・ブローク。母上が世話になったね」

どうやら、こちらが正真正銘のブローク伯爵の跡継ぎらしい。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ