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「先輩ザッコ〜」と表では煽ってくる生意気後輩は、俺の前だけでは清楚になる件

作者: 北猫新夜
掲載日:2026/07/28

座右の銘「恥じらいは捨てろ」

最近流れてくる同じ作品の色んなシチュエーション漫画の小説版みたいなのを想像

起きたら日間恋愛短編9位、すべて25位だった!ありがとうございます!

 俺はとても腹が空いている。

 その原因は目の前にはいる…


 「先輩、もしかして今日も焼きそばパンの競い合い負けちゃったんですか〜?本当に先輩ザッコ〜い」


 「…仕方ないだろ。移動教室だったんだから。しかも旧校舎の方」


 そう言うと同時に、上がりそうになる口角を必死に耐える。


 「ふ〜ん。ま、まぁでも?そんなザッコ〜い先輩が食べたいんだったら、食べてもいいですよ?…私の食べかけなら」


 そう言うのは俺の一つ下の高校一年、白雪麗奈しらゆきれいな

 ツインテールで、服のボタンは上から二つまで開いており、スカートは折っていて膝より少し上まで脚が出ている。


 白雪さんは俺の机の上に乗りながら、脚を組んで、今まで食べていた焼きそばパンを俺の目の前で、食べかけの方をチラつかせる。

 

 その焼きそばパンは、一口だけ食べられているがまだ全然残っている。

 めっちゃ美味そうだ。


 「あれれ?先輩、要らないんですか〜?ほ〜ら」


 白雪さんは俺に匂いが来るように、焼きそばパンを俺の鼻に近づける。

 そして、遠ざけ、また近づける。

 

 クラスの奴らは「またか」みたいな視線を送ってきて、俺たちのやり取りを流していたが、その内の一人が近づいてきた。


 「白雪さん、俺にもちょっとくれない?購買、遅れちゃって買えなかったんだよ。あ、ちゃんとお金は払うからさ」


 そう言うのは、クラスの陽キャグループに入っている佐藤。


 「え?…あ、ヴヴン!え〜佐藤先輩も買えなかったですか?」


 「そうそう。だからさ…」


 そう言って焼きそばパンに手を伸ばす。


 「ッ!だ、ダメです!」


 手が来るのは予想外だったのか、俺を煽る時のような余裕はなく、口調も違う。

 俺はもう限界かと思い、その焼きそばパンを右手で奪うように手に取った。


 「ありがとう、白雪さん」


 俺は焼きそばパンを食べかけの方から食べる。

 ちょうど、取ったときに口の前に来たのが食べかけの方であったから、別に狙って食べたわけではない。


 「ッ〜!か、かんせつ…そ、それじゃあ、先輩。私は帰りますからね!」


 顔を紅潮させると、白雪さんは顔を隠して、逃げるようにそう言って出て行った。


 すると、教室内はいつもの恒例、へこんでいる佐藤の励まし会に入った。


 「どんまい!次がまだある!」


 「いや、もう諦めろよ」


 「ちょっと今回は強引に行き過ぎだったよ!」


 やり取りを聞いていたクラスメイトたちからの励ましの言葉で、佐藤は段々立ち直っていた。


 「ま、あいつはお前みたいなタイプは苦手だかな。しょうがない」

 

 そう言って、俺は佐藤の背中を叩いた。

 だが、俺のこの一言で佐藤はまたへこんでしまった。


 「あーあ、せっかく励ましたのに〜」


 「黒瀬、佐藤で遊んでやるなよな〜」


 「…こいつはこの状態でいたほうがいい」


 俺は焼きそばパンを全部食べ終わると、佐藤の肩に手を置いた。


 「じゃあ、行くか」


 「…え、もしかして白雪さんの教室!?」


 「いや、アイス」


 目を輝かせていた佐藤は深いため息を吐いて、「アイスじゃ腹はたまんねぇーよ」と言い、地面に倒れた。

 それをクラスメイトたちは笑って見ていた。

 

 そんな中、俺だけは必死ににやけ顔にならないように保っていた。

 それは、俺だけが白雪さんの素を知っているから。


 ・・・・・・

 ・・・・・・


 六時間目が終わり、放課後。


 「黒瀬、今日も白雪さんと帰るのか」


 「まぁ、多分?約束とかはしてないけど、下で待ってたら帰るよ」


 聴いてきた佐藤にそう言うと、佐藤は「そうか…楽しんでこいよ」とハイライトのない目で言った。

 そして、深いため息を吐きながら、部活場の体育館に向かって行った。

 ちなみに、俺は部活には入っていない。


 階段をおりて外靴に履き替えると、後ろから背中を指でなぞられた。

 それに反応してジャンプしてしまった。そして、俺は後ろを向いた。


 「おい、白雪さん。よくもやってくれたな」


 「ププ〜、先輩、後輩に背中なぞられて、ジャンプするなんてはっずかしい〜」 


 「…いつか、絶対してやる」


 「え〜、じゃあ私いつか、先輩に急にセクハラされちゃうってこと〜?」


 「ッ、そうは言ってないだろ!」


 「焦ってる先輩、かっわいい〜」


 後ろを向いた時に、周りにいた生徒たちが俺たちを見て笑っていた。

 この会話を聞いて、新たに来た他の人たちも笑い始めた。


 「か、帰るぞ!」


 俺はそれから逃げるように校舎から出た。

 俺の後をついてくるように白雪さんも靴を急いで履き替えて、俺の横まで走ってきた。


 校門を出て、学生たちが誰もいなくなったところで、白雪さんはツインテールを解いて、髪をおろす。

 服はボタンを上から一つまで留める。

 折っていたスカートは元に戻して、膝が隠れるまで丈が伸びる。

 

 「…先輩、先程はちょっとやり過ぎてしまいました。ごめんなさい」


 「……マジで恥ずかったぞ」


 すると、自分たちの会話を思い出したのか、白雪さんは顔を少し紅潮させた。


 「でも、私、上手くなりましたか?」


 メスガキのような相手を煽る声から一変、一切の汚れがない、純粋無垢のような声。

 そして、丁寧な言葉使い。


 「うん。でも、想定外なことが起きると素が出そうになってるぞ」


 「そ、それは先輩がすぐに受け取ってくれなかったからで…」


 もじもじしながらそう言う白雪さん。


 「俺のせいか…」


 「い、いえ!私がまだまだ未熟だからです。先輩のせいではありません!」


 顔を下にそむける白雪さんに、俺はもう耐えていた口角が限界になり、気持ち悪いくらいのにやけ顔になった。

 それを見られないように、白雪から顔をそむけた。


 「先輩?何で顔を背けるんですか?」


 「い、いや、別に?」


 「本当ですか?」


 そう言って、「ひょいッ」みたいな可愛い効果音が付きそうな動きで俺の視界に入る。

 

 この小動物みたいな白雪さんについて、今ここで叫びたいことがある。

 ――こいつの声。マジで興奮するんだよ!!


 普段の白雪さんは清楚キャラみたいな透き通って、落ち着きのある綺麗な声。

 それが人前では、生意気後輩みたいな声と口調になって、それで煽られても嫌な思いどころか、興奮して仕方ない。

 俺が声フェチなのも関係するのかもしれないけど、この変貌は誰だってそんな感想を抱くと思う。


 「慣れましたけどまだ…あれには遠く及ばないですね」

 

 「あれは生粋のメスガキだからな。……でも、本当にここまで出来上がるのは想像してなかった」


 「あ、ありがとうございます。もっともっと磨いていくので、覚悟していてくださいね!」


 両腕を畳み、小さく拳をつくってそう言う。

 

 俺はそんな白雪さんとのこの生活が楽しくて仕方ない。

 

 

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― 新着の感想 ―
後輩なのにさん付けするんだなぁ 二人きりの時間はもう少し見てみたいかも
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