28話「認める代わりに」
翌日。
朝ご飯を食べ、渡鳥さんと出かける。
相談したいことがあるとのことなので、近場の飲食店に入る。
席に案内され、コーヒーを2杯頼む。
「それで、相談って何ですか?」
「はい、美古都のことでお話が……」
「美古都さんのこと?」
「最初に言っておきます、私はまだ京屋様のことを認めていないのです」
「はあ、そうなんですか」
「そうなんです」
「……」
「……」
「本題に入りますが京屋様を認める代わりに、私と美古都との関係を改善して欲しいのです」
「改善?」
「はい」
「見た感じ、別に仲は悪くなさそうですけど?」
「いえ、今回は京屋様も居るので、私に話しかけてくれますが、普段はあまり話さないのです」
「普段を見てないから分からないけど、とりあえず、どうして改善したいのか聞かせてください」
「少し長くなりますが、私の話をお聞きください」
「私は、美古都が小学校に入った段階で世話係を務めることになりました」
「失礼ですが、今何歳何ですか?」
「26です」
「26?ということは?」
「はい、私が18になる年になります」
「まだ高校生じゃないですか……」
「私、高校には進学できませんでした」
「……なるほど」
「当時の私は進学もできず就職も失敗し荒れに荒れておりました」
「路頭に迷い、どう生きればいいのか分からない状態でした」
「そんな時、たまたま、世話係を探していると言う、求人を見つけたのです」
「正直、受かるとは思いませんでした」
「それに私、興味がまったくありませんでしたし」
「ただ、進学も、就職活動も失敗した私は、もうそれに縋るしかなかったのです」
「ですから付け焼き刃で世話係に必要な能力を取得し面接に臨みました」
「面接と言っても企業ではなく、個人の家の仕事なので、美古都のお父様とお母様が対応していました」
「申し訳ないのですが、美古都のご両親はとても怖かったです」
「私は震え上がってしまって、とにかく早く帰りたい一心で、面接を受けました」
「しかし、ご両親はそんな私の態度が気に入らなかったのでしょう、お叱りを受けてしまいました」
「私が泣き出す寸前に、美古都が助けてくれたのです」
「その時思ったのです、こんなに小さい子供が、冷静に助けられるだろうか、と考えたのです」
「私は美古都と両親の関係が心配になりました」
「ですから私は助けてくれた美古都の為に世話係をしたいと思ったのです」
「受からないとは思いました、ですが、この両親に代わって美古都の世話をしたいと、ある意味では同情だったのかもしれません」
「美古都はもうどうでもよかったのでしょうか、私でいいと、一言申したところ、ただ淡々とどうでもよさそうにお父様から合格をいただきました」
「お母様はそれを聞いた瞬間、即座に仕事に行きました」
「そうしては私は美古都の為に、世話係として精一杯やってきたつもりでございます、まさに美古都の世話は私の生きる意味と言ってもいいと思います」
「ですが、私は口下手なので思った以上に美古都とのコミュニケーションが取れませんでした、あの両親の冷酷さと同じように何にも私はできなかったのです、だから美古都は私に心を開いてくれないのでしょう」
「そのままズルズルとこの歳まで来てしまったのです」
「ですから友達も居なかった美古都が仲良くする人間を見つけた今、美古都の両親とも関係を改善するべきだと思いました、そのためにまず私との関係を改善して両親と美古都との架け橋になるために力をお借りしたいのです」
「……わかりました、関係改善しましょう」




