8話
事件の後、直ぐに警察が来て当然の事ながら休校となり家に帰らされた。僕は帰った記憶がなかったが、後で話を聞くとどうやら母さんが学校まで来て一緒に帰ったらしい。
そこから学校は一週間休校が決まった。学校が事件現場という事もあり危険回避のためもあるが警察が来て現場を調べる為だそうだ。学校が再開されても元の現場は使えないので空き教室で授業を受けると連絡が来た。
「おにい、ご飯出来たよ」
「……、分かったよ……」
妹が僕の部屋の前まで来て知らせてくれる。休校中、殆ど外に出なくなった僕を心配して妹がたまに様子を見に来るようになっていた。僕は重い腰を上げてリビングに向かう。
「正人、今日はあなたの好きな唐揚げよ」
「うん」
母さんは多少無理に元気よく話してくれているように思う。いつもなら食事中、テレビつけていたがここの所、テレビが消えている。理由は、あの事件の事がよく報道されているからだ。
高校で起きた猟奇殺人事件など良いマスコミの餌だ。未だ、犯人が捕まっていないということも相まって連日放送されているようだ。僕はトイレ、食事、病院の時くらいしか外に出ないが病院に映し出されていたので知ったのだ。
「正人、明日からだけど……」
食事が終わり、落ち着いた頃に母さんが語り始めた。
そうだ、明日から登校日が始まるのだ。だが、事件の事もあり目撃者などは登校が免除されているとも聞いている。
「いや、行くよ」
「でも、無理しちゃ駄目よ……」
「いや、家に閉じこもっていも気が滅入るだけだし」
「でも……、嫌なことを思い出すかも……」
「無理そうなら帰ってくるから大丈夫だよ」
僕は母さんにそう伝えると部屋に戻った。僕はベッドに寝転んで、明日からの事を考える。『7th ヒロイン』のゲームの内容から逸脱している現状を悩む。
「これからどうするんだ……」
ヒロインが死ぬ、ましてやあんな殺され方をするなんて意味が分からない。これからどうなっていくのか想像もつかない。他にも殺される人が出てくるかもしれないし、それに自分だって殺される可能性だって零ではない。僕は考えるうちに眠気に襲われそのまま眠りに入ってしまった。
翌日、予定通り登校する為に制服に着替えて学校へ行く準備をする。
「正人、学校まで送るよ」
母さんが車を出してくれることになった。僕は一度平気だと断ったがどうやら外にマスコミがいるらしく天星学園の制服を着ているとインタビューを受ける可能性があるとのことだ。それならばとお願いすることにした。
学校の近くまで行くと、母さんの言う通り、テレビ局の車やカメラ、マイクを持った人などが何人もいるようだった。学校の校門のすぐ近くに停めてもらい、マスコミに捕まる前に校門をくぐった。
「うっ……」
あの事件以来の校舎を見つめると少し気分が悪くなる。僕は校舎に入る前に立ち止まってしまう。
「大丈夫?」
後ろから声をかけられ振り返ると不知火が立っていた。
「あ、ああ、大丈夫だよ」
「無理しない方がいいよ。保険室行く?」
「いや、それは大丈夫。教室へ行こう」
「う、うん。え〜と代わりの空き教室って一階だったよね」
僕と不知火は並んで校舎に入り一階の空き教室に向かう。丁度今年の一年は人が少ない為、空き教室が生まれたらしくそこで授業を受ける事になったらしい。そして事件現場となった2−Aは未だ、立入禁止となっている。
教室へ入ると既に何人か席についていた。そして僕の顔を見るなり気まずそうな顔をしている気がした。
まあ、幼馴染だしそりゃ気を使われるかと納得し自分の席まで向かう。
「菊地君」
僕が席につくなり声をかけられる。声がした方向へ向くと天王寺さんが立っていた。
「天王寺さん……」
「ちょっと時間いい?」
天王寺さんは真剣な顔でそう尋ねた。




