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18話

 次は学習塔を見ることとなった。まずは一階から確認する。大きな玄関ホールがある。その前には下駄箱があり百人以上の靴が入るようになっている。


「で、一階は別に職員室、保健室、お手洗い、倉庫……ね」


「殆ど学校と変わらないね」


 規模が小さくなった学校といった感じだ。まあ、学校が持つ宿泊施設なのだから当然と言えば当然なのかもしれない。職員室は当然、先生たちが居るため見れないので他から確認することにする。まずは保健室だ。


「まあ、薬品みたいなのは無いわね」


 天王寺さんは保健室に入って店を見て早々にそう言った。流石だ、犯罪に使えそうなものは無いかという考えで物色している。僕みたいに怪しいものはないかなといった曖昧な考えで来ていない。


「後は包帯とか消毒液とか簡単な処置が出来るものしか置いてないみたい」


「なるほど、後見ておいた方がいいものある?」


「特に無いけど。間取りだけでも見ておいて」


 間取りと言っても特筆すべき点は無い。生徒が休めるようにベッドが二つあって椅子が何個か置いてあるだけだ。天王寺さんも後は気になるような所は無いようだ。僕達はさっさと出て倉庫に向かう。けど倉庫でも大した収穫は無い。運動部が使うボールやハードルなどグラウンドで使用するような器具が置いてあるに過ぎなかった。


「一階はこんな所ね。二階はさっきの食堂だから見る必要無いわね」


「了解」


 僕達は二階を通り過ぎて最上階である三階を見に行く。僕は息を切らしながら階段を登るが天王寺さんは汗一つかいていないように見える。かなり体力があるようだ。そして三階に辿り着いた。

 三階には四つの教室があるようだ。手前からA、B、Cで一番奥がD教室となる。教室には前、後ろに二つの扉があり、扉には中が見える窓がある。鍵は空いているみたいだ。この後、授業で使うからだろう。


「教室はこの後、使うからそこまで見なくても良いんじゃないの?」


「う〜ん、まあ限度はあるわよね。ロッカーだけでも見ればいいかしら」


 という事で手前の教室から片っ端に見ていくがおかしなところは無かった。問題は最後に起きる。一番奥のD教室の扉を開けようとした時だった。


「あれ、開かない……」


「あ、そういえば、先生が学習室は四部屋あるけど、三部屋しか使わないって言ってたね」


 合宿所に入る前に先生が生徒数が少ないから手前の三部屋のみ使うという旨を伝えていた事を思い出した。それを伝えた途端、天王寺さんの機嫌が悪くなる。


「それで鍵閉めてるってことね……」


「それじゃあ、ここは見れないね」


 天王寺さんは不服そうだったが諦めて戻ることにする。すると教室とは反対方向にもスペースがあることに気付く。僕は天王寺さんに確認してそこも確かめる事にする。


「あれ、登り階段がある……」


 この学習塔は三階建のはずだ。外から見た時にもそれは確認した。それじゃあ、この階段は何だろう。


「という事は屋上への階段じゃないの?」


「……、それはそうだ」


 という事で僕達は階段を登るとドアがある事を確認する。天王寺さんがドアノブを捻ろうとすると途中で止まってしまった。


「ちっ、ここも鍵がかかってる」


「まあ、そうだろうね」


 学校でも屋上への階段は鍵が閉まっている事も多い。生徒達がたむろしては困るということだろう。更にイライラしている天王寺さんを何とか宥めて食堂へと戻る事となった。

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