七話 初クエ
大学の入学式まであと3週間ちょっと。大学が始まると今ほど時間取れないから早くレベル上げたいな…
扠、今日も照輝ことライトとゲームをするべくいつものミクレコスモ・デル・モンドにログインするのだった。
〜・〜・〜・
〜オガン初心者狩り場〜
「おう、ライト〜!」
「ジョカ来たか。今日は朱花は風引いてるから来ないぞ〜」
「知ってるで、さっきごめん連絡きた。」
「ならいい、でさ一個聞くけどこのゲームの攻略サイトとか初心者用サイトとか見た?」
「全く見ておらぬ。なにか問題があるので?」
「いや、今日何を教えるべきかと思ってね。でも何も見ていないならクエストについて教えるか。知らんよな?」
「もちのろん知らん。でもクエストが何かは流石にゲームをしていないとしても知ってるからご安心を!」
「お、おう、じゃあどこで受けたりできるか知ってるか?」
「このゲームが当てはまるかは知らんがあれだろなんちゃらギルド?とかで受けられるんだろ?正解だろ?」
「うーん100正解ではないな、でもお前にしてはだいぶいい線いってるぞ。正解はそういうギルドで受けるやつと突発的に起きるやつとプレイヤーとかNPCにお願いされるものだな。で、今回はギルドで受けるやつにするぞ」
「よろしくお願いします!」
〜・〜・〜・
〜商業区〜
「ここだな。流石に知ってるだろ冒険者ギルドは」
「ああ知ってるぞ。やっと知ってる要素が出てきた…感動感動」
「そんな大袈裟な、まだあると思うんだが…。とりあえず今回はクエストだなどんなのがいい?」
「戦闘系?」
「なんで疑問形なんだよ…じゃあモンスター討伐にするか。ああお前が一人でするときはまだGかFにしとけよ?」
「?…ああ、7段階で分かれてるのね。了解」
「よし…これを受付の人に提出して…お願いします。…おけ行くぞ」
「何を倒すんだ?」
「今回はゴブリンだな…タイリョウハッッセイノ」
「了解!」
なんか聞こえた気がするがまあいいか。ゴブリンは流石に知ってるし。あんま強くない初心者用だろう。最悪ライトも居るし俺よりは強いはずだし逃げるくらいはできるだろう。
〜・〜・〜・
〜外れにある森〜
「よし。ついたな。馬車を乗り継いだが酔ったりしてないな?」
「勿論!で?どこに居るんだ?」
「この森にある洞窟だな。明かりは俺が持ってきてるから大丈夫だ!」
「行こうか早速」
そう言うとライトは歩き出した。俺のAGIは185だからライトが走ると追いつけないらしい。数値は教えてくれなかった。
十分くらい歩くと一つの洞窟にたどり着いた。
見た目は普通の洞窟だ。ただ、一つ違うとするならば入口に恐らく見張りのゴブリンが居ることだ。
「なんか居るな」
「そりゃあ居るだろ。そういうクエストなんだから。ほら行くぞ。彼奴等レベル15前後だから全然お前でも行けるだろう。やばくなったら助けてやるからやってみろ。」
「よっしゃやってやるぜ。」
俺は偃月刀を構えゴブリンに向かって疾走する。
「オラア」
相手が気づいて攻撃してくる前に抜刀しダメージを与える。流石に一撃では倒せなかったようで反撃をもらってしまった。
「うわ、痛った」
痛覚無効でもなんか言っちまうな…ダメージは…そんなだな5ちょいか大丈夫だな。
「!?ジョカ大丈夫か!」
「大丈夫!前のレベリングで結構DEF上がってるから全然大丈夫!」
「ならいい!!そのままやれ!」
「了っ解!」
そのままゴブリンを斬り伏せ見張りをすべて倒した。
するとレベルアップと同時にドロップアイテムをゲットした。
「ライトー31レベになったぞ!あと魔石とか皮?とか肉とかもらったぞ!」
「おめでとうだな。ドロップアイテムは売ったり装備品だったら付けたりできるが…装備はなさそうだな、だったら戻った時売りな〜」
「中にはいるのか?」
「そりゃあそういうクエだからな。居るだろ、行くか!」
「おっけー」
そう言ってライトが先行しながら入ることにした。特に入り組んでることもなく道中のゴブリンを倒しながら行くとボス部屋のようなところについた。
だが…待っているやつが問題だった。
「ジョカこれは少しきついかも知れないな。」
「?」
「変異種が居る。幸い上位種ではないが…お前にはちと厳しいかもしれん」
「なんてやつなんだ?てか、変異種って何?」
「あーそこからか。まず変異種についてだな。変異種ってのは環境とか突然変異とかで多分体の組織が変化したりして種族が変わったり進化したりしたモンスターのことだ。基本的に元々のやつよりだいぶ強くなっている。で、今回居るのは…魔術型ゴブリンまあ名前のとおりだな。だから近距離戦に持ち込めば基本的に楽に倒せる。が、周りと連携しながら攻撃してくるから近づくまでが問題だな」
「了解。で、俺は何をするべきなんだ?」
結局近づいて殴るだけだそこまで難しくないだろうライトの顔的にも全然行ける感じなのだろうが…何を悩んでいるんだろ?
「なあジョカお前単騎で行くか?」
「単騎か?いいけど…普通に死ぬかも…」
ジョカも装備がレアとはいえまだゲームを初めて2日程度の初心者なのだライトは子供の頃から様々なゲームをしているが…ジョカはほとんどない。いわば雑魚だ。そんなジョカに単騎を提案するということは…
とても
とても
easyということだろう。そう信じよう。
「行けるだろう。死ぬのが心配なら援護してやろう。今日はスナイパー持ってきてるし、まあ装備的にも、お前の性格的にも死なんだろう」
少しディスが入っていた気がするが……でも死ぬ心配はなさそうだな…ものは試しだ!
「じゃあやってみる」
「よし、じゃあ行って来い。雑魚は俺に任せろ!」
「了解」
ところで中にどのくらい居るんだろうか。少し覗いてみようか。ぴょこっ
ウゲッ多くね?ざっと4〜50体位いるな。俺だけで行けるかな…とりあえずやってみるか。
そう思いながら中に入る。
今の自分の持つスキルは【抜刀術】のみだ。そして抜刀術は一度納刀するという集団戦に圧倒的に不向きな効果付きだ。だからこそ一回一回スキルを使おうとするジョカはあっという間に囲まれてしまった。
不味い。こいつ等連携してるな…
実際ジョカの考えは正解と言えるだろう。こんな一端のモンスターにも個別の思考を持つようにAIが用いられている。それ故群れを形成するモンスターは最も相手に攻撃を与えられる存在を守ろうとするだろう。ゴブリンといえど50体も集まれば脅威だろう。それが連携を取って自分を弑せんと思って向かって来ると慣れていればいいが、慣れてもいない初心者にとっては恐怖とともに面食らうだろう。
「おい!ジョカなにバカ正直に納刀してるんだ!こういうときはなりふり構わず振るんだよ!」
そうなのか。知らんかったスキル以外でも武器って使えるんだね。とりあえずここを抜けよう。
「オラア」
一点突破の如く一箇所に向け武器を構え走る。勿論陣形を崩さぬようにゴブリンは後ろから追いかけてくる。幸いAGIは俺のほうが上のようだ。囲われていたが突破のため偃月刀を振り回しているとゴブリンの数がどんどん減っていく。気づけば半分くらいになっていた。
「やればできるじゃないか!そのまま制圧しちまえ!」
「了解!」
呼応を終えると残りのゴブリンと向かい合う。
眼が合うと先ほどとは違い少し怯えが混じっているように感じたが戦意は十分ありそうだ。
そう思った矢先10体程度が走り出す。それに合わせ今度は納刀する。そして抜刀一気に五体ほど持っていった。
『これ縦じゃなくて横に切れないのかな?』
そんな疑問が湧いたため第二陣に対し横向きに抜刀できるか試してみることにした。
「納刀して…横に…抜刀!」
すると思った通り横に切れた。残りの五体も一気に持っていけた。あとは10体。これなら行けるだろう。
先ほどと同じように横に抜刀すると今度は10体すべて斬り伏せられた。
取り巻きのゴブリンをすべて倒したならば…残りは変異種のみ!これは行ける!
《マジックゴブリン》に向かって走り出す。刹那何らかの魔法を自分に向け放たれた。
しまった。 そう思うがもう遅い。このゲームにも慣性はあるのだ急に止まろうと思えば相当のSTRが必用になるだろう。しかしジョカにはそんな力はない。よって直撃は間逃れr…
ボン!!!
「おいジョカ危ないぞ!俺がいてよかったな!」
当たる直前ライトのスナイパーが放った玉とぶつかり眼前で止めることができた
「マジ助かる!」
「いいから、さっさと倒しまえ!」
「おう!!!」
もう一度走り出すもうすぐ間合いに入れられる……入ったあ!
納刀!そして…
「抜刀う!!」
放った剣閃は綺麗な弧を描くように変異種を縦に切った。
それを食らった《マジックゴブリン》はボロボロと崩れ消え去った。