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勇ましき者が極めるは道 ~任侠道を極めた漢、ダンジョン世界を無双する~  作者: ヤミマル


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九十四の道 立ち塞がるミスリル

 モンスターとは言え、ガキだ。見た目だけかも知れねぇが、髪の様に生えた葉を揺らして弱々しくコチラを、と言うかケイネスを見ている様子に悪意など微塵もねぇ。


 それどころか、力を振り絞ってケイネスの後にある階段を指し示す姿には確かな友情を感じた。アイツはケイネスに、逃げろと言っているのだ。


 それだけに、俺のハラワタが煮えくり返る。クソなもん見せやがって…………!!



「ようやくお出ましだな。俺達は『ミスリル』の冒険者『カースブル』! 俺はリーダーのカーツラだ!」


「フンッ! 俺はウィグだ」


「アブロなんだな」


「私はチルハ!」


「あ、あの…………、リョクです」



 赤髪の剣士、浅黒い肌の弓使い、金棒担いだ大男、踊り子みたいな魔法使い、白いローブの緑髪の少女と自己紹介らしき物をしていたが、クズの名前を覚える気がない俺はただ一人、リョクと名乗った緑髪の少女の名前だけを頭に入れた。



「ミ、ミスリルの、カースブル…………!?」


「知ってる奴らかラベク?」


「さ、最近名前を売っている冒険者です…………! 王国貴族の切り札と言われている…………!!」



 切り札だぁ? コイツらなら、ネガーの方が強ぇだろ。…………変なのが一人混じっている様だがな。



「そこにいる女がケイネスだな。おい女、ダンジョンマスターにはしてやるから、俺を後継者にしろ。そしたら俺の女にして、良い目を見せてやるよ」



 何でこんな奴らがと思ったが、そう言う輩か。カースス伯爵なのか、その配下なのかは知らねぇが、待ち伏せくれぇはあるだろうとは思っていた。


 出て来たのが小物過ぎて多少面食らったがな。



「だ、誰が…………!」


「おいおい良いのかぁ、俺達はミスリルの冒険者で、しかもバックにはカースス伯爵様がついてるんだぜ? そこの男は強いとは聞いてるがよ、しょせんはシルバーだろ。ミスリルの俺達には勝てねぇよ」


「俺達が、どれだけ修羅場を潜って来たと思っている。お前達を狙い撃つ事など容易い事だ」


「オ、オデ、叩き潰すんだな!」


「くっ…………!」



 ケイネスどころか、サゲンやラベクまでミスリルって看板に目が眩んでやがるな、嘆かわしい事だぜ。コイツらがそんなに強く見えるのか?


 俺は脅しをかける奴らの言葉を無視して歩を進めた。



「あぁ…………? おいテメェ何のつもりだぁ…………ブベッ!?」


「俺の前に出るなクソが」



 歩み進める俺の前にわざわざ顔を突き出して来たバカを裏拳で殴り飛ばし、他の四人が呆気に取られた所で俺は一気に跳び、フォレストノームを捕らえている茨の檻を殴り壊した!



『ァぅ…………!!』


「ん!?」



 檻を壊すと、フォレストノームは助けを求める様に俺に手を伸ばし、俺もそれを受け入れようとした。だが、檻から外に出たフォレストノームの足を何処からか伸びて来た蔓が絡め取り、引き戻すと再び茨の檻がフォレストノームを捕らえた。


 フォレストノームを引き戻した蔓の出処に目を向けると、緑髪の少女が着ているローブの裾から、蔦が伸びていた。



「ダ、ダメですよ…………! こ、このモンスターは、渡せません…………!!」


「よ、よし! 良くやったリョク! そいつを逃がすんじゃないよ!!」


「…………チッ」



 震える手で杖を構え、俺の前に健気なフリで立ち塞がる少女は、しかし仲間の踊り子が口にした命令に小さく舌打ちをした。



「チルハ! カーツラを何とか起こせ! それまでは俺達が時間を稼ぐ!!」


「喰らうんだな!!」



 飛んで来た矢を弾き、振り下ろされた金棒を後ろに跳んで避けると、弓使いと金棒使いが俺の前に立ち塞がった。



「リョク! 俺達が護るから、もっと下がってろ!!」


「護るんだな!!」


「は、はい! お二人とも、ありがとうございます! た、助かりました…………!」



 男二人に庇われ、弱々しいフリで下がる少女に、俺は溜め息を吐いて一つ聞いてみた。



「おい、何のつもりか知らねぇが、恥ずかしくねぇのか? 弱ぇフリして、かわいこぶってよ。俺なら死にたくなるぜ。それでも男かテメェ」


「…………(ビクリッ)」



 俺の言葉に、男二人に庇われて背中を見せて走っていた少女が動きを止める。そして体を仰け反らせる様にして首を回し、俺をとても少女とは思えない座った眼で眺めてきた。



「何を言っている! 貴様の相手は俺達…………ゲバァッ!?」


「なんだ…………グボェッ!?」



 ドスドスッ! …………と、俺の前に立つ男二人は、背後からの蔦に、鎧ごと胸を貫かれた。



「え? な、なに…………! 何で…………!?」



 そして踊り子みたいな女と、気絶している剣士も蔦に貫かれて絶命すると、緑髪の少女みたいな何かはカクカクと首を傾げた。



「ゲームオーバー。は良いけど、なぁんでバレたかなぁ…………? 俺の演技は完璧だった筈なんだけど、どうしてかなぁ…………?」


「完璧? そりゃ何と比べてだよ。濃密な気配をダダ漏れにしてよ、なにが完璧だよ。モロバレだったってんだよ…………!」


「言うじゃないか。ククク…………。いやぁ傷つくなぁ。クカカカカッ!!」



 その瞬間、白いローブの少女を模していたガワが弾け飛び、中からゆったりとした服を着た緑髪に緑の目を持つ青年が現れた。眼の下や、服から出ている肩にある線の様な入れ墨や、口紅の色も緑色で統一された青年だ。


 本体を現した青年は、周囲に空間が歪んで見える程の濃密な魔力を解き放つ。そしてその瞬間、俺の背中が熱くなり、俺の傍らに風を纏う刀が姿を現した。



「何だイエモリ、呼んでねぇよ…………!」


『…………似ている。…………気配が似ている…………! 貴様ぁ! 赤い三つ目を知っているな…………!!』



 イエモリの刀から凄まじいな怒気が放たれ、その怒気に緑髪を揺らした青年は、二つの眼の下に二つの眼を開け、更にゆったりとした服から出ている両肩にも一つずつ眼を開き、合計六つの眼でイエモリを見つめると。…………コテリと首を傾げた。

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