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勇ましき者が極めるは道 ~任侠道を極めた漢、ダンジョン世界を無双する~  作者: ヤミマル


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九十二の道 緑色の光

 あれから、襲い掛かって来るモンスターはどんどん増えていき、俺達はそのモンスター達を殲滅しながらダンジョンを走っていた。


 襲って来るモンスターが増えればその種類も増えていき、デカイ蛇やら鉄みてぇに硬いカタツムリやらの見た事無い奴や、ゴブリンやらオークやらと言った見慣れた奴まで幅広く出て来ていた。


 厄介なのは、俺の殺気に対してまで嬉々として向かって来る事だ。戦えないケイネスがいるから抑えているとは言え、俺の殺気が俺達の居場所を知らせる目印にしかなってなかったのは地味にショックだったぜ。



『グオォォーーーーッ!!』


「クッ!? ただのオークの攻撃が、なぜこうも重い!?」


「ウッ!? ゴブリンも、ただのゴブリンじゃない!? でも! 負けるかぁーーっ!!」



 オークの拳を大盾で受けてその威力に文句を口にしながらも、ラベクは攻撃をいなしオークに戦斧を叩きつけた。


 その近くでは二匹のゴブリンに翻弄されながらも、一匹ずつ確実に仕留めるサゲンの姿があった。


 こうして、端から二人とモンスターとの戦いを見ていて解ったことがある。どうもここのモンスター達は、何者かに強化されているな。


 モンスターが攻撃に入る度に、そしてモンスターが攻撃をしようとする際に、もっと言えば襲い掛かって来る時の眼の中に、緑色の光がチラリと見える。


 あまり目立つ様な光じゃねぇから俺以外に誰も気付いてねぇし、俺だって視点を変えなければ気づけなかった。


 …………妙なのは、何となくだがその緑色の光が、俺を攻撃から護ろうとする赤い光の何かと似ている気がする事だ。まぁ本当に気がするだけなんだが。



「サゲン! ラベク! そろそろ下がれ、俺が前に出る!」


「はい!」


「了解!」



 俺がモンスターと戦っている時には二人がケイネスの護衛につき、二人がモンスターと戦っている間は俺がケイネスの護衛につく。


 そんな感じで攻撃役と護衛役を変えながら突き進み、俺達は十階層のフロアボスの手前まで辿り着いた。


 部屋の前が安全地帯なのは変わってねぇか。ダンジョンとしてのルールってヤツは守られているようで、取り敢えずは一安心だ。



「これで一息つけるな」


「うぅーー、キツかったぁーー!」



 その場所が安全だと知るや、サゲンは大の字に倒れ、ラベクは大きく息を吐き、ケイネスはへたり込んだ。



「ふうぅ、流石に少し堪えましたね。サゲン様、少しだらしないですよ?」


「うう、アタシは何もしてないから心苦しいけど、でも疲れた…………!」


「緊張しっぱなしだったんだ、無理もねぇよ。お前ら、一旦装備も外して休め。鎧なんか着ていたら、それだけで疲れるぜ。水場もあるんだ、身体も洗ってしまえ。そしたら飯にして、少し眠ろう」


「…………なんで兄貴はそんなに元気なんだ」


「俺だって疲れてはいるさ。ただ慣れちまってるだけだ」



 ヤクザ稼業に身を投じて長年修羅場を潜り抜けて来たんだ。引退してからも数々の修羅場はあったし、我ながら慣れちまうのもしょうがねぇと思う。慣れてぇ部類のもんじゃねぇのはその通りなんだけどよ。


 まぁ八十八年の人生に、それも全盛期にあった幾つかの修羅場に比べれば、こんなのは全然大した事でもねぇよ。


 そんな訳で俺達は鎧を脱いで体を洗い、飯を食ったらストレッチをして体を解し、ガッツリと眠った。


 このダンジョンは十五階層で終わりらしいが、ここから最後までは今までよりも襲われる事は多くなるだろう。休める時に休んでおかねぇと後に響くからな。



「しっかり休んで飯も食ったな。ここのフロアボスは俺に任せろ。本番はむしろその後だからな。ここのボス戦はサクッとクリアしちまおう」


「昨晩も話たけど、ここのボスは『ビッグスリーピーシープ』って言う、眠らせようとしてくる羊だからね。飛ばしてくる羊毛に気をつけて。羊毛は催眠作用があるし、体に付くと離れないよ!」


「おう、任しとけ。…………ただ、眠らせるだけとは、とても思えねぇんだけどな」



 俺はスキル《モン紋》から《血闘鬼ブラッドオーガ》を選択して発動してみた。スーツ姿のままでの発動だから入れ墨は見えねぇが、頭には血で出来た様な角が生えていた。


 これは俺の血って訳でもねぇらしいが、魔力とかってヤツだろうか。って言うかよ、ブラッドオーガの角は黒かった筈だが、俺だと血の色になるのか。まぁそんな細かい事、気にしても仕方ねぇか。



「おお、それが兄貴のスキル…………!」


「よし、開けるぞ」



 フロアボスの部屋の扉を開けて中に入ると、そこは一面の牧草地帯になっており、その中には白と黒が斑になった特徴的な毛を持つ多数の羊と、それを十倍もデカくした様なボス羊がいた。


 なんだ、ここのボスは全部群れを作ってるデカイ個体なのか? 五階層のカルガモと言い、このデカイ羊と言い、遠目に見る分には牧歌的で良さそう何だがな。


 そして、その羊のすべてが俺に好戦的な視線を向けており、その眼がギラリと緑色に光った。



「フッ、そうだよな。ここまで強化された敵ばっか出て来てんだから、そりゃお前らも強化されてるよな」


『『『メェ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!』』』



 ボス部屋の扉が閉じた途端、部屋にいた羊達が土埃を上げて、俺達に向けて走り出した! 上等!!



「三人共! そこから一歩も動くなよ!!」



 俺は後に居るであろうケイネス達に声をかけ、地面を蹴り飛ばし羊達との距離を一気に詰め、血のようなガントレットに包まれた拳を振り抜いた!



『『メベェッ!?』』


「オラオラオラオラオラァッ!!!!」



 俺は次々と羊の群れを殴り飛ばし、その数を削っていく。ブラッドオーガの力か。俺の力が随分と引き上げられてるな、負ける気がしねぇぜ!



『メメェ〜〜〜〜ッ!!!!』


「ヘッ、怒ったかよ!!」



 次々に殴り飛ばされる羊達によほど頭に来たのか、ボス羊が頭を下げて俺に向かって来た。



「怒りに任せて好戦的だな! テメェらの戦いは、本来そんなんじゃねぇだろうに、ただ突っ込んで来る奴らなんざ俺の敵じゃねえよ! 力を貰って逆に弱くなってるぜ!!」



 俺は突っ込んで来るボス羊に向かって飛び、間合いを詰めた勢いそのままにその巨大な頭を殴り潰した!!



『メゲェッ!?』


「…………こりゃダメだな。お前らも不本意だろう? 今度は、本来のお前らと遊びに来るぜ!」



 白と黒の羊毛を赤く染めて巨大羊が草原に倒れ、フロアボスとの戦いは終わったのだった。

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